「梗概を提出してください」と言われて、どんな内容を書けばよいのかわからない、そんな人も多いかもしれません。「梗概」は、論文や卒論を提出する際に提出を求められて初めて目にすることも多いでしょう。今回は「梗概」の意味と書き方、また英語での表現などについて解説します。
「梗概」の意味と読み方
梗概の意味は「大略」、「あらまし」など
「梗概」の意味は「大略」「あらまし」「あらすじ」です。そのため「梗概」とは「内容をまとめたもの」を示すことになります。
ただし、物語や小説に用いられる「梗概」と、論文に用いられる「梗概」とでは意味の違う場合があるので、注意が必要です。
読み方は「こうがい」
「梗概」の読み方は「こうがい」です。
求められる内容梗概とは?
小説に求められる梗概
小説の新人賞への応募の際などに梗概の添付が求められます。そのような場合の梗概は、小説のあらすじをはじめから終わりまで、指定された字数内にまとめたものを作成したものとなり、委員が選考の過程で参考とする資料として用いられます。
論文に求められる梗概
卒業論文や学術論文の提出時に求められる梗概は「あらすじ」とは少し意味が異なります。その論文がどのような目的でどのように考察され、どういった結果が得られたかをまとめたものとなるのです。次の項目からは、論文に求められる梗概について説明します。
論文や卒論での梗概の書き方・作り方
梗概の内容・例
卒論などは指導教員から構成を指示されることが一般的です。構成に従って、論文の内容を要約し記載します。
梗概の長さ
A4で1枚~2枚にまとめることが一般的です。
梗概をまとめた梗概集
複数の論文の梗概をまとめた「梗概集」という冊子が作成されることがあります。梗概集は論文の発表会の進行を円滑に進めるために来場者に配布します。また来場できない者に対してその内容を速報するために作成されます。その他には論文集のまとめの記録として用いられます。
「梗概」と「概要」の違い・類語
あらすじや要約を意味する言葉として「概要」という言葉があります。「梗概」も似たような意味を持つ言葉なのですが、なぜ2つの言葉があるのでしょうか?
梗概と概要はほぼ同じ意味
基本的には、「梗概」と「概要」は同じ意味を表す言葉として使われることが多いです。「梗概」の方が硬い印象があるので、賞への応募や論文などで使われることがあるようです。ただし、前述したように小説の場合には「あらすじ」という意味で用いられることもあるため注意が必要です。
「梗概」の類語と意味
「梗概」と似たような意味で使われる類義語や関連語をまとめてみます。
- 梗概 : 大略、あらまし、あらすじ
- 概要 : 全体の要点のまとめ、大要、あらすじ
- 要約 : 要点を短くまとめたもの
- 要旨 : 要点をかいつまんでまとめたもの
- あらすじ : 大体の道筋
比較すると「梗概」「概略」は全体の「あらすじ」を意味しており「全体をまとめたもの」という意味で、「要約」「要旨」は「全体の要点をさらに短くまとめたもの」という意味を示すことが一般的のようです。
梗概の英語表現
梗概は普段接することがあまり無い言葉なので、英語で捉えた方が全体をイメージしやすい言葉かもしれません。英語での意味を解説します。
梗概の英語は「digest」「outline」など
梗概の英語訳としては「digest(ダイジェスト)」「outline(アウトライン)」「summary(サマリー)」などがあります。どれもカタカナ日本語として認識されている言葉です。
- digest(ダイジェスト) ー 意味:要約、摘要、(文学作品などの)梗概
- outline(アウトライン) ー 意味:概略、骨子、講演の梗概を書く(述べる)
- summary(サマリ) ー 意味:要約、大要
英語では要約の意味
「outline(アウトライン)」「summary(サマリー)」はビジネスシーンにおいて概略を示す言葉として定着しており、目にする機会も多いかもしれません。要約という意味ではありますが、より内容のポイントが短縮された短い表現となることが一般的です。「digest(ダイジェスト)」は文学作品、小説のあらすじの意味を示すことが多いです。
いささか古風な趣のある「梗概」ですが、論文の梗概を「論文のアウトライン」と考え、「梗概集」を「論文のサマリー集」と考えると、普段使用している言葉でイメージできるので、不思議と身近に感じられますね。
まとめ
意味を調べると「あらすじ」と書かれている「梗概」ですが、論文の梗概として求められる内容は「研究の目的、過程、結果、考察」をまとめると考えるのが一般的です。「梗概」は難しい言葉ですが、「概要」や「サマリー」と言い換えて捉えると求められていることの理解が深まるかもしれません。