「恩に着る」の意味とは?使い方や返し方、類語・同義語も解説

お礼の言葉として「恩に着るよ」と言われたことはありませんか?「恩に着るから、お願い」と助けをお願いされたこともあるかもしれません。「恩に着る」とはどのような意味なのでしょうか?そして「恩に着る」の「着る」の意味とは?

この記事では、「恩に着る」の意味や使い方、またそう言われたときの返し方を解説します。あわせて、類語・同義語や英語表現も紹介しています。

「恩に着る」の意味とは?

「恩に着る」の意味は”恩を受けて有難く思う”

「恩に着る」の意味は、“恩を受けて有難く思う”ことです。「このご好意を恩に着ます」「助けていただいて恩に着ます」などと使います。

「恩」とは、相手のためを思う情け深い言動のことをいいます。「恩に着ます」は、「この御恩は忘れません」というような、情けをかけてもらったことに対する感謝の気持ちを含んで使われます。

さらにまた、ここで助けてくれたらこの御恩は一生忘れません、というほどの意味で強くすがりたい気持ちを表すときに、「恩に着るから、お願い」などと援助をお願いするときに用いることもあります。

「恩に着る」の”着る”は「身に引き受ける」という意味

「恩に着る」の”着る”とは、「身に引き受ける」という意味です。「罪を着る」の表現でよく使われますが、これは自分の罪ではないのに、その罪を引き受けるという意味です。

「恩に着る」の「着る」を「切る」と間違えて「恩に切る」としたり、そこから派生して「恩に切ります」や「恩に着ります」と間違うことがあるようです。

「恩に着る」の使い方と返し方とは?

「恩に着るよ」は親切にしてくれたことへのお礼の言葉として使う

ビジネスの場面では、自分の抱えている仕事が終わらないときなどに手伝ってくれた人に対して「恩に着るよ」と感謝の意を表すことがあります。これは「ありがとう」の意味に加えて、情けをかけて助けてくれたことを忘れず、いつかこの恩に報います(借りを返します)、という意味合いが含まれています。

「恩に着ます」が敬語表現

「恩に着る」ことを目上の人に伝えるときは、「です、ます」の表現による丁寧語の「恩に着ます」が適当な敬語表現です。しかし尊敬語や謙譲語には適当な表現がないため、相手によっては敬語として弱いと感じるかもしれません。

そのようなときは、「この御恩は忘れません」「ご配慮いただき感謝申し上げます」「大変ありがたく存じます」などの表現に変えることができます。

「恩に着るよ」の返しは”気にしないで”

友人に親切にしたときなどに、「恩に着るよ」と言われたら、聞きなれていない場合はとっさに返す言葉に困ることがあるかもしれません。「恩に着るよ」とは、親切にしてくれてありがとう、という感謝の気持ちの表明であるため、「気にしなくていいよ」と返してあげるのが適当です。

「恩に着る」の類語や同義語とは?

感謝にたえないという意味の「かたじけない」

身に余る親切や処遇に対して、感謝にたえない、もったいないという気持ちを表すのが「かたじけない」という言葉です。「ご配慮いただき、まことにかたじけなく存じます」などと、目上の人に対して恐縮する気持ちとともに用いられる表現です。

目上の人に対して感謝の気持ちを表す「恩に着る」とも共通する意味を持ちますが、「かたじけない」には「もったいない、恐縮だ、面目ない」といった謙譲の気持ちが強く含まれています。

非常にありがたく思うという意味の「幸甚」

「幸甚(こうじん)」とは、非常にありがたく思うという意味です。こうしてくれたら大変うれしいという気持ちを目上の人に伝えるときに用いられます。「お返事をいただけますと幸甚に存じます」とは、「お返事をいただけますと幸いに存じます」という意味です。

情け深い対応をお願いしたいという気持ちを表すときに、「(もし援助いただければ)恩に着ます」とも言いますが、「(もし援助いただければ)幸甚に存じます」と表現したほうが丁寧な印象になります。

きわめて満足なことという意味の「御の字」

「御の字(おんのじ)」は、「〇〇できれば御の字だ」などと用いられ、「ありがたいことだ、きわめて満足だ」という意味を持ちます。「御の字をつけたいほどのもの」の意からできた表現です。「御」とは高い尊敬の意を表す語です。

ある事柄に対して「ありがたい」という気持ちを表す意味では「恩に着る」と同じですが、「恩に着る」は人の親切に対する感謝の気持ちを表すのに対し、「御の字」は人以外の状況に対しても用います。

「恩に着る」の英語表現とは?

「恩に着る」という意味に近い”feel indebted to”

「恩に着る」という意味に近い表現に“feel indebted to”があります。「ご親切、恩に着ます」は”I feel indebted to you for your kindness.”です。

「借りができた」という意味の”I owe you”

「恩に着る」は、情けをかけてもらったことなどに対して感謝する際に、「借りができた」という意味も含んで用いられます。英語で「借りができた」は“I owe you”と表現されます。

「私はあなたに借りができた」は”I owe you.”です。

まとめ

恩を受けたことを有難く思う気持ちを相手に伝えるときの表現が「恩に着る」です。恩に着るの「着る」は、「身に引き受ける」という意味があり、「この御恩は一生この身に引き受け、忘れません」ということを意味しています。ある意味で、「あなたに借りができました」という意味合いを持ちます。

親切にしてあげた相手から「恩に着るよ」と言われたら、「気にしないで」と返すのがスマートです。相手は借りができたことを気にしているためです。逆に、恩に着るよ、と言う相手に対して、当然だとばかりに傲慢な態度を取ると、「恩着せがましい」と非難されることになるでしょう。