「仮想マシン」の意味とは?メリットや作り方もわかりやすく解説

「仮想マシン」とは、「仮想的に作られたコンピューター」のこと。1台のコンピューター上で別の環境のコンピューターを作り出し動作させる技術で、コスト削減や省スペースなどのメリットがあります。今回は「仮想マシン」の意味とメリットに加え、「仮想マシン」を使った用語を解説。「仮想マシン」の作り方もご紹介します。

「仮想マシン」の意味とは?

「仮想マシン」の意味は”仮想的に作られたコンピューター”

「仮想マシン」の意味は、“仮想的に作られたコンピューター”のことです。あるコンピューター上に、OSの種類やバージョンも異なる複数のコンピューターの環境を仮想的に作り動作させることです。

「仮想マシン」の英語は、”Virtual Machines”となります。「Virtural」と「Machines」の頭文字をとった略語の「VM」(ブイエム)も、一般的に使われている言葉です。

「仮想マシン」を使った用語や表現とは?

「仮想マシンプラットフォーム」

「仮想マシンプラットフォーム」と言う言葉は、”仮想マシンが動作するための環境”を意味しています。「プラットフォーム」とは、英語の”platform”をカタカナ語にしたもので、もともとは「足場」や「壇上」を意味する言葉。コンピューターにおいては、コンピューターが動作するためのOSなどの「環境」や、ハードウェアの「基盤」などを指して使います。

「仮想マシンのディスク統合が必要です」

「仮想マシンのディスク統合が必要です」とは、「仮想マシン」の管理画面において表示されることがある警告メッセージのひとつ。バックアップ処理がうまく動作しなかった場合などに表示される可能性があるメッセージです。メッセージが表示されていることを確認した場合は、「統合」を実施するなど、マシンの状況に応じた対応が必要となります。

「仮想マシンのクローン作成」

「仮想マシン」をコピーして別の「仮想マシン」を作成することを、「仮想マシンのクローン作成」と言います。クローンにより新たに作成された「仮想マシン」は、コピー元の「仮想マシン」と同じ環境・構成を引き継いで作成されます。そのため、「仮想マシン」のバックアップを目的としてクローンを作成する場合もあります。

「仮想マシン」のメリットとデメリットとは?

「仮想マシン」のメリット①省スペースやコスト削減

「仮想マシン」の大きなメリットは、省スペースです。1台のコンピューターで複数のコンピューターを兼ねることができるため、設置のためのスペースを削減することが可能です。また、スペースだけでなくコスト面においてもメリットがあります。コンピューターを複数利用する場合には、購入費用を始め、導入のための初期費用・運用費用などがかかり、管理のための工数も必要となります。

「仮想マシン」のメリット②MacでWindows7や10が利用可能

「仮想マシン」を使うことによって、1台のコンピューターで異なるOSを使い分けることも可能です。

たとえば、MacでWindowsOSを利用することや、WindowsマシンにおいてmacOSやLinux系のUbuntuなどのOSも利用することができます。日頃はMacを使用し、最終の動作確認など一部の作業においてのみWindowsマシンが必要と言った場合には、「仮想マシン」の利用が便利であると言えるでしょう。また、異なるOSではなく、同じOSのバージョン違いやブラウザなどアプリのバージョン違いを利用する場合にも「仮想マシン」が活用できます。

「仮想マシン」のデメリットは処理速度の低下など

「仮想マシン」には、スペースやコスト削減など様々なメリットがあります。しかし、デメリットもあるため、メリット・デメリットのどちらも把握しておくことが必要です。

デメリットは、1台のコンピューターに複数の環境を構築する分だけのディスク容量が必要になること。また、立ち上がりや動作に時間がかかるため、処理速度をあげるためには設定のチューニングも必要となります。

「仮想マシン」の作り方3つと仕組みの比較

「仮想マシン」には、もともと「ホスト型」「ハイパー型」のタイプがありましたが、近年「コンテナ型」と呼ばれるタイプも利用が進んでいます。それぞれの作り方や特徴について紹介します。

「ホスト型」の作り方

「ホスト型」の仮想マシンは、「ホストOS」上に「仮想化ソフト」をインストールして作ります。仮想化ソフト上で「ゲストOS」と呼ばれるOSを動作させる仕組みです。容量やスペックなどの課題はありますが、日頃利用しているPCのOSを「ホストOS」として、仮想マシンを作ることもできます。「ハイパーバイザー型」に比べると、構築しやすく・運用しやすいと言う特徴がありますが、「ホストOS」と「ゲストOS」の両方が動作するため、処理速度が遅くなるというデメリットもあります。

「ハイパーバイザー型」の作り方

「ハイパーバイザー型」は、「ホストOS」ではなくサーバーに「仮想化ソフト」を直接インストールして作ります。「ホスト型」同様「仮想化ソフト」上で「ゲストOS」が動作しますが、「ホストOS」が動作しないことにより、処理速度が「ホスト型」に比べて向上します。

なお、「ホスト型」「ハイパーバイザー型」いずれにも共通しますが、「ゲストOS」においてもウイルス対策は必要です。セキュリティ対策のソフトにおいては、仮想マシンを想定して負荷をおさえる機能も用意されています。

「コンテナ型」の作り方

「コンテナ型」は、「ホスト型」「ハイパーバイザー型」と違い、「ゲストOS」を使用せず、「ホストOS」上に「コンテナ」と呼ばれる空間を作ります。特徴は「ゲストOS」が動作しないことにより処理速度が早くなること。しかし、「コンテナ型」は、「ホスト型」「ハイパーバイザー型」のように異なるOSを使用することができないことがデメリットです。

「仮想マシン」構築用の主なソフトとは?

主なソフトは「VMware」と「VirtualBox」

「VMware」は、VMware社が提供している仮想マシン構築用のソフトです。「ホスト型」「ハイパーバイザー型」それぞれに対応する製品が提供されており、WindowsとLinuxおよびmacOSに対応しています。

「VirtualBox」は、Oracle社が提供する仮想マシン構築用の無料ソフト。特長は、仮想マシン上でUSB機器を利用することができることです。ゲストOSには、WindowsとLinux・macOSを使用することができます。

まとめ

「仮想マシン」とは、「仮想的に作られたコンピューター」を意味しています。たとえば、Windowsパソコンの中に、macOSの環境を作るなど、1台のコンピューターの中に異なる環境のコンピューターを作成して利用することができます。必要な台数分のコンピューターを揃えることに比べて、「仮想マシン」は省スペースやコスト削減などのメリットが考えられます。