「サービス残業」は違法なのか?実態と労働者ができる対抗策とは

働き改革以来、話題に上ることの多い労働者の労働状態ですが、その中でも「サービス残業」の違法性や実態がクローズアップされています。今回は「サービス残業」の意味や原因のほかにサービス残業の実態を紹介、さらに労働者ができるサービス残業への対抗策も解説します。

「サービス残業」の意味と原因とは?

「サービス残業」とは「時間外手当が未払いの残業」

「サービス残業」とは残業をしても正当な時間外手当が支払わない労働のことです。「サビ残」と省略されることもあります。

労働法では、労働者の労働時間は18時間、週40時間と決められていますが、それを超えた時間外労働には割増賃金、つまり時間外手当が支払われることが決められています。ところが、一部の企業ではこの時間外手当を支払わないで労働者を働かせることがあり、これを「サービス残業」と呼びます。

「サービス残業」の原因は会社の習慣と労務コスト削減

「サービス残業」が行われている原因として考えられることは、日本の企業ではサービス残業が当たり前となっていて習慣として続いていることが挙げられます。

また人員不足の解消のために新しく人員を増やすよりも社員を使ってサービス残業する方が労務コストの削減にもなるため、サービス残業が黙認されている場合もあります。

企業によっては経営側の労働法に関する知識不足のため、人員不足や不況の対応策としてサービス残業を強要しているケースもあります。

「サービス残業」の実態とは

サービス残業を会社が黙認、当たり前になっていることが多い

サービス残業の割合は会社勤務なら3040%、正社員なら4050%、または60%を超えるという調査結果もあります。主に教育、学習支援支援での分野でサービス残業の割合が高くなっています。

サービス残業は他の社員もしていて当たり前になっていたり、会社もサービス残業を黙認していたりしてサービス残病をしている例があります。また社員によっては会社のためにと思い泣き寝入りしている声も聞かれます。

サービス残業が強要される事例も

定時を過ぎてから仕事を依頼されたり、労働時間を超える労働を残業手当なしで強制されたりするなど、サービス残業を強要されている事例があります。残業をしている最中にタイムカードを押すことが習慣となっているような企業も、サービス残業の強要と考えられます。

サービス残業は拒否できる

サービス残業は違法行為ですから、労働者は拒否できますし、サービス残業をしなかったことを理由に企業は労働者を解雇することはできません。しかし他の社員がサービス残業をしているのに自分だけしないで帰宅するのは難しいと考えている人も多くいて、サービス残業を拒否しにくい状況もあります。

サービス残業への対抗策とは?

サービス残業の違法性と罰則

労働法で残業代を支払わない時間外労働はしてはならないことが定められているので、サービス残業は違法行為であり、サービス残業を強要、黙認している企業はブラック企業です。

サービス残業が認められた企業には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。働き方改革により20194月に施行された法改正で、時間外労働の上限は月45時間、年360時間、残業には通常の時給の1.25倍、休日労働には1.35倍の割増率をかけた残業代が支払われることが定められました。もしも36協定で上記の時間外労働以外の条項を締結していたとしても、今回の改正内容の方が重視される可能性があります。

中小企業は1年間の猶予が与えられ、202041日から適用が始まります。

サービス残業は労働基準監督署に告発できる

違法であるサービス残業は労働基準監督署に告発できます。労働基準監督署とは労働法に基づいて企業などが運営されているかを監督する厚生労働省の出先機関で、サービス残業の告発にはサービス残業が行われている証拠が必要です。

告発する前には、弁護士への相談や労働基準監督署でサービス残業を相談することもできます。また、厚生労働省のホームページには「労働基準関係情報メール窓口」も設けられているので、そこにサービス残業の実態を報告できます。報告後、その旨が管轄の労働基準監督署に通知されて、企業への指導や是正が求められることがあります。

残業代は過去2年まで残業代を請求できる

サービス残業により未払いの残業代も過去2年までさかのぼって請求できます。その場合に大切なのはサービス残業をしていた証拠です。

タイムカードが作為的に改ざんされているような場合は、サービス残業をしていたときのメモ書き、SNS等に残された時間がわかる家族へ帰宅メッセージやメールなどが証拠として使えます。これらの証拠を企業に提示して、残業代を請求します。

「サービス残業」の英語表現

「サービス残業」は英語で「unpaid overtime

「サービス残業」は日本独特の労働形態で、海外ではあまり聞かれません。そのため「サービス残業」は意訳となり、例えば「unpaid overtime」(意味:未払いの残業)といった訳が当てられるでしょう。または労働者が自主的に行ったサービス残業と解釈するなら、「volunteer overtime」(ボランティアで行った残業)とも訳せるでしょう。

例文
  • Our company has an unpaid overtime a lot. “
    「私の会社はサービス残業が多い」
  • “Unpaid overtime has become the norm.”
    「サービス残業が当たり前になっている」

まとめ

「サービス残業」とは残業代が支払われない時間外労働のことです。残業には残業手当が支給されるのが法的に定められているので、サービス残業は違法行為です。労働環境の改善を求めて弁護士への相談や告発をすることが難しいときは、転職を視野に入れてみてもいいでしょう。