「マージ」はIT用語として「複数のデータを一つにまとめる」という意味で使われていますが、マーケティングや金融業界でも使われている言葉です。この記事では、各業界での「マージ」の意味を解説するほか、「マージ」の対義語やマージと似た言葉である「サマリー」や「マージン」との意味の違い、さらに英語表現も紹介します。
「マージ」の意味と語源とは?
「マージ」の意味は”複数のデータを一つにまとめるコンピュータ処理”
「マージ」の意味は、“2つ以上のデータを一つのデータにまとめるコンピュータ処理”のことです。IT用語としてよく使われる言葉です。そのため、日本語で「併合」とも言います。
「マージする」のように使い、複数のファイルやプログラムなどを決められた手順やルールに従い一つに統合します。
プログラミングでは”修正すること”の意味も
またIT業界で使われる「マージ」には、プログラミングやソフトウェア開発において、新たなコードを加えるなどしてデータを修正するという意味もあります。
- 「複数のPDFファイルをマージする」
- 「各支店の売り上げデータを地域ごとにマージする」
- 「月次の売り上げデータをマージして、年次の売り上げデータにする」
- 「テーブルAとテーブルBをマージさせて、新たにテーブルCを作る」
「マージ」の語源は英語の”merge”
「マージ」の語源は英語の動詞“merge”です。「二つ以上のものを併合する」または「溶け合わせる」という意味です。二つ以上の異なるものが溶け合うときや、会社の合併でもこの「merge」が使われます。
「merge」はラテン語の「mergo」が語源となり、その意味は「水に浸す」や「沈める」です。
「マージ」の対義語・類語とは?
「マージ」の対義語は”パージ”
「マージ」の対義語は「パージ(purge)」で「削除」「切り離す」「追放」という意味があります。IT業界では「パージ」は必要のないデータやファイルを削除するという意味で使われます。
IT業界以外では不要のないものを切り離すという意味で使われることが多くあります。例えば、プラスチックの加工の最中に出るごみなどを洗浄するという意味で「パージ」が使われます。また空気圧によって動く機械から圧縮された空気を抜くことを「パージ」と言います。
また公職から追放するという意味でも「パージ」は使われます。
「マージ」の類語①「サマリー」の意味は要約/合計
「サマリー」は一般的には要約という意味で使われますが、IT用語「サマリー」には合計という意味もあります。たくさんのデータを集計したり要約したりする場合もあれば、データ上の数値の合計をするときに「サマリー」を使います。
「マージ」は複数あるデータをまとめて新たに新しいデータとしてまとめることですが、「サマリー」は元々一つのデータがありそれを短くまとめることを意味します。
「マージ」の類語②「マージン」の意味は余白/手数料
「マージン」とは書類などの文面から用紙の端までの余白部分という意味と、商取引においては「手数料」や売値から買値を差し引いた利ザヤの意味があります。
マージンの計算方法を計算式で表すと、「マージン=売値 – 買値」のようになります。例えば6,250円の売値から買値の5,000円を引いた1,250円(売値の20%分)がマージンです。これを言い換えれば、5,000円の買値の商品に20%のマージンを上乗せすると、買値の6,250円になります。
マージとマージンでは音の響きは似ているものの、意味も使い方も違う言葉です。
マーケティング用語としての「マージ」の意味と使い方とは?
「マージ」の意味は”重複した情報をまとめること”
マーケティング用語として「マージ」が使われるときの意味は、重複した情報を併合して一つの情報としてまとめて整理することです。重複した顧客データから不要な顧客データを削除し新しいデータを作り上げるときなどに使われます。
「マージアルゴリズム」はマージするデータを処理する手段
マーケティングでのマージには、主に「マージアルゴリズム」が使われています。マージアルゴリズムによって複数の情報列を速やかに一つにまとめることができて、主として関数型言語が用いられます。
「アルゴリズム」とは問題を解決するための手法のことで、代表的なものにキーワードに関連したサイトを検索順位別に表示する検索エンジンが挙げられます。
「マージソート」とは統合と分類を同時に行うこと
「マージソート」とは複数のデータをデータアルゴリズムによって規則正しく並べた後に、細かく分類しながら、更に並べ直して併合していくことです。データ列を半分に分けていき、分けられなくなったところで同じ列同士を併合していきます。
マージソートを用いることで複数の情報列を一つに統合することはもちろんのこと、大きな情報列を複数の小さな情報列に分けることができるので見やすいデータとなります。
金融業界での「マージ」の意味とは?
金融業界で「マージ」の意味は”同一預金者の複数口座の預金額の合算”
金融業界で使われる「マージ」の意味は、一人の預金者が持つ複数の口座の預金額を合算することです。「名寄せ」とも呼ばれ、預金者の保有する預金総額を計算するときに行われる作業です。
金融機関が破綻して預金者に預金の払い戻しを行うときなどに、マージして特定の預金者の預金総額が計算されます。
「マージ」の英語表現とは?
「マージ」は英語で”merge”
冒頭で解説した通り、「マージ」は英語で“merge”です。
二つ以上の物を併合する、または溶け合わせるという意味があります。またビジネスにおいて、会社が合併するという時にも「merge」が使われます。
「マージ」を使った英語例文
「マージ」を使った英語例文をご紹介しましょう。
- “He merges A and B.”
「彼はAとBを合わせる」 - “The subsidiary will be merged with the parent company.”
「子会社と親会社を合併させる」
まとめ
「マージ」とは「二つ以上のデータを一つのデータとしてまとめる」という意味のIT用語として使われる機会が多いものの、他業界でも使われますしゲーム名にも使われています。使われる機会の多い「マージ」なので、語源となった英語「merge」の「併合する」や「溶け合わせる」という意味も覚えておくと便利でしょう。