「ウィンウィン」の意味とは?語源の英語や類語・反対語も解説

「ウィンウィン」の語は、政治家の「ともに発展するウィンウィンの関係を築きます」などの発言でよく耳にします。ウィンウィンはどこから出てきた言葉なのでしょうか?

この記事では、「ウィンウィン」の意味と、語源である英語の意味と背景や、使い方・例文を紹介します。あわせて類語・反対語も解説しています。

「ウィンウィン」の意味や語源とは?

「ウィンウィン」の意味は”双方が利益を得られる”

「ウィンウィン」の意味は、“双方が利益を得られる”ことです。経営学用語の一つです。取引が行われ、双方が利益を得られる結果が得られたときに「結果はウィンウィンとなった」などと用います。

また、具体的な利益が明確になっていない場合でも、両者にとって都合がいい状況であることを表現するときにも使われます。それらは「どちらに転んでも勝ち」「双方が満足できる交渉」などの意味合いもあります。

「ウィンウィン」の語源は英語”win-win”

「ウィンウィン」は英語の“win-win”が語源の外来語です。「win」とは、勝利を得るという意味です。つまり「I Win, You Win(私も勝つ、あなたも勝つ)」の略語です。

「win-win」の言葉は作家で経営コンサルタントのスティーブン・R・コヴィーの著作『7つの習慣』(1989年)において広く知られるようになりました。コヴィー氏は、ウィンウィンは人間関係の哲学であり、すべての人間関係において、相手の利益になる結果を得ようとする姿勢であると述べています。

またその以前からも、経済用語の「ゼロサム」に対置する概念としてもウィンウィンは用いられていました。「ゼロサム」とは、一方が利益を得るともう一方が同じだけ損をし、全体として「プラスマイナスゼロ」となるという意味です。

「ウィンウィン」の使い方や例文とは?

双方にとってメリットのある交渉結果や関係性を「ウィンウィン」と表現する

双方にとってメリットがあり、満足のいく交渉結果や関係性を「ウィンウィン」と表現します。また、お互いが満足する結果や関係性でないときに、「ウィンウィンではない」と否定の文脈で用いることもあります。次のように使うことができます。

  • 政府は交渉が成功したことを「ウィンウィンの結果となった」と発表した。
  • 自分の利益と他人の利益を同時に考えるのがウィンウィンとなる前提だ。
  • 自分の損得しか考えない人ほど「お互いにウィンウィンで」と主張する傾向がある。
  • 自己犠牲の精神で与え続ける人はウィンウィンで考えていない。
  • おいしいところだけを利用しようとする人はウィンウィンの意味がわかっていない。

双方が利益を得られる関係性を「ウィンウィンの関係」と表現する

企業や政府などが交渉相手について、「双方が利益を得られる関係性」にあることを「ウィンウィンの関係」と言い表します。また経済的な関係以外でも、いわば持ちつ持たれつの関係や、両者の関係が利益を生むような人間関係についても使われます。

  • お金持ちは資産形成のプロとウィンウィンの関係性を築いている。
  • 高感度ナンバーワンの女優と人気俳優の結婚はまさにウィンウィンの関係だ。
  • 利害関係が一致する提携先とはウィンウィンの関係だ。
  • ウィンウィンの関係にある人脈を作ることがビジネスでは重要だ。

「ウィンウィンの関係」の類語や似ている言葉とは?

「ウィンウィンの関係」は類語”互恵関係”と訳される

利益や恩恵を互いに与え合うことを「互恵(ごけい)」といいます。ウィンウィンは日本語に訳すとき「互恵関係」と訳されます。

また、互恵関係は「戦略的パートナーシップ」と同列に語られることもあります。自分側に利益が得られることを第一の目的として築くパートナーシップのことを戦略的パートナーシップと呼ぶことが多いことから、全くの同じ意味ではありませんが、「ウィンウィン」と「戦略的パートナーシップ」は近い意味で用いられることもあります。

お互いに支えあう関係は「ギブアンドテイク」

お互いに支えあう関係を「ギブアンドテイク(give and take)」と呼びます。お互いの関係が好ましいという意味では「ウィンウィン」と通ずる部分もありますが、支えあう意味のギブアンドテイクの関係とは違い、ウィンウィンはお互いが利益を得られる戦略的な関係をいいます。

「ギブアンドテイク」の関係は、「与える(give)」+「得る・受け取る(take)」の言葉どおり、何かを与えたらその代わりに何かを受け取る、あるいは、何かを受け取ったら何かを与えるという、公平でいわば和やかな持ちつもたれつの関係だともいえます。

双方に優劣がない関係は「フィフティフィフティ」

「フィフティフィフティ(fifty-fifty)」とは、半分半分、あるいは五分五分と訳されます。「フィフティフィフティの分担」「勝か負けるかはフィフティフィフティ」などと用いられ、双方に優劣がないことを表わします。

利益に限らず不利益についても使われるため、両者にとってプラスの意味であるウィンウィンとは異なります。

「ウィンウィン」の反対語とは?

相手も負けて自分も負ける「ルーズルーズ(lose-lose)」

先に紹介した『7つの習慣』において、人間関係の考え方として「ルーズルーズ(lose-lose)」が紹介されています。これは「相手も負けて自分も負ける」という意味です。頑固で我を通そうとする人同士の交渉は、二人とも負ける結果になり、どんな場合でもそれは望ましい結果ではないといいます。

人間関係において、どちらもが利益を得ることを考える「ウィンウィン」の正反対が、どちらもが負ける「ルーズルーズ」です。

「不賛成だ」という意味の”ノーディール(no deal)”

英語「no deal」は「不賛成だ/同意できない」という意味の俗語です。交渉結果に同意できないときに「今回はノーディールだ」などとカタカナ語としても使われています。「deal」とは「取引」「契約」という意味です。

『七つの習慣』においては「Win-Win or No Deal」(自分も勝ち相手も勝つ、それが無理なら取引しないことに合意する)という考え方が紹介されています。

まとめ

「ウィンウィン」とは、「双方が利益を得られる」という意味です。双方にメリットがある交渉結果や関係性を説明する言葉として、とくにビジネスの場面で多く使われています。

「ウィンウィン」の語は、スティーブン・R・コヴィー著のベストセラー『七つの習慣』が日本でもヒットしたことから広く認知されました。『七つの習慣』では、競争から協力の生き方への提言として「ウィンウィン」の概念を紹介しています。