「入稿」の意味とは?データの作り方や「脱稿」「校了」も解説

「入稿」とは、「印刷会社に原稿を渡すこと」「執筆者から原稿を受け取ること」の2つの意味を持つ言葉。使う立場によって、2つの意味を使い分けます。今回は、「入稿」の意味を紹介。類似表現の「入校」や関連する「脱稿」や「校了」についても解説します。また、入稿データの作り方や、「入稿」の英語での表現もお伝えします。

「入稿」の意味とは?

「入稿」の意味は”原稿を渡すこと・原稿を受け取ること”

「入稿」の意味は、“原稿を渡すこと・原稿を受け取ること”です。

「原稿を渡すこと」とは、出版社が、印刷会社や組版所に対して原稿を渡すことを意味しています。「原稿を受け取ること」とは、出版社が、原稿の執筆を依頼した相手から原稿を受け取ることです。

このように「入稿」と言う言葉は、使う立場によって逆の意味合いとなります。

なお現在、「入稿」の言葉は、印刷物に限らず使われています。たとえば、ネット広告代理店などが、広告に掲載する原稿や画像データを広告先に納品することも「入稿」と言う言葉を使います。

「入稿」に関連する用語とは?

「入稿予定日」とは”入稿を行う予定の日のこと”

「入稿予定日」とは、印刷を注文した際に指定した“入稿を行う予定の日のこと”です。「入稿締め切り日」や「入稿期限」と呼ぶ場合もあります。

印刷会社は、「入稿予定日」にあわせて印刷の段取りを行います。したがって「入稿予定日」になっても「入稿」できない場合には、印刷物の完成や出荷など「納品」が遅れるなどの影響も発生します。

「初稿」とは”最初に提出する原稿”

「初稿」とは、“最初に提出する原稿”のことです。また、最初に提出する「原案」のことを指す場合もあります。

「初稿」に対してまず行うのが、「初校」と呼ばれる「校正」(チェック)。修正や調整が多い場合には、「初校」の後に、「校正」を何度も繰り返して行います。「校正」の詳しい意味については、後ほどご紹介します。

「脱稿」とは”原稿を書き終えること”

「脱稿」(だっこう)とは、”原稿を書き終えること・原稿を完成させること”を意味する言葉です。執筆者が「脱稿」を終えた後に行うのが、印刷会社や依頼元への「入稿」です。

「脱稿」の「脱」の漢字は、「脱ぐ」や「抜け出す」の意味を、「稿」は「下書き」や「文書の原案」の意味をそれぞれ持っています。「脱稿」は、「稿を脱する」と言う表現をする場合もあります。

「校正」とは”原稿のチェックを行うこと”

「校正」(こうせい)とは、「入稿」された“原稿やデザインデータのチェックを行うこと”です。原稿に誤字や脱字などの不具合がないか、デザインデータについては内容や色・レイアウトなどの不具合がないかをチェックします。チェックを行うだけでなく、修正作業自体を行う場合もあります。なお、色が想定通りとなっているかの確認を行うための校正を、「色校正」(いろこうせい)や「色校」(いろこう)と呼びます。

「校了」とは”印刷できる状態のこと”

「校了」(こうりょう)とは、不具合や修正すべき点がなく“印刷ができる状態”になっていることを意味する言葉です。「校正」は繰り返し行われることもありますが、すべてが修正されこれ以上手を入れる必要がなくなった時点で、「校了」となります。

なお、校了が終わると、印刷用の刷版の作成に移ります。校了から印刷へと移ることを「下版」と呼びます。

「入稿」の類似表現とは?

「入校」は「入稿」とは関連しない言葉

「入校」とは、「学校に入ること」「入学すること」を意味する言葉です。したがって「入稿」の言葉には関連しない異なる意味の言葉です。

「入稿」に関連する用語には、「校了」「校正」など「校」の漢字を使った言葉があります。そのため、「入稿」の「稿」を「校」と混同して、「入校」と誤った使い方をしている場合もあると考えられます。

「入稿」データの作り方と注意点とは?

入稿データはアウトライン化を行う

デザインデータを「入稿」する際には、アウトライン化を行うことが一般的です。入稿データの仕様には、アウトライン化を行うことが指定されている場合もあります。

アウトライン化を行うと、デザインに使用したフォントが、クライアントや印刷会社のPCにインストールされていない場合でもデータを再現することが可能です。アウトライン化を行わない場合は、他のフォントに置き換わり、正しくデザインが再現されないことがあります。

PDF入稿時アウトライン化は必要となることも

PDFデータで「入稿」を行う場合にも、アウトライン化が必要となることがあります。イラストレータやワードなどで作成したファイルから、PDFに変換を行う際には使用しているフォントが自動的に埋め込まれます。しかし、PDFに埋め込みができないフォントが使われていた際には、アウトライン化を行う必要があります。

トンボを消すのは避ける

デザインデータの入稿時には、「トンボ」が必要です。「トンボ」とは、印刷した後に紙の裁断を行う際や、版を重ね合わせるために使用される印のことです。したがって「トンボ」は削除せず残したまま入稿を行うようにしましょう。なお、デザインデータを作成する際に、「仕上がり線」を使用した場合には、入稿時には削除します。

「入稿」の英語表現とは?

「入稿」は英語で” submit” を使う

「入稿」の英語表現には、“submit”を使います。「submit」とは、”提出する・差し出す”などの意味を持つ動詞です。

「○○のデータを入稿する」と言う表現は、英語では「submit one’s data for ○○」となります。また「○○までに入稿してください」と期限をあわせて伝える場合には、後ろに「until December 1st」や「before the end of November」などの表現をつけます。

まとめ

「入稿」とは2つの意味を持つ言葉です。「印刷会社に原稿を渡すこと」と「執筆者から原稿を受け取ること」と、使う立場によって言葉の意味合いも変わります。

「入稿」に関連する言葉は「脱稿」「校了」など数多くがあります。しかし、「入校」は「入稿」に関連しない「入学する」の意味を持つ言葉です。