飽和状態とはどんな意味?化学での意味や類語・対義語も解説

「飽和状態」とは「これ以上余地はないほどにいっぱいである状態」を意味する言葉。今回は「飽和状態」と言う言葉について、化学や理科・職業における意味もあわせて解説します。また、読み方と、「飽和状態になる」などの使い方や例文について紹介。類語・対義語と英語での表現もお伝えします。

「飽和状態」とは?

「飽和状態」の意味は”余地がないほどいっぱいの状態”

「飽和状態」の意味は、“これ以上の余地がないほどにいっぱいの状態”です。「飽和状態」の読み方は、“ほうわじょうたい”です。

「飽和状態」の「飽和」とは、”持つことができる最大限にまで量が達していること・増加していくうちにこれ以上増加できなくなる状態に達していること”の意味です。また、「飽きること」の意味も持ちあわせています。

「飽和状態」は英語で”saturation”

「飽和状態」を英語で表現する場合は、“saturation”“saturation state”と言う言葉を使います。「saturation」は「飽和状態」をはじめ、「浸透」や「彩度」「集中攻撃」などの意味を持つ言葉です。

「state」と言う英単語は、「状態」の意味を持ちます。「飽和状態にある○○」と表現する場合には、「○○ at a state of saturation」「saturation state of ○○」という表現を使います。

化学・理科分野における「飽和状態」とは?

化学分野における意味は「物質が溶解度まで溶けていること」

化学分野における「飽和状態」の意味は、“物質が溶解度まで溶けている状態”です。「溶解度」(ようかいど)とは、一定の量の水に溶かすことが可能な物質の量のこと。水の温度と物質の種類により、「溶解度」は異なります。「飽和状態」とは、物質を追加した場合にも「これ以上はもう溶けない」という状態を表しています。

「空気が温度の限界まで水蒸気を含む状態」の意味も

「飽和状態」とは、“空気が限界まで水蒸気を含んでいる状態”の意味としても使う言葉です。空気が含むことのできる水蒸気の量には限りがあり、1立方メートルあたりの空気が含むことのできる水蒸気の量を「飽和水蒸気量」と呼びます。飽和水蒸気量は空気の温度によって変わり、高いほど多くなり、低いほど少なくなります。

その他の「飽和状態」の意味とは?

「職業・仕事が飽和状態」とは”人余り”の意味

職業や仕事の「飽和状態」とは、求人数より求職者数が多い”人が余っている状態”を意味します。人が余っている状態であるかは、「有効求人倍率」を元に判断します。

「有効求人倍率」とは、「有効求人数」を「有効求職者数」で割ったものです。求人数より求職者数の方が多いと、「有効求人倍率」が1を下回ることになります。したがって、その職業においては「飽和状態」であることとなります。

なお、「有効求人倍率」や「有効求人数」は、厚生労働省が公共安定所での求人と求職情報をまとめ毎月発表。厚生労働省のウェブサイトから閲覧することも可能です。発表資料には「建設業」「製造業」など業種別の求人状況が掲載されています。

「市場が飽和状態」の意味は”新規参入の余地がない状態”

「市場が飽和状態」とは、”○○市場”が既に人気がある状態で、新たに参入する余地がないことを意味する言葉です。たとえば、現在人気の「YouTube(ユーチューブ)」。多くの人が「YouTuber(ユーチューバー)」として、動画を投稿し、「YouTube」には見切れないほど数多くの動画が「飽和状態にある」とも言えます。今から新たに参入しても、人気を獲得し報酬を得ることは容易ではない状態です。

「飽和状態」の使い方と例文とは?

「飽和状態になる」「飽和状態の」などと使う

「飽和状態」と言う言葉は、「○○が飽和状態になる」「飽和状態の○○」などと使います。○○には様々な言葉を入れて使い、どちらの場合も「余地がないほどいっぱいの状態」を表します。

たとえば「物置が飽和状態になる」は、「これ以上物が入らないほど物置いっぱいに物が詰め込まれている状態」を表した表現。また「飽和状態の道路」と言う表現は「渋滞している道路」を意味します。

「飽和状態」を使った例文

「飽和状態」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 国内市場が飽和状態に近づいているため、今後は海外市場へとシフトして行く必要がある。
  • ここ最近トラブルが立て続けに起こり、気持ちが飽和状態であるため、今何かを言われても落ち着いて考えることができない。
  • ここ数年でマンションの建設が急激に進んだため、いずれ飽和状態となることは目に見えている。

「飽和状態」の類語とは?

「満杯」は”飽和状態”と同じ意味

「満杯(まんぱい)」とは、”容器に中身がいっぱいに入っていること・物がいっぱいに入っていてこれ以上は入らない状態であること”を意味する言葉。「飽和状態」の”これ以上余地はなくいっぱい”の意味と同じであると言えます。例えば「着もしない衣料でクローゼットが満杯」と言う表現は、”着もしない衣料でクローゼットが飽和状態”と言い換えても同じ意味合いとなります。

既に余っている場合は「だぶつく」

「だぶつく」とは、”物やお金が余っている状態・あり余る状態”を意味する言葉です。「飽和状態」とは近い意味を持つ言葉ですが、ややニュアンスが異なります。

「飽和状態」と言う言葉の意味は”これ以上余地がないほどにいっぱいの状態”です。一方で、「だぶつく」と言う言葉は既に”余ってあふれている状態”であると言う点が異なります。

「飽和状態」の対義語とは?

意味として反対の言葉(対義語)は「不足」

「不足(ふそく)」と言う言葉は、「飽和状態」の意味としての反対の言葉であると言うことができます。「不足」とは、「足りていない」を表す言葉。一方「飽和状態」は、「これ以上の余地がないほどにいっぱい」の意味を持ち、「足りている状態」を表しています。したがって、「不足」は「飽和状態」の反対の意味合いを持つ言葉であると言えます。

また、「不飽和状態」も、「飽和状態」の反対の意味を持つ言葉です。「不飽和状態」とは「飽和まで達していない状態」を意味しており、化学分野で使われます。

まとめ

「飽和状態」とは、「これ以上の余地がないほどいっぱいの状態」を意味する言葉。「飽和状態」は化学分野においても使われる用語で、また、人や製品の需要が飽和していることを表す場合にも使います。

「飽和状態」の類語としては、「満杯」や「だぶつく」などの言葉が考えられます。また、「飽和」の意味として反対の言葉(対義語)は、「不足」です。