ビジネスシーンや日常生活の中でもよく耳にする「お手数おかけします」という表現。意味や正しい使い方を理解せず、なんとなく使っているという人もいるかもしれません。今回は、「お手数おかけします」や「お手数をおかけしますが」の意味や使い方について詳しく説明していきます。
「お手数おかけします」の意味と読み方とは
「お手数おかけします」の意味
「お手数おかけします」は、行動をしてくれる相手に対し、お詫びや感謝の気持ちを表現する言葉です。「手間や面倒をかけてしまうかもしれませんが、よろしくお願いします」という意味がこもっています。「手数」は、行動に必要な動作や細工の数、またそれが多くて面倒なことを、「かける」は、あることや物のために労力や時間などを費やすこと、負担をかけることを示しています。
「お手数」の読み方①:おてすう
「お手数おかけします」は「おてすうおかけします」と読まれることが一般的です。「手数」=「てすう」は訓読みと音読みが混じった変則的な読み方になります。
「お手数」の読み方②:おてかず
一方、「お手数」を「おてかず」と読むこともあります。「手数」だけを抜き取って考えると「てすう」のほかに「てかず」という読み方が存在しており、「手数」単体では訓読みをする「てかず」が本来の読み方になります。「てかず」は、なにか物事をするための労力や手間、将棋や碁の手の数、ボクシングでの手を出す数を意味します。
基本的には「おてすう」「おてかず」どちらのの読み方をしても問題はありません。
「お手数おかけします」の類語・類義語とは
「ご面倒をおかけします」との違い
「面倒」は、手数がかかる不快なことや煩雑でわずらわしいことを意味しています。その「面倒」の負担をかけることかけることへのお詫びや感謝を表現する言い方です。意味としては「お手数おかけします」と同じで、使うシチュエーションも同じです。
「お手を煩わせる」との違い
手を煩わせる、つまりこれは相手に面倒をかけることをへりくだる表現です。「お手数おかけします」や「ご面倒をおかけします」は、それ単体でお詫びや感謝を伝えることができます。「お手を煩わせる」は、「お手を煩わせて申し訳ありません」などのように、お詫びの言葉などと組み合わせて使用します。
「お手数おかけします」の正しい使い方とは
「お手数おかけします」はクッション言葉
お詫びの気持ちや感謝を伝えるだけではありません。後に続く文章にワンクッション置く、クッション言葉としても使えるのが「お手数おかけします」なのです。そのほかには「恐縮ですが」や「申し訳ございませんが」などもクッション言葉です。ビジネス上でクッション言葉を使用すると、表現を少しぼかすことができ、話や取引を円滑に進めることにつながることもあります。
「お手数をおかけしますが」との違い
「お手数”を”おかけします」というように「を」の助詞をつけて使う場合があります。文章としては助詞がある「お手数をおかけします」が正確ですが、口語で使う場合には「を」と「お」がつながり「お手数おかけします」と使われる場合が多いようです。改まった場面やメールなどの文章では、「お手数をおかけします」と「を」加えるとよいでしょう。
また、文章で使う場合には、「お手数をおかけします」と単体で使うよりも、「お手数をおかけしますが、○○をよろしくお願いします」のように、「が」をつけて直後に「手数」をかけていただく内容を書き添える場合も多いです。表現のバリエーションとして覚えておきましょう。
「お手数おかけします」は上司にも使える
上司など、目上の人にも使うことができる表現です。相手に手間や面倒に当たる「手数」をかけさせてしまう場合に使用する尊敬語にあたります。
単純にお願いをする「よろしくお願いします」などの表現だけを使用するよりも、「お手数おかけします。よろしくお願いします」もしくは「お手数をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします」のように1文加えるだけで、より丁寧で好印象を持たれる表現になります。相手に何かを教えてもらう時や、確認して欲しい時など幅広いシーンで使うことができます。
「お手数おかけします」の例文・返事のし方
「お手数おかけします」を使った例文
- お手数をおかけして恐縮ですが、何卒ご容赦のほどよろしくお願いいたします
- お手数をおかけしますが、ご確認いただけますでしょうか
- お手数おかけしてすみません(申し訳ありません)
- 私用なお願い事で、何かとお手数おかけしました
- お忙しいところ、お手数おかけします
「お手数おかけします」だけでも感謝や詫びの気持ちは伝わりますが、さらに「申し訳ありません」や「恐縮です」と言った詫びの意味を持った言葉をつなげて表現することがあります。ビジネス上で何かと使用する「お手数おかけします」の表現を、いくつか覚えておくと表現の幅が広がるので便利です。
「お手数おかけします」への返事
相手に「お手数おかけします」と言われた場合はどのように返事をすれば良いでしょう。
- 大丈夫ですよ。いつでもおっしゃってください。
- 構いません。気にしないでください。
- どういたしまして。
- 滅相もないことです。
- とんでもございません。
相手は、手数をかけたことに対してお詫びの気持ちを持って「お手数おかけしました」と言ってきているので、その気持ちを打ち消す内容の返事をするようにしましょう。立場的に対等な相手であれば、どの表現を使っても良いのですが、目上の人には「とんでもございません」「滅相もないことです」などが好ましいでしょう。
まとめ
「お手数おかけします」「お手数をおかけしますが」は、相手への気遣いを感じさせる表現です。ビジネスシーンはもちろんのこと、あらゆるシーンで使われます。場面や相手に応じたやりとりを上手にこなすことで、マナーのきちんとした常識のある人物だという印象を相手に与えることができます。ぜひマスターしておきましょう。