「ベランダ」と「バルコニー」は、どちらもマンションやアパートなどに付く屋外スペース。しかし「ベランダ」と「バルコニー」の違いを詳しくご存知でしょうか?
今回は、正しく使い分けができるように、「ベランダ」と「バルコニー」の具体的な違いを紹介します。あわせて「テラス」などとの違いについてもお伝えします。
「ベランダ」と「バルコニー」の違いとは?
「ベランダ」と「バルコニー」の違いは”屋根付きか屋根なしか”
「ベランダ」と「バルコニー」の違いは“屋根付きか屋根なしか”どうかという点です。「ベランダ」は部屋の外に突き出した屋根付きの屋外スペースのことです。一方「バルコニー」は部屋の外に突き出した屋根なしの屋外スペースのことです。
「ベランダ」は部屋の外に突き出た屋根付きのスペース
「ベランダ」とは、部屋の外側に突き出した屋根や「庇」(ひさし)が付いた屋外スペースのこと。たとえば、マンションの3階の部屋にあるベランダ は、階下となる2階の部屋にあるベランダの屋根のかわりとなっています。一般的には、2階から上の部屋に作られ、「直列型」と呼ばれる形のマンションやアパートなどに見かけることが多いのが「ベランダ 」です。
ベランダには、非常時に突き破って隣の部屋に移動することができる薄い仕切りや、下の部屋に移動する避難用の梯子が備え付けられています。これらは法律による点検が義務付けられています。
「バルコニー」は部屋の外に突き出た屋根なしのスペース
「バルコニー」も、「ベランダ」同様に部屋の外側に突き出した屋外スペースです。しかし、「屋根」や「庇」がないという点が、「ベランダ」との大きな違いとなります。屋根や庇がつかないため「バルコニー」は最上階などにあるのが一般的ですが、マンションやアパートなどの形状により異なリます。また「バルコニー」ではなく、後述する「ルーフバルコニー」が付いている場合もあります。
「ベランダ」と「バルコニー」に共通する注意点とは?
マンションにおいては「共用部」となる
「ベランダ」と「バルコニー」は、マンションなど集合住宅においては「共用部」となります。部屋に住む人が専用して使用するスペースですが、部屋のような「専有部」ではありません。また「共用部」はリフォームを行う場合にも制限があり、組合などへの届け出が必要な場合もあります。
なお、マンションの玄関ポーチや外扉、窓なども「共用部」となります。したがって、自分の好きな玄関扉や窓枠に付け替えを行うことはできないことが一般的です。
部屋の「床面積」には含まれない
建物の床面積は建ぺい率により上限があり、固定資産税の金額にも関係します。しかし、「ベランダ」「バルコニー」のどちらも、狭い広いに関わらず建物の床面積には含まれていません。
なお、建物の内部においても床面積に含まれないものがあります。ロフトスペースや出窓は床面積に含まれないため、狭小住宅などにおいてスペースを増やす手段のひとつとして活用されています。
リフォームは届け出が必要な場合も
先ほどご紹介した通り、マンションなどにおいては「ベランダ」と「バルコニー」は、「共用部分」の扱いとなります。そのため、自分の好きなようにリフォームを行うことはできません。
たとえば、オーニングを壁に直接取り付ける場合などは、管理組合の承認が必要になることがあります。禁止されている事項や承認が必要な事項はそれぞれのマンションやアパートで異なるため、入居時や購入時の組合規則を確認の上、届け出を行うようにしましょう。
上下階への配慮が必要
マンションなどにおいて「ベランダ」や「バルコニー」を利用する場合には、上下階への配慮も必要です。騒音と言うと上階から下階へと思われがちですが、声は下から上にも響くため、大声で騒ぐと上下どちらのお部屋にも迷惑をかけることになります。
また、「ベランダ」や「バルコニー」で掃除や植木に水やりを行う場合にも配慮を行いましょう。フェンス近くにおいた植木にホースなどで勢いよく水やりをすると、下の階に水がかかってしまうこともあります。お互いが気持ちよく過ごせるよう配慮しながら、利用したいものです。
「ベランダ」と「バルコニー」以外の屋外スペースを表す言葉とは?
「テラス」とは”1階の部屋から続く屋外スペース”
「テラス」とは、マンションや一戸建ての1階の外側にあるスペースを指しています。リビングなどの床と同じ高さでウッドデッキやタイルを設置した屋外スペースで、リビングなどお部屋の延長として使うことができるよう設置されています。
なお、テレビの番組などで聞くことも多い「テラスハウス」とは、「テラス」が付いた家の意味ではありません。隣の家と壁を共有して建てた「長屋」のことを指しています。
「ルーフバルコニー」は”バルコニー”の一種
「ルーフバルコニー」とは、”バルコニー”の一種です。マンションや一戸建ての最上階に、下の部屋の屋根に当たる場所に作られ、「バルコニー」と比べると面積が広くなることが一般的です。また、階段のように段々の形状をしたマンションなどでは、最上階だけでなく、途中階の部屋にも「ルーフバルコニー」が設けられる場合があります。
「ベランダ」と「バルコニー」の英語表現とは?
「ベランダ」と「バルコニー」英語表現はどちらも”balcony”
「ベランダ」と「バルコニー」の英語表現は、どちらも「balcony」を使うことができます「balcony」は、2階以上にある部屋の外に突き出したスペースという定義で、屋根の有る無しについては関係がないとされているようです。
しかし、「veranda」と言う言葉は、日本語の「ベランダ」とは定義が異なるため、使い方に注意が必要です。「veranda」は建物の1階にあり屋根がついたスペースを指して使います。
(付録)「ベランダ」「バルコニー」のDIYの事例
「ウッドデッキ」や「目隠し」の設置など
「ベランダ」や「バルコニー」を、洗濯物を干す場所としてだけでなく、家庭菜園やガーデニングスペースとして活用できます。床へのウッドデッキの設置や、フェンスへの目隠しの設置は、比較的簡単にできるDIYと言え、SNSにおいてDIYの画像を多く見かけます。
ウッドデッキの建材には、手入れが楽にできる樹脂製の木材や、天然の木材などさまざまにあり、ホームセンターやネットショップで購入することができます。また、目隠しも、すだれや木のパネル、シェードなどさまざまな種類やデザインから選ぶことができます。
まとめ
「ベランダ」と「バルコニー」は、どちらも部屋の外側に突き出して作られたスペースのこと。「ベランダ」は「屋根」や「庇」があり、「バルコニー」にはないと言う点に違いがあります。
マンションなど集合住宅においては、「ベランダ」と「バルコニー」は「共用部」の扱いです。リフォームが制限されている場合や、リフォーム実施の届け出が必要となる場合があるため、管理組合の規約を確認するようにしましょう。