「何卒」の意味とは?「何卒よろしくお願いします」の使い方も解説

ビジネスシーンでよく使われる「何卒(なにとぞ)」には「どうか」「どうぞ」の意味があります。「何卒よろしくお願いします」や「何卒ご容赦ください」などもお決まりのフレーズですが、使い方によっては過剰な敬語表現となり、相手に堅苦しい印象を与えてしまう場合もあります。

今回は「何卒」の意味と、使い方や類語、実際の例文も紹介するので参考にしてください。

「何卒」の意味・読み方とは?

「何卒」の意味は「どうか」「どうぞ」

「何卒」の意味は、強調を表す「どうか」や、心から願う様子を表す「どうぞ」です。「何卒」は目上の相手に適した表現であると言えるため、お願い事をするシーンでは「どうぞよろしくお願い致します」よりも「何卒」を使って「何卒よろしくお願い致します」とするほうが、丁寧で相手を敬った言い回しとなります。

「何卒」の読み方は「なにそつ」ではなく「なにとぞ」

「何卒」は「なにとぞ」と読みます。「なにそつ」と読まないように注意してください。特に書き言葉ではなく話し言葉として使用する場合は、間違えることで敬意を示す相手へ失礼となってしまうため気をつけましょう。

「何卒」をメールで使った文例

「何卒よろしくお願いいたします」を使った文例

メールの締めの挨拶として良く使われるのが「何卒よろしくお願い致します」という言葉です。例えば、忙しい相手にメールの催促をする際にはこのように使います。

例文
  • 「お忙しいとは存じますが、ご連絡いただきますよう何卒よろしくお願い致します」

「何卒よろしくお願い申し上げます」を使った文例

「よろしくお願いします」「よろしくお願いいたします」よりも、さらに丁寧な表現にしたい場合は「何卒よろしくお願い申し上げます」を使います。「申し上げる」とは、「言う」の謙譲語+丁寧語「ます」で成り立っている尊敬語で、目上の方や取引先、顧客への敬意が深く伝わる表現です。

例文
  • 「来月○月○日にお伺いしますので、何卒よろしくお願い申し上げます」

「何卒ご了承ください」を使った文例

これから始まる物事に対して許しを請う際に「何卒ご了承ください」が使えます。例えば、休業することで相手に迷惑をかけることに対し許しを請う際は、以下のようになります。

例文
  • 「○○日から○○日にかけて休業いたします。皆様にはご迷惑をお掛けすることとなりますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます」

「何卒」の使い方とは?

「何卒」はメール・手紙の書き言葉に使う

「何卒」という言葉は主にメールや手紙などの書き言葉として使われます。メールの文末に結び言葉として「何卒よろしくお願い致します」と使うことで、文章がまとまるだけでなく相手へ丁寧な印象を与えることができます。

もちろん話し言葉としても使用されますが、相手や状況に構わず使ってしまうと堅苦しくなるため注意してください。

「以上、何卒」はメールの結びの挨拶

一般的なメールの結びの挨拶である「よろしくお願いします」をより丁寧に表現したのが「以上、何卒よろしくお願い致します」です。何卒を使うことにより、最後まで相手に気遣っていることを表します。

「何卒ご容赦」は許しを請う際に使われる

目上の相手に許しを請う際や非礼を詫びる際に「何卒」を使った「何卒ご容赦くださいますようお願い致します」という文章があります。「ご容赦ください」とは目上の相手に許しを請う際に使われる言葉で、「何卒」を付けることで強く許しを請う様子を表現できます。

「何卒ご理解」で強く理解を求める

「何卒」を使った言い回しの1つが「何卒ご理解~」です。相手に強く理解を求める際に「何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます」と使うことができます。例文の場合「何卒」は「どうぞ」ではなく強調を表す「どうか」として使われているため、「どうか理解してください」という意味の文章となります。

「何卒」の使いすぎに注意

強調する際や心から願う様子を表現する際に便利な「何卒」という言葉ですが、使いすぎには注意が必要です。1つの文書に何度も「何卒」を使うと、重く堅苦しい文書になるだけでなく本来強調したい部分が薄れてしまう可能性もあります。

「何卒」の多用は避けて、強調したい部分や文末の締めの挨拶として使うようにしてください。

「何卒」の類語は?

「何卒」の類語は「ぜひ(是非)」「ぜひとも」

「何卒」の類語は「ぜひ」や「ぜひとも」です。物事のよしあしを判断する際に「物事の是非を問う」と使われる「ぜひ」という言葉ですが、後に続く言葉を強調する際にも使われます。

漢字と平仮名の表記の違いについては明確な決まりはありませんが、強調をする際に使われるのが平仮名表記の「ぜひ」であり、物のよしあしとして使う際は漢字表記の「是非」が多く使われています。

例えば「どうぞよろしくお願いします」という言葉を、目上の相手に伝える際は「何卒よろしくお願い致します」の他にも「ぜひとも、よろしくお願い致します」と類語を使って言い換えることができます。上記の例文では強調の意味として使われているため、平仮名で「ぜひ」と表記するほうがいいでしょう。

親しい相手には「どうぞ」「どうか」の言い換えも可

親しい目上の相手やかしこまった場面以外で「何卒」を使うと、過剰な敬語表現で堅苦しいと捉えられる可能性があるため、「どうぞ」や「どうか」と言い換えることも必要です。状況によって使い分けてください。

まとめ

「何卒」とは「どうぞ」や「どうか」という意味があり、強調や心から願う様子を表す際に使われます。締めの挨拶として使うことでまとまりのある文書になるだけでなく、相手に丁寧な印象を与えます。ただし、使いすぎると仰々しく堅苦しく捉えられる場合があるため、使う際は相手や状況によって判断してください。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。