「律儀」の意味とは?使い方の例文と類語・対義語について解説

「律義」とは、人の性格を表す言葉。「義理がたいこと」「実直であること」の意味を持ちます。

今回は、「律儀」と言う言葉の意味と読み方について解説。「律儀すぎる」「律儀な人」など使われることも多い表現や、使い方の例文を紹介します。また、「律儀」の類語と対義語にくわえ、英語での表現についてもお伝えします。

「律儀」の意味や読み方とは?

「律儀」の意味は”義理がたいこと・実直であること”

「律儀」の意味は、“たいへん義理がたいこと・実直であること”です。人の性格を表す言葉です。「義理がたい」とは”義理を大切にすること”を表す表現で、「義理」とは”人との付き合いや社会の中で守るべき道理”を意味します。「実直」は”誠実であること”の意味を持ちます。

「律儀」の読み方は”りちぎ”

「律儀」の正しい読み方は、“りちぎ”です。

「律」は”律動・調律”など「りつ」と読むことも多い漢字ですが、「律儀」を”りつぎ”と読むのは間違いとなります。

「律儀」の使い方の例文とは?

「律儀」を使った例文

「律儀」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • あの人は実に律儀な人だ。
  • 時候の挨拶を欠かさない律儀な人なのに、最近なんの音沙汰もないことが気にかかる。
  • 彼は律儀な性格ゆえに、面倒なところもあることは否定できない。
  • 律儀にも新しいハンカチを購入し返してきたのは、まことに彼女らしい。
  • わざわざ結果の報告にお越しいただくとは、律儀にありがとうございます。

「律儀」を使った表現やことわざとは?

「律儀すぎる」とは”度を超えて律儀であること”

「律儀すぎる」とは、”度を超えて律儀であること”を表す表現です。単に「律儀」であると言うだけでなく、他人から見て「そこまでしなくても」と思うほどに、義理がたい様子や実直な様子を意味しています。

「すぎる」とは、”状態が度を超えていること”や”はなはだしい”状態を表す言葉。「真面目すぎる・うるさすぎる」などと使います。

「律儀者」とは”律儀な人”

「律儀者」とは、”律儀な人”を意味する言葉。「律儀」の意味の通りの、”義理堅い人・実直な人”を表す場合に使う言葉です。「律儀者」は、”あの人は律儀者だ・彼は働き者で律儀者だ”などと使われます。

19世紀前半に江戸幕府によりまとめられた「徳川実記」には、「今の世に佐竹義宣ほどの律儀者はいない」と言う徳川家康の言葉が記されています。佐竹義宣は、安土桃山・江戸初期に生きた武将。石田三成と親交があり、殺害されようとした石田三成を救出するなど律儀な性格を表す逸話が残されています。

「律義者の子沢山」とは”真面目で夫婦仲がよく子供が多い”

「律儀者の子沢山(りちぎもののこだくさん)」とは、”真面目な人は、浮気をせず夫婦間の仲がよいので子供が多くなる”と言う意味のことわざです。「律儀」の漢字を「律義」として、「律義者の子沢山」と書く場合もあります。

「律儀者の子沢山」は、「江戸いろはかるた」に収録されている句のひとつ。「江戸いろはかるた」は江戸時代に広がったことわざから48句を選んだかるたで、他には「犬も歩けば棒に当たる」「論より証拠」などの句があります。

「律儀」の類語とは?

「実直」は”律儀”とほぼ同じ意味を持つ類語

「実直(じっちょく)」は、「律義」の意味にも含まれる言葉。「実直」と言う言葉は「真面目で正直なこと」「誠実であること」の意味を持っています。

「実直」を、「真面目」の意味合いで「律儀」の言い換えとして使うことも可能です。しかし、「義理がたい」の意味合いで使う「律儀にも報告ありがとう」と言う表現などは、一般的には「実直に報告ありがとう」と言い換えては使いません。

「謹厳」は”真面目でおごそか”を意味する

「謹厳(きんげん)」とは、「軽はずみではないこと」「真面目でおごそか」「厳しい(いかめしい)」ことを意味する言葉です。「おごそか」は「近づきにくいこと」、「厳しい」は「厳しい様子」を意味する言葉であるため、「律儀」とはややニュアンスが異なります。したがって、「謹厳」は「律儀」の言い換えとして使うには適さないと言えます。

「謙虚」は”律義”とはニュアンスが異なる

「謙虚(けんきょ)」は、「律義」とはややニュアンスが異なるため、言い換えとしては適さない言葉と考えられます。「謙虚」とは、「控えめであること」や「相手を敬い、意見を素直に聞くこと」を意味する言葉です。「謙虚」は、「律儀」の言葉が持つ「真面目」や「義理がたい」の意味合いが直接的には含まれていない点が異なります。

「律儀」の対義語とは?

意味として反対(対義語)の言葉は「不義理」や「狡猾」

「不義理(ふぎり)」や「狡猾(こうかつ)」と言う言葉は、「律儀」の反対の意味を持つ言葉と考えられます。「不義理」とは「義理に欠けること」を意味し、「義理がたい人」の反対は「不義理な人」。「狡猾」は、「ずるいこと」「悪がしこい」を意味する言葉です。「律儀」と言う言葉が「相手に対する義理を大切にし、誠実である」ことに対して、「狡猾」は、自分の利益を考えた「自分本位」の意味合いとなります。

「律儀」の英語表現とは?

英語で律儀は「honest」や「faithful」

「律義」の英語表現は、“honest”“faithful”です。「honest」は「正直」や「誠実」「実直」などを意味する言葉。「faithful」と言う言葉も、「誠実な」「忠実な」の意味を持つ形容詞です。

また「従順に」の意味を持つ「dutifully」も、「律義に○○する」と言う表現において使用することができます。他には「have a strong sense of duty」も、「義理がたい」を意味する「律義」の英語として利用可能な表現です。

まとめ

「律儀」とは、「たいへん義理がたいこと」「実直であること」を意味する言葉です。「律儀」の言葉は、「律儀すぎる」「律儀な人」など使われ、「律儀者の子沢山」と言ったことわざもあります。「律儀」の類語には「実直」「真面目」などが、反対の意味を持つ言葉には「不義理」や「狡猾」があります。