「綺麗事」の意味とは?使い方や類語・対義語と英語表現も紹介

お世辞を言ったり、体裁ばかりを気にすることを表す言葉に「綺麗事」があります。「綺麗事を言っている」「ただの綺麗事」などのように使うことが多いですが、他にも別の意味を持つことをご存知でしょうか?

ここでは「綺麗事」の意味、使い方と例文、類語と対義語、英語・韓国語表現を紹介させていただきます。

「綺麗事」の意味とは?

「綺麗事」の意味は”実情ではなく体裁のみを気にしたことがら”

「綺麗事」の意味は、“実情ではなく体裁のみを気にしたことがら”です。事実や真実、実情とは裏腹に、それらにそぐわない「うわべだけをつくろったことがら」を指します。

「綺麗事」は表外だけ見れば、非常に立派で素晴らしい印象を与えるのが特徴です。口先だけ、上っ面だけに長けていて、悪い要素や批判的な表現を含まない、言葉通り「綺麗な事柄」を表す時に使われます。

ちなみに「綺麗」には見た目だけが派手できらびやかなことという意味があり、この場合に「綺麗事」は、この意味から出来た言葉となります。

「綺麗事」には”綺麗に手際良く仕上げること”という意味も

「綺麗事」には“綺麗に手際よく仕上げること”という意味もあります。つまり、余計な時間をかけず、手際よく美しく仕上げることを指します。

また、「綺麗に手際よく仕上げた仕事」という意味から「汚さずにできる仕事」「汚れないで完成できる仕事」転じて「楽な仕事」という意味も持ち合わせます。また「綺麗」には「汚れや余計なものがない、含まない」という意味があることも覚えておきましょう。

「綺麗事」の使い方と例文とは?

ビジネスでの「綺麗事」の必要性は状況による

「綺麗事」を言う人の心理状態はさまざまです。自分に自信がなく、とにかく他人から認められたい、たとえ実情にそぐわなくても相手に喜んでもらいたい、相手を励ましたい、など目的を持って「綺麗事」を言うことがあります。

中でも、ビジネスシーンでは利益や契約を獲得したい、上司から高評価をもらいたい、仕事の失敗の言い訳をする時など、「綺麗事」はさまざまなシーンで使われる表現方法の一つでしょう。

そうはいうものの、現実的な話を直接したい、うわべだけで媚びを売るような態度が嫌いである、というような相手には「綺麗事」を並べることは返って逆になることがあります。ビジネスシーンでは状況や相手をよく観察してから「綺麗事」を言う必要があるということを学んでおきましょう。

「綺麗事」を使った例文

「綺麗事」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 綺麗事ばかり言っていないで、本心を言いなさい。
  • 取引先が送ってきた説明文は単なる綺麗事に過ぎない。
  • 綺麗事を連ねる部下の真理には、言い分けと事項防衛の要素がみられる。
  • 今回の作業は、予想外の綺麗事であった。
  • 綺麗事なので、白の服を着てきても大丈夫ですよ。

「綺麗事」の類語と対義語とは?

「綺麗事」の類語は”美辞麗句・かっこいいセリフ・虚飾”

「綺麗事」と類語で文脈によって言い換えのできる言葉は、言葉の意味である「建前」や「体裁」「うわべ」などの他、「美辞麗句」「かっきいセリフ」また「虚飾(きょしょく)」などが挙げられます。

  • 建前:外から見た様子、それらしい形式
  • 体裁:外見や外観、世間体、世間の目を気にした様子、
  • うわべ:表面やみかけの事情
  • 美辞麗句:立派に美しく見える、また聞こえる字句
  • かっこいいセリフ:見た目や聞こえ目だけがよい言葉
  • 虚飾:うわべだけの体裁や見栄、内容が伴わない飾りだけのものごと

中でも「美辞麗句」は「綺麗事」を並べる相手に対し、やや皮肉的なニュアンスを持って使われることが多いです。たとえば、ビジネスシーンでは、あまりにも見事で相手を喜ばせるだけのうわべだけの発言に対し、「美辞麗句を連ねる(並べる)」というように使うことがあります。

「綺麗事」の対義語は”中身・中味・実質”

「綺麗事」の対義語となる正式な言葉は見当たりませんが、意味の上から「うわべ」や「上っ面」の反対となる言葉は「中身」「中味」「実質」となります。

  • 中身:中に入っているもの、ものごとの内容
  • 中味:物事の内容、実質
  • 実質:実際の物事、実情のことがら

綺麗事ではなく、その反対である「実質的なものごとの内容」が知りたい時、明らかにしたい時に、これらの表現を使いましょう。

「綺麗事」の英語や韓国語表現とは?

「綺麗事」は英語で”cosmetic”や”fine words”

英語で「綺麗事」を表現するなら“cosmetic”“fine words”が最も良いでしょう。「costmetic」は”うわべだけの、見せかけの”という意味を持ち、真実や本当のことを隠して良く見せるというニュアンスで使われます。また「fine words」も文字通り「綺麗な言葉」という意味があり、悪い要素を含まない美しい表現という意味で使われます。

  • What he said earlier was nothing but cosmetic gesture.
    さっき彼が言ったことは、全くの綺麗事に過ぎない。
  • Stop lining up with fine words , just tell me the truth.
    綺麗事ばかり言ってないで、本当の事を言ってよ。

「綺麗事」は韓国語で” 듣끼 조으라고 하는 소리

韓国はビジネスでも多くの日本企業が拠点を置く国の一つですが、韓国語で「綺麗事」は듣끼 조으라고 하는 소리(トゥッキ チョウラゴハヌンソリ)”と言います。ビジネスシーンや日常的な会話の中で、建前や体裁ばかりを気にして、うわべだけつくろうような時に使ってみましょう。

まとめ

「綺麗事」は「実情にそぐわないことを上辺だけで言う」「体裁だけを気にして、表面を取り作る」、また「手際よく綺麗に仕上げる」「汚さないで美しくする」などの意味を持つ言葉です。

「綺麗事」はビジネスだけではなく、日常的にプライベートな場面でも使うことがあります。むしろ、複雑な社会構造でライフスタイルで生活をしていくには、どうしても「綺麗事」を言わなくてはならないこともあるかもしれません。ぜひとも、「綺麗事」は相手の癇に触れぬよう、相手や状況を見極めてから使うようにしましょう。