「インターバンク」とは?インターバンク市場とFX業者との関係

FX取引に興味のある方なら見聞きしたことのある「インターバンク」という言葉。でも、いったい何なのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は「インターバンク」の意味と、インターバンク市場の特徴である金融市場と外国為替市場についてそれぞれ解説し、FX業者との関係についても紹介します。

「インターバンク」の意味と特徴とは?

「インターバンク」の意味は”銀行間取引”

「インターバンク」とは、“銀行間のみで行われる為替取引”のことです。専用端末や仲介業者、電話を介して取引されます。

「インターバンク」の語源となった英語「interbank」とは「銀行間の」という意味ですが、「インターバンク」は「銀行間の」という意味にとどまらず、「銀行間での取引」という意味で使われます。そのため「インターバンク市場」の略語とも考えられます。

「インターバンク」は銀行間で行われる取引のため、一般の投資家は参加できません。

インターバンクでの取引の特徴:「金融市場」と「外国為替市場」

インターバンクは、短期資金の賃借を行う金融市場と外国為替市場があります。金融市場では、短期の資金売買が中心とした取引が行われています。一か月未満の短期資金の売買で、取引は翌営業日には決済になる商品が中心となります。

一方、外国為替市場では、外国為替の売買が24時間、世界各地で取引されています。

インターバンク市場と金融市場の種類とは?

「インターバンク市場」とは”金融機関だけが参加できる市場”

「インターバンク市場」とは、銀行、ブローカー(投資会社)、金融当局などの金融機関だけが参加できる市場です。金融機関内で資金の課不足分を調整する目的で開かれていて、短期資金や手形、外貨が取引されています。

取引所はなく、直接取引またはブローカーを通じて、主に専用電話や専用端末を通して取引されています。このような取引方法を「ダイレクトディーリング」と呼びます。

インターバンク市場の種類:「手形売買市場」

インターバンク市場には、「手形売買市場」と「コール市場」の2つがあります。

「手形売買市場」とは、手形を担保として、自己引受の手形を振り出して市場で売買を行う市場で、金融機関がお互いに短期の資金を賃借する目的で行われています。主に短資会社が貸し手または借り手のどちらかの当事者として取引されます。

取り引きされる手形は優良企業の商業手形である「原(げん)手形」と金融機関が振り出す有価証券の「為替手形(表紙)」がありますが、実際の取引では、為替手形による取引が中心です。最低の取引金額は原則として1,000万円で、100万円刻みで取引されます。

インターバンク市場の種類:「コール市場」

「コール市場」とは、短期の資金の貸し付け、借り入れを行う市場です。日々の資金の課不足分を調整する目的で行われている市場で、「呼べば応える市場」という性格から「コール市場(call market)」と名付けられました。

取り引きが成立した約定日に取引が成立する「半日物取引」、約定日の翌営業日にとりひきが成立する「翌日物取引」、取組日と決裁日を自由に決められる「期日物取引」があります。

またコール市場では、日本銀行の積極的な介入により低金利が実現しています。

無担保コール市場と有担保コール市場

コール市場には担保を必要としない「無担保コール市場」と担保を必要とする「有担保コール市場」があります。

「無担保コール」とは19857月からスタートした市場で、短資会社が仲介して資金の貸し手と借り手がそれぞれ条件を提示して成立する仕組みで、利子は後払いとなりますが、取引手数料は貸し手と借り手の双方が短資会社に支払います。

一方「有担保コール」は資金の借り手から担保が提示されて行われる仕組みで、主に大口取引に際に行われている取引です。

インターバンク市場と外国為替・FX業者との関係とは?

インターバンクで外国為替が取引される

インターバンク市場の外国為替市場では、外国為替が世界中の銀行間で24時間取引されています。取引される場所は、東京、香港、シンガポール、ヨーロッパ、ロンドン、ニューヨークの順番になり、常にどこかの市場が開いています。

「外国為替」とは二つの異なる通貨を交換することですが、通貨の受け渡し時期により「直物為替」と「先物為替」に分けられます。「直物為替」は、通貨売買の契約した日から2営業日以内に、「先物為替」は契約した日から2営業日以降に決済(受け渡し)が行われます。

「インターバンクレート」とは”為替取引のレート”のこと

「インターバンクレート」とは、インターバンク市場で行われる為替取引でのレートで、外国為替市場で通用しているレートです。

取引は世界中で各金融機関が一対一で取引が行われているため、インターバンクレートは多数存在することになります。その中から有利なレートが選ばれて、銀行が顧客と取引する相場価格が決められます。この対顧客に対するレートは、「対顧客公示レート」としてインターバンクレートと区別されます。

インターバンクと個人投資家をつなぐFX業者

FX業者(短資会社)は、金融機関内で取引されるインターバンクと個人投資家を仲介する役目を果たします。インターバンクは金融機関しか参加できませんが、FX業者が個人投資家の代行をすることで取引を行えます。FX業者は顧客から預かった証拠金を担保にして、外貨の売買をします。こうした取引のことを「FXトレード」といいます。

「インターバンク」の対義語は”オープン市場”

「インターバンク」の対義語として考えられるのが、「オープン市場」です。インターバンクは銀行間での取引に限定されているのに対して、「オープン市場」は、金融機関や証券会社、公的機関に外国企業に加えて、一般の投資家も参加できる市場です。

短期金融市場のひとつになり、一年以内の資金が調達、運用されています。その種類は、CD市場(譲渡性預金)やCP市場(コマーシャルペーパー)、国庫短期証券市場(TDB市場)、債券現先市場などがあり、インターバンク同様、取引所はありません。

まとめ

「インターバンク」とは銀行の間での取引という意味ですが、インターバンク市場の意味で使われることもあります。インターバンク市場は金融機関のみが参加できる市場で、短期資金の賃借を行うための市場と外国為替市場に分けられます。外国為替市場に個人投資家は参加できませんが、FX業者が代行できます。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。