「劈く」の意味と語源とは?使い方の例文と類語「寸裂」も解説

「劈く」の意味を知っていますか?日常生活では聞きなれない言葉かもしれませんが、読み方は「つんざく」で、「耳を劈く」などの使い方をします。「劈く」の意味や使い方を知りたいという方に向けて、「劈く」の意味や語源、類語の「寸裂」を解説します。くわえて、「劈く」を使った例文と英語表現も解説していきましょう。

「劈く」とは?

「劈く」の意味は”強い力で引き裂くこと”

「劈く」の意味は、“強い力で引き裂くこと”です。たとえば、「空を劈くほどの雷鳴」という文章だと、「空を引き裂くほどの雷鳴」という意味になります。実際に、空が引き裂かれるわけではありませんが、雷鳴の大きさを伝える比喩表現として、「劈く」が使用されているのです。

「劈く」の読み方は”つんざく”

「劈く」の読み方は“つんざく”です。「劈(つんざ)く」の他に、訓読みでは「劈(さ)く」、音読みでは「劈(へき)」と読みます。「劈」を使った熟語には「劈開(へきかい)」や「劈頭(へきとう)」がありますが、日常生活やビジネスシーンではあまり目にしない漢字です。読み間違いに注意しましょう。

「劈く」の語源は”つみさく”にある

「劈く」の語源は“つみさく”という言葉にあります。「つみさく」とは、”手や爪先で裂いたり破ったりすること”を意味する言葉です。「つみさく」の音が発しやすいよう「つんざく」に変化し、「強い力で引き裂くこと」として使われるようになりました。

ただ、辞書によって「劈く」の語源は「つみさく」ではなく、「つきさく」が変化したものという説もあります。

「劈く」の使い方と例文とは?

「劈くような」「○○を劈く」などの使い方をする

「劈く」は「劈くような○○」「○○を劈く」などの使い方をします。たとえば、「大気を劈くような爆音」という例文。上記の例文だと、「大気を引き裂くような爆音」を意味しており、爆発の音が大きい様子を「大気を劈く」という表現で例えています。

他にも「空気を劈く」や「闇を劈く」など、実際にものを強く引き裂くのではなく、状況を表す例えとして多く使用されます。

「耳を劈く」は”大きな音がする様子”を表す

「劈く」の使い方の1つに「耳を劈く」があります。「耳を劈く」は「大きな音がする様子」を意味する慣用句です。「耳」に「劈く」を加えることで、「鼓膜が引き裂かれるほどの大きな音」である様子を表します。

例文

・耳を劈くような悲鳴が聞こえてきた

・黄色い歓声が耳を劈く中、彼らは颯爽と現れた

・耳を劈くような爆音とともに、集中砲火が浴びせられた

「劈く」を使った例文

「劈く」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 耳を劈くようなエンジン音が聞こえた後、機体が宙に浮いた
  • 耳に残るような不快な叫び声が、静寂をつんざいた
  • 新しく建設された塔を見に行くと、空を劈くようにそびえ立っていた
  • 闇をつんざくようなサイレンが聞こえた後、緊急車両が横切って行った

「劈く」の類語と言い換え方とは?

「劈く」の類語は”寸裂”

「劈く」と似た意味をもつ言葉(類語)に当てはまるのが「寸裂」です。読み方は「すんれつ」で、「ズタズタに裂けること」を意味します。「劈く」と似た「裂けること」という意味をもつ「寸裂」ですが、「耳を劈く」のように「大きな音がする様子」を表すことはできないため注意しましょう。

「轟音」は大きな音がする様子の言い換え

大きな音がする様子を言い換えたい場合は、「轟音(ごうおん)」を使用しましょう。「轟音」とは「響き渡る大きい音」を意味し、「轟音が鳴り響く」のように使うことで「大きな音がする様子」を表せるのです。

また、「音がする様子」を表す慣用句には、「絹を裂くような」「耳を塞ぐ」などがあげられます。「絹を裂くような」は「高く鋭い声がする様子」を意味し、「耳を塞ぐ」は「聞かないようにする様子」をそれぞれ意味します。ただ、「耳を劈く」と全く同じ意味ではないため、注意しましょう。

「劈く」の英語表現とは?

「劈く」は英語で”Pierce”

「劈く」の英語表現に当てはまるのが”Pierce”です。「Pierce」とは”突き通す・劈く”を意味する単語です。たとえば、「A thunder pierced the darkness」という例文。上記の例文だと、「闇を劈くような雷」という意味になります。

また、「耳を劈く」を英語で表す場合は、「Deafening」が適しています。「Deafening」とは「耳を聞こえなくするような」を意味する単語ですが、使い方によって「耳を劈く」という意味になります。「Deafening noise(耳を劈くような騒音)」「Deafening cheers(耳を劈くような歓声)」のように使いましょう。

まとめ

「劈く」とは「強い力で引き裂くこと」を意味する言葉で、「劈くような○○」や「○○を劈く」のように使います。慣用句の「耳を劈く」は「大きな音をする様子」を意味しており、「状況の例え」として使われます。

類語には「寸裂」が当てはまりますが、「耳を劈く」のように「大きな音がする様子」を表すことはできません。「耳を劈く」を言い換えたい場合は、「大きく響き渡る音」を意味する「轟音」を使用しましょう。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。