「天王山」の意味と語源とは?分野別の使い方と例文・英語も紹介

「天王山(てんのうざん)」は京都盆地の西側に位置する小さな山です。しかし、山名としての「天王山」以外に、ビジネスシーンやスポーツなどで勝敗が分かれる時にも使われることをご存知でしょうか?

ここでは「天王山」の意味と語源、分野別の使い方と例文、英語表現を解説させていただきます。ぜひ、新しい表現を会話に取り入れてアクセントを添えてみて下さい。

「天王山」とは?

「天王山」の意味は”勝負や運命の分かれ目”

「天王山」の意味は、“勝負や運命の分かれ目”のことです。「天下分け目」というような意味の代名詞として知られる表現ですが、日常生活はもちろん、ビジネスシーンやスポーツなどで、ここ一番の勝負時、勝負所という場面で使われる言葉です。

あらゆる勝負や運命を決めるシーンにおいて、山場や最終局面にぶつかった時、「天王山」という表現を使って”ここ一番”という状況を伝えることができます。

「天王山」の語源は”覇権をかけた山崎の戦いで舞台になったこと”

「天王山」は、1582年に明智光秀と羽柴(豊臣)秀吉が行った世紀の合戦“山崎の戦”が語源となっています。この戦で舞台になったのが「天王山」で、羽柴秀吉が最終的に山を占拠し勝利、その後、天下人として名をはせることとなりました。

「天王山」は二人の戦国武将が天下をかけて戦った歴史があり、その背景から「勝敗の分かれ目」という意味でのちに使われるようになりました。

「天王山」は登山コースで知られる標高270メートルの山

そもそも「天王山」は、京都府南部に実際に存在する、標高わずか270メートルの低く平たい山です。「天王山」は登山コースとしても知られ、子供からお年寄りまで、気軽に楽しめるスポットとなっています。登山の途中には展望台や「山崎の戦い」を絵図にした陶板が設置され、当時の合戦の模様を臨場感あふれるイメージで楽しむことができます。

「天王山」の最寄り駅は「JR山崎」、または阪急「大山崎」で、山頂までおよそ一時間程度で登りきることができます。気軽なハイキングが楽しめるため、子供連れの家族やお年寄りのグループなどに人気のあるスポットとなっています。

また「天王山」が位置する大山崎町には淀川が流れ、新幹線や東海道本線、また山の下には東名高速道路が通っているため、交通にも密接した環境でもあります。「天下を分けた舞台」で合戦の歴史に触れながら、週末を過ごしてみるのもよいのではないでしょうか?

「天王山」分野別の使い方と例文とは?

スポーツでは「優勝がかかった重要な試合」を意味する時に使う

日本のプロスポーツ、野球やサッカーなどでも「天王山」という表現を使うことがあります。主に「優勝がかかった重要な試合」という意味で使われますが、この試合を制することで優勝が決まる、ここ一番の大勝負である、という場面で使われることが多いです。

  • 天王山は残り10分で、どちらが先に点を入れるかである。
  • 昨年首位のチームAと今年期待のチームB!どちらが天王山を制するのか?

将棋では「中央の5五を取ること」という意味で使われる

将棋の世界では、将棋盤の中央に位置する「5五」を取ることが重要だとされていました。現在はそのような理解は少なくなったようですが、昔は「5五の位は天王山」と言われ、将棋で勝敗を分ける駒の進め方として知られていました。

  • 「5五の位は天王山」というように、何でも勝つためのコツは存在する。
  • まずは、中央の歩を進めて5五を狙うことに集中しよう。

ビジネスでは「成功するかの大勝負」の場面で使う

ビジネスシーンでも「天王山」を使うことがあります。たとえば、タイトな市場で成功するかどうか、勝ち残れるかどうかの決め手となる場面や、大きな契約の場面で使ったりします。

  • わが社のオリジナルTシャツが市場を独占すれば、今シーズンの天王山となるはずだ。
  • 天王山となるのは、宣伝部長が首を縦に振るかどうかだ。

「天王山」の英語表現とは?

「天王山」は英語で”crucial point”

「天王山」を英語で表現すると、”極めて重要(重大)な点”という意味の「crucial point」が最もオリジナルに近い英訳となります。「crucial」は単に重要という意味ではなく、決定的な、命運を左右するというようなニュアンスを持つ単語です。そのため、勝負における「正念場」を表す時にも使われることがあります。

「天王山」を使った英語例文

「天王山」を使った英語例文をご紹介しましょう。

  • 今期の売り上げが、店舗を持続していくかの天王山となる。
    The profit we would make this term is the crucial point whether we should keep this store running or not.
  • 箱根駅伝の山越えが、一つの天王山とも言われている。
    It is one of crucial point if the runner can go over the mountain or not at Hakone-Ekiden.

まとめ

「天王山」は「勝負や運命の分かれ目」のことで、「天下分け目」「重要な分かれ目」という意味を持って使われる表現です。語源は京都に実際に存在する「天王山」で、ここで、かつて羽柴秀吉と明智光秀が天下を分けて戦ったことが語源となります。

受験生にとっては「夏は受験の天王山」と言われるほど大切な時期となりますが、どのようなシーンでも「運命を決定する分かれ目」を表す時に使えば、独特でユニークな文章に生まれ変わります。ぜひ、正しい意味を理解して「天王山」を使ってみて下さい。