「まずは」は、優先順位の高い内容を伝えたい時に使われる副詞です。使用頻度はとても高く、日常会話やビジネスシーン、また手紙やメールのような文章中とあらゆる場面で使われています。今回はこの「まずは」について、意味や使い方だけでなく具体的な例文も解説していきます。類語や英語表現などもあわせて紹介します。
「まずは」の意味とは?
「まずは」の意味は“まず”を強調していう言葉
「まずは」の意味は、“副詞の『まず』を強めていう言葉”です。“ともかく”や“ひとまず”、また“何はともあれ”といった意味を表します。「まずは〇〇まで」のように、手紙やメールを締めくくる挨拶文の役割もあります。
「まずは」の漢字表記は”先ずは”
「まずは」は「先ずは」と漢字表記で使われることもあります。『先』が持つ意味を知ることで、より「まずは」が表していることが何か理解できるでしょう。一般的には「まずは」とひらがな表記で使います。
① さきにする、さきだつ
② 時間的に早い方、以前、昔
③ 位置的に前の方
「まずは」の使い方と例文とは?
「まずは」は単体で使わない
「まずは」は、文中にある他の言葉の意味を詳しく説明する役割を持った副詞です。単体でも「まずは」の意味自体は伝わりますが、基本的に単語だけで使うことはありません。文章のどこに使われるかは、どういった意味で使うかによってそれぞれ異なります。
「まずは」を丁寧な敬語表現にする場合
「まずは」は副詞なため、動詞や形容詞のような活用形の表現はありません。「まずは」を変形することはできないので、相手に失礼のない表現にするには前後に続く文章を敬語の形にする必要があります。
「まずは」を使った例文
「まずは」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 「まずはこの課題を終わらせよう」
- 「まずは被害者、その後に加害者の話を聞く」
- 「これだけ補強しておけば、まずは心配ないだろう」
- 「まずは私から報告させていただきます」
- 「まずは彼の話を聞いていただけませんか?」
- 「まずはこちらのデータからご覧ください」
「まずは」を使ったビジネスフレーズとは?
緊急の連絡を要する時は「まずはご報告まで」「まずはご連絡まで」
「まずはご報告まで」や「まずはご連絡まで」は、先方に対し緊急の連絡をしなければならない事柄が起こった時に使う言葉です。
“ご報告”と“ご連絡”自体は丁寧な言葉ですが、 “〜まで”で終わるフレーズは人によってぶしつけと感じることがあります。そのため取引先や上司に対しては、以下のようなフレーズに変えて伝える方がいいでしょう。
※このフレーズの後に、「詳細は追ってお伝えいたします」など改めて連絡することを伝える一文を入れましょう。相手を安心させ、印象もよくなります
すぐに直接お礼ができない時は「まずはお礼まで」
「まずはお礼まで」は、他の人から何かしてもらった際に手紙やメールで感謝の気持ちを伝える時に使われるフレーズです。「今すぐ会ってお礼することはできないがこの気持ちは伝えたい」というニュアンスを表現できます。
「まずはお礼まで」も「まずはご報告まで」と同じく、自分よりも立場が上の人に対して使う場合は、「まずはお礼申し上げます」など“〜まで”で言い切らない表現を選びましょう。
「まずは」の類語と言い換え表現とは?
類語①「とにかく」は”ともかく”や”さておき”を表す
「とにかく」は、“しばらく様々な問題や事情は保留にして他の物事に言及するさま”を意味する言葉です。「まずは」に含まれる、“しばらくの間ある物事を優先させるさま”と似ています。
類語②「何はともあれ」は”他がどうであろうとも”を表す
「何はともあれ」は、“他の物事はどうであろうとも”と他よりもある物事を優先している様子を表している言葉です。「まずは」にも同じような意味が含まれているため類語と言えます。
「最初に」は「まずは」の言い換え表現
「最初に」は、“いちばん初めに”と「まずは」が持つ“他の人や物事より先に行うさま”と同じ意味を表します。そのため、この意味に限り「まずは」の言い換え表現として使えます。「最初に」には、“とにかく”や“おおむね”のような意味はないので注意しましょう。
「まずは」の英語表現とは?
「まずは」の英語表現は”first of all”か”firstly”
“はじめに”を意味する「まずは」を英訳する場合、「first of all」か「firstly」のどちらかを使って表現しましょう。2つの表現はプレゼンテーションなどフォーマルな場面でも使えます。「firstly」は古い表現とされているため「first of all」の方がおすすめです。
- 「first of all」・・・まずは、まず第一に
- 「firstly」・・・まずは、(まず)第一に
→まずは、このプロジェクトの概要をお話したいと思います
→まずは、彼があなたの質問にお答えますね
「まずは」の英語表現は”anyway”か”in any case”
“ともかく”を意味する「まずは」を英訳する場合は、「anyway」か「in any case」を使って表現します。「anyway」はカジュアルな印象が強いので、フォーマルな場面では「in any case」を使うといいでしょう。
- 「anyway」・・・まずは、とにかく、どっちみち
- 「in any case」・・・まずは、ともかく、どのような場合でも
→まずは昼食をとろう
→まずは駅まで歩きましょう
まとめ
「まずは」はかしこまった表現ではないため、日常生活からビジネスシーンまでと幅広く使われています。手紙やメールによる挨拶文の中に用いられることも多く、いくつか決まり文句のようなフレーズも存在しています。
「まずは」は敬語表現ではないため、自分よりも立場が上の人に使う際は前後の文章を丁寧な表現にしましょう。使用頻度の高い「まずは〇〇まで」のフレーズは、ぶしつけな印象を与えがちなので使う相手には注意が必要です。
① 他の人や物事より先に行うさま、はじめに、第一に、
② しばらくの間ある物事を優先させるさま、ともかく、何はともあれ、とりあえず
③ 十分ではないがだいたい良いと判断するさま、おおむね、一応
④ 確信していることが高い確率で現実になるだろうと判断する気持ちを表す
⑤ 物事に対しある程度の確信的な判断がある際に使う言葉、おそらく、多分
※「まずは」は①〜③の意味を強めた表現