あなたの身近には「天邪鬼(あまのじゃく)」な人はいませんか?「天邪鬼」とは「故意に相手に逆らう人」を意味する言葉で、もともとはひねくれものの妖怪が由来になっています。
ここでは「天邪鬼」の意味と語源、使い方と例文、類語・対義語について紹介。「天邪鬼な人」の性格や英語表現にも触れていきます。
「天邪鬼」とは?
「天の邪鬼」の意味は”故意に人に逆らうこと・人”
「天の邪鬼」の意味は、“故意に人に逆らう言動をすること、または人”のことです。心の中では「そうだ」と思っていても、あえて逆らうようなことを言ったり、ひねくれた行動をしたりすることを指します。
たとえば「海の色は何色?」と複数の人に聞いたとします。多数が青色と答えるのに対し、「天邪鬼」なら「黄色」「白」などと答えるでしょう。心のうちでは「青色」と思っていても、わざとその場の雰囲気を壊してしまうような言動をするのが「天の邪鬼」です。
「天邪鬼」の読み方は”あまのじゃく”
「天邪鬼」の読み方は“あまのじゃく”です。くれぐれも「てんじゃき」や「てんのじゃき」などと読んでしまわないように気をつけましょう。
「天の邪鬼」と表記することもある
また、「天邪鬼」は「天の邪鬼」と表記することがありますが、「天邪鬼」も「天の邪鬼」も間違いではありません。
「天邪鬼」の語源や由来とは?
日本書紀に登場する「天探女(あまのさぐめ)」が由来
「天邪鬼」には由来がいくつかあります。1つ目の語源は日本書紀や古事記などに登場する妖怪「天探女(あまのさぐめ)」だと言われています。「天探女」は神に向かい、逆らうかのように人の口まねをして、からかうような態度をとることから、「ひねくれもの」な妖怪として言い伝えられています。
実際「天探女」は人や天の動きを察知する力があるとされ、その力を使ってわざといたずらをする悪い妖怪」として認識されるようになりました。相手の心をもてあそぶように、逆のことをする小鬼というイメージです。
語源は仏教の「あまのじゃく」と呼ばれた小悪魔
仏教の「毘沙門天像の腹部に位置する鬼面」を「あまのじゃく(海若)」と呼ぶこと、仁王に踏みつけられた小悪魔を「あまのじゃく(耐董)」と呼ぶことが語源になったとも言われています。
「天邪鬼」な人の性格とは?
仕事では「ルールを素直に聞き入れることができない」
「天邪鬼」な人は、仕事においては指示やルールを素直に聞き入れることができず、あえて無視したり、言い訳をしたりするところがあります。「天邪鬼」と呼ばれる人を考察してみると、プライドが高かったり、多数派を嫌ったりする傾向があるようです。
とはいえ、仕事上ではルールを聞いてくれない人と組むのは難しいでしょうから、相手が「なぜ嫌がっているのか?」の本質を探ることが解決への近道となるでしょう。
恋愛では「好きなのに嫌い」と言ってしまいがち
恋愛シーンなら「好きなのに、嫌い」と言ってしまうのが「天邪鬼」です。素直になれなかったり、感情を相手に上手く伝えられなかったりする場合があるため、好意を持っていてもストレートには伝えることができません。天邪鬼な人にとっては「嫌い」という言葉こそが、好きのサインなのです。
「天邪鬼」の使い方と例文とは?
「天邪鬼」は使う相手に気を付けて
「天邪鬼」は「思ったことと裏腹のことを言ったり、逆の行動をあえてすること、または人」のことです。そのため褒め言葉としては適当ではありません。
よく親が子供に対して「本当に天邪鬼ね」と口走ってしまうことがありますが、性格を否定してしまうような意味合いで「天邪鬼」を使わないように気を付けましょう。
「天邪鬼」を使った例文
「天邪鬼」を使った例文をご紹介しましょう。
- しなさいと言えばしない、しなくてよいと言えばする、彼はまさに天邪鬼だ。
- 天邪鬼な性格は小さい頃から変わらない。
- 少数派の立場をとることと、天邪鬼であることは別のことである。
「天邪鬼」の類語と対義語とは?
「天邪鬼」の類語は”ひねくれもの”や”偏屈”
「天邪鬼」の類語には「ひねくれもの」「偏屈」「へそ曲がり」などがあります。どれも似たような表現ですが、言葉がもたらす響きや微妙な意味の違いに着目して、適切な言い換えの言葉を選びましょう。
- ひねくれもの:素直ではなく歪んだ性格をしている人
- 偏屈:素直ではなく、性格が偏っていてひねくれていること
- へそ曲がり:行動や考え方が曲がっていること
また「分からずや」「つむじ曲がり」「根性曲がり」、「屈折した性格」「歪んだ性格」などもも言い換えの言葉とて使えます。
「天邪鬼」の対義語は”素直”や”率直”など
「天邪鬼」の正式な対義語ありませんが、意味の上で反対の意味を持つ言葉はいくつかあります。例文と併せて見ていきましょう。
- 素直:ひがんだ所がなく、考えや行動ががまっすぐなこと
- 率直:気持ちや言葉を着飾ることなく、ありのままなこと。
- 単刀直入:遠回りすることなく、直接要点を言うこと。
「天邪鬼」の対義語「素直」や「率直」などの表現は、相手の性質や考え、言動などを褒める言葉として使うことができます。
「天邪鬼」の英語表現とは?
「天邪鬼」は英語で”devious”や”perverse”など
「天邪鬼」は英語で“devious”や“perverse”などと表現します。どちらも「へそ曲がりでひねくれている・あえて反対のことをすること」という意味があり、人に対して「あの人は歪んでいて難しい」というようなニュアンスを示したい時に使われます。
その他、どのような状況や場面でも、故意に反対する人のことを「devil’s advocate」と表現し、やや相手に対し批判するようなイメージで使われることがあります。
「天邪鬼」を使った英語例文
「天邪鬼」を使った英語例文をご紹介しましょう。
- He is very devious.
彼は本当に天邪鬼だ。 - Acting perverse doesn’t help us to understand who you really are.
天邪鬼でいる限り、あなたがどんな人であるのかは理解はできないよ。
まとめ
「天邪鬼」は「わざと反対のことを言ったり、逆の考えを述べたりする、ひねくれた性格の人」を意味し、日本書紀や古事記に登場する「天探女」という人の心を読み取ることができる意地悪な神が語源と言われています。
「天邪鬼」と言われる人が気を付けたい点は「わざと、故意に人反対のことをする」という点です。もし日常生活や仕事場で「あなたは天邪鬼だね」と言われたら、自分の発言した内容や起こした行動を振り返ってみましょう。