「逢瀬」とは「男女が隠れながら会うこと」を意味する言葉です。古文や小説で使われる古めかしい表現であるため、聞きなれないという方も多いでしょう。「逢瀬」の意味や使い方の例文、類語「逢引」との違いも解説します。くわえて、「逢引」の古文として意味や、英語表現も解説していきましょう。
「逢瀬」とは?
「逢瀬」の意味は”男女が隠れながら会う”
「逢瀬」の意味は、“恋愛感情のある男女が隠れながら会うこと”です。「逢」という漢字は単なる「会う」ではなく、”恋愛関係や特別な想いのある男女があう”ことを表します。
「逢瀬」の読み方は”おうせ”
「逢瀬」の読み方は“おうせ”です。「あうせ」とも読まれますが、一般的な読み方ではありません。「逢」は訓読みで「ホウ」とも読むことから、「ほうせ」や「あいせ」などと読み間違えないよう、注意しましょう。
「逢瀬」の語源は”川の流れ”にある
「逢瀬」は“川の流れ”が由来してできた言葉です。「逢瀬」の「瀬」とは”川の流れが早く、浅いところ”を意味します。「流れが早く各方面から水が出会うこと」が転じ、「恋愛感情のある男女が隠れて出会う」という意味で使うようになったのです。
古文では「逢瀬」を”逢ふ瀬”と表す
「逢瀬」は古文でも使われる古めかしい表現です。古文では「逢ふ瀬」と書き、「男女が会う機会」のことを意味していました。「逢ふ瀬」に使われる「逢ふ」は「出会う」だけでなく、「結婚する」という意味でも使われます。
「逢瀬」の使い方と例文とは?
「逢瀬」は密会の意味合いで使う
「逢瀬」は単なるデートではなく、こっそりと会う「密会」の意味合いで使われます。パートナー以外の恋愛感情をもった相手や、人目を気にしなければいけない相手と会う状況で使いましょう。
「逢瀬」は「恋愛感情のある男女」に対して使用されるため、友人や家族と会う状況では使用されません。
「束の間の逢瀬」「逢瀬を重ねる」のような使い方をする
「逢瀬」の使い方には「束(つか)の間の逢瀬」や「逢瀬を重ねる」などがあります。
- 束の間の逢瀬…恋愛感情のある男女が隠れて会うわずかな時間
- 逢瀬を重ねる…恋愛感情のある男女が隠れて、繰り返し会う
「束の間の逢瀬」「逢瀬を重ねる」以外にも、「逢瀬する」や「逢瀬を楽しむ」などの使い方があります。ちなみに「束の間」は万葉集でも使われている表現で、古文では「つかのあいだ」と読みます。
「逢瀬の通り」という使い方はしない
「逢瀬」に”逢瀬の通り”という使い方はないため、注意しましょう。正しい漢字は「仰せの通り(おおせのとおり)」です。「仰せの通り」とは”あなたの言うとおり”を意味する敬語表現で、「男女が会う」という意味は含まれません。
音が似ていることから「逢瀬の通り」と間違えられることがあるため、注意しましょう。
「逢瀬」を使った例文
「逢瀬」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 逢瀬をくり返すたびに、彼への愛情が深まっていく
- 束の間の逢瀬だというのに、また嫌な態度をとってしまった
- いけないことと分かりつつも、彼との逢瀬を楽しみしている
- 他の人と逢瀬を重ねていることを私は知っている
- 彼が寝ている間に逢瀬を重ねることに、もちろん罪悪感を抱いている
「逢瀬」の類語とは?
「逢瀬」の類語は”逢引”
「逢瀬」の類語に当てはまるのが“逢引”です。読み方は「あいびき」で、”愛しあっている男女が隠れて会うこと”を意味します。「媾曳(あいびき)」とも表記されますが、「合挽・相引」は誤用であるため注意が必要です。
・夜の海で逢引とは、なんてロマンチックなんだ
・有名芸能人が逢引を繰り返していたと、ニュースになっていた
「逢瀬」と「逢引」の違いは”意味合い”にある
「逢瀬」と「逢引」、どちらも”恋愛感情のある男女が隠れてあうこと”を意味する言葉です。2つの違いは、言葉がもつ微妙な意味合いにあります。「逢瀬」は”会うこと”そのものを意味する他に、「会う機会」を意味しています。一方で、「逢引」は”会うこと”自体を意味しているのです。
また、「逢瀬」と「逢引」では「逢瀬」の方が古めかしい物言いであり、現代では「逢引」が一般的な言い方となります。
「逢瀬」の英語表現とは?
「逢瀬」は英語で”Tryst”
「逢瀬」の英語表現に当てはまるのが“Tryst”です。「Tryst」とは恋”愛感情のある男女の会う約束・密会”を意味しています。
He is enjoying tryst with she.
上記の文章は「彼は彼女との逢瀬を楽しんでいる」という意味になります。
まとめ
「逢瀬」とは「恋愛感情のある男女が、隠れながら会うこと」を意味します。単なるデートではなく、人目を気にしなければならない「密会」のような意味合いで使用しましょう。「束の間の逢瀬」や「逢瀬を重ねる」などの使い方があり、類語には「逢引」が当てはまります。
「逢瀬」は古めかしい表現であるため、伝わらないと感じた状況で「逢引」に言い換えてみましょう。