「リクープ」は企業で経営に携わっている人なら理解しておくべきビジネス用語の一つです。「リクープ」は何かを取り戻す、回収するという意味で使われますが、正しい意味についてはわかりにくいという人もいるでしょう。
ここでは「リクープ」について意味や使い方を中心に、関連熟語「リクープライン」についてわかりやすく解説させていただきます。
「リクープ」とは?
「リクープ」の意味は”損失を取り戻す・回収すること”
「リクープ」の意味は、“損失を取り戻す・回収する”ことです。英語の「recoup」が語源のカタカナ語です。出資や初期費用などで発生したマイナスを売上で取り戻したり、別の方法で回収することを指します。また、仕事のミスによって発生してしまった損失や赤字を、他のプロジェクトやイベントなどで取り戻すことも「リクープ」です。
「リクープ」は英語の「recoup」が語源となるカタカナ語ですが、英語でもほとんど同じような意味で使われています。
「リクープ」とは必須ビジネス用語の一つ
「リクープ」は企業で経営や営業部門に携わる人には必須のビジネス用語です。たとえば、新規でプロジェクトを立ち上げたり、新しい商品やサービスを開発するには初期費用がかかってきます。このように、関連会社や子会社、ベンチャー企業などに費用を出資する場合を含め、これらの予算分を総合的に売上や利益などで取り戻るすることを「リクープ」と呼んでいます。
企業経営や売上に関する会議やミーティングに参加する場合、ディスカッションの合間に「リクープ」という言葉を使うことがあるでしょう。「リクープ」は必須ビジネス用語の一つですので、会話の内容を正しく把握できるように、意味をしっかり理解しておきましょう。
「リクープ」と「ペイする」はほぼ同じ意味
「リクープ」に似た表現に「ペイする」があります。「ペイ」とは英語で「支払う」という芋を持つ単語で、カタカナ語として確立したビジネス用語の一つでもあります。
「ペイする」は出資や投資した費用を、数か月後、数年後に取り戻すことを意味します。また、正確な金額は回収できなくとも、費用に見合った成果や結果が得られることを指します。
「リクープ」も「ペイする」は、ビジネスシーンでほぼ同じ意味で使われますが、「リクープ」は費用を回収することに集中するニュアンスが強く、「ペイする」はかかった費用が何とかチャラになった、やっとトントンになったというようなニュアンスを含む表現となります。微妙な違いをもつ二つの言葉ですが、状況によって上手に使い分けをすることが大切です。
「リクープ」の使い方と例文とは?
よく使う表現は「リクープする」「リクープできる」
ビジネスシーンでの「リクープ」は”リクープする”や”リクープできる”という表現を使うことが多いです。そもそも企業は損失や赤字をそのまま寝かせておくことはありません。投資や出資をした分を取り戻し、それ以上の利益を作ることが本来の目的です。
「リクープする」ことで会社を存続させ、また「リクープできるかどうか」で会社の将来性は矛先を変えていくかもしれません。
「リクープ」を使った例文
「リクープ」を使った例文をご紹介しましょう。
- 次回のプロジェクトで上手にリクープできればよいのですが…
- 自分の失敗で生んでしまった赤字を、必ずリクープさせてみせます。
- 出資先の売り上げが順調であるため、出資金をリクープするのは難しくないだろう。
関連用語「リクープライン」とは?
「リクープライン」とは損益分岐点のこと
「リクープ」を使った熟語表現でよく使われるのが「リクープライン(recoup line)」です。「リクープライン」とは「損益分岐点」のこと。商品やサービスを販売した際に発生する利益が「0円になる予算と売上高」を指す言葉です。
損益が生じる点を「リクープポイント」と呼ぶ
「リクープポイント」は損益が生じる時点を指します。売上高がこのラインを超えると利益が発生し、逆にこのラインを下回ってしまうと、赤字となるボーダーラインを意味することになります。
「リクープライン」とは”元を取る”という意識をもって使われる
商品を生産したり、サービスを構築するには「費用」がかかります。たとえば、洋服を生産するには、生地の購入から工場での生産など、利益を生む前にある程度の「費用」が必要なのは当然です。
しかし、企業にとっては「リクープライン」を上回わなければ損をしてしまうことになります。小売店でもサービス販売店でも、常に「リクープライン」を念頭に「元金を回収する」ことを意識しながら販売促進を行っていかなければなりません。そのため「リクープライン」という言葉を使う時は、「元を取る」という意識をもって使われることが多いです。
まとめ
「リクープ」は英語の「recoup」が語源で、「損失や赤字を取り戻す・回収する」という意味を持つビジネス用語です。ビジネスシーンでは「リクープライン」つまり「元を取る」ことを意識しながら、商品やサービス販売を行うことが大切です。
また「ペイする」は「リクープ」と同じようなニュアンスで使われますが、「ペイする」の場合は、正確な金額を取り戻さなくとも、それに見合った成果が得られた時に使われることが多いです。意味の違いを分別して、正しい使い方をするように心がけましょう。