「賃金台帳」とは?記載事項は?保存期間や給与明細との違いも解説

「賃金台帳」は人事に関わったことがある方ならご存知ではないでしょうか。「賃金台帳」は労働者名簿や出勤簿に並ぶ法定三帳簿のひとつで、企業には賃金台帳の作成と保管が義務付けられています。今回は、「賃金台帳」の意味の解説にはじまり、記載事項や様式などの正しい作成方法、保管期間や作成時の注意点について紹介します。



「賃金台帳」とは

「賃金台帳」とは従業員の給与支払いを記載した帳簿

「賃金台帳」とは従業員の給与支払いを記載した帳簿で、交通手当などの諸手当や税金、労働日数や労働時間なども含まれます。記載事項は労働基準法によって定められているので、規定に従って作成されます。

「賃金台帳」は役員やアルバイト・パートなどの日々雇用者を含む全ての従業員が対象で、各事業所で作成されます。企業の事業内容が多岐になる場合は各部門で作成されます。また従業員が一人だけという小さな企業でも、賃金台帳は必要です。

「賃金台帳」は法定三帳簿のひとつ

労働基準法では「賃金台帳」のほかに「労働者名簿」と「出勤簿」の作成と保管を義務付けています。この三つの帳簿は法定三帳簿と呼ばれます。これらの帳簿は労働基準監督署や年金事務所などの調査や役所の監査で提出を求められることがあり、もしも法定三帳簿を作成、保管していない場合には、労働基準法120条により30万円以下の罰金に処されます。

「賃金台帳」の書き方

「賃金台帳」の記載事項

賃金台帳には労働基準法第108条および労働基準法施行規則第54条により、以下の8項目を記載することが定められています。

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 残業時間、休日・深夜労働を含む時間外労働の時間数
  7. 基本給・諸手当・その他の賃金の種類ごとの金額
  8. 税金や保険料などの控除額
  • 「3.賃金計算期間」とは賃金の対象となる期間のことで、月締めならば月初めの1日から月末の日付になります。
  • 労働日数と労働時間数は、賃金計算期間内の労働日数と時間数の合算をそれぞれに記載します。
  • 「7.基本給と手当」は各種類ごとに金額を記載します。

賃金台帳に決まった様式はない

賃金台帳には法的に定められた様式はありません。必要な記載事項を網羅して見やすく整っていれば基本台帳として認められます。したがって賃金台帳はExcel形式でPCを使って自作してもいいですし、市販の賃金台帳を使って手書きをしても有効です。

また、賃金台帳に受領印や検印は必要ありません。

エクセルで賃金台帳を作成する

手書きで賃金台帳を作成するのは時間や労力がかかるため、エクセルを使って賃金台帳を作るのが便利です。エクセルなら、マクロや関数を使い自動計算してくれるため、効率的に作業を進めることができます。

またネット上では、賃金台帳をエクセルで作成できるソフトを無料でダウンロードできるサービスもありますので活用してみてください。

労務士に作成を依頼することもできる

「賃金台帳」は労務士に依頼して作成することもできます。労務士とは社会保険労務士の略語で国家資格です。企業の人に関する専門家と言われて、人事に関する医療保険や栓金制度などの相談を請け負います。

賃金台帳の作成は労務士の独占業務になり、もしも外部に賃金台帳の作成を依頼するなら労務士になります。

賃金台帳の保管期間と罰則

賃金台帳の保管期間は3年間

賃金台帳の保管期間は3年間と決まっています。従業員の給与等の記載があった日から3年間が保管期間になります。従業員が退職、解雇、死亡した場合には、賃金台帳の保管は最後の出勤日から3年間になります。

保管期間が守られなかったり不備があれば罰則がある

保管期間は法的に3年間と定められているのに対して、もしも保管期間を守らなかった場合、または記載事項が守られていない場合には、労働基準監督署から是正勧告書が通知されます。是正勧告書を受け取ったら、是正期日までに訂正箇所を直した正式な賃金台帳を作成して提出します。

もしも是正勧告書の指示に従わなった時には、労働基準法第120条より30万円の罰金が科せられます。

「賃金台帳」と「給与明細」の違い

「給与明細」は「賃金台帳」の代わりにはならない

給与明細は給与支給があった時に従業員に配布されますが、その内容は一ヵ月の給与と手取り額、給与から差し引かれた税金や保険料などの控除の他に、勤務日数などの勤怠などです。

賃金台帳に記載される内容と似ていますが、給与明細を賃金台帳の代わりとして使うことはできません。賃金台帳は記載事項が法的に決められていているのに対して、給与明細に記載される内容に規定はなく、企業によってその詳細は異なるため賃金台帳の代用品として給与明細は不十分です。

まとめ

「賃金台帳」とは賃金の支払いの詳細が記載されている帳簿で、法定三帳簿のひとつです。3年間の保管義務があり、労働基準監督署などから提出を求められることもある大切な帳簿なので大切に保管します。記載事項は法的に決められていますが、その書式には決まった規定がありませんので、記載事項をわかりやすくまとめれば大丈夫です。