「懇願」とは「誠意をもって頼み願う」「ひたすら願う」ことを意味します。どうしても聞き入れてもらいたい状況で使う「懇願」を、あまり耳にしないという方も多いのではないでしょうか?「懇願」の意味や例文、類語への言い換え方も解説します。くわえて、ビジネスでの使い方や英語表現も解説していきましょう。
「懇願」の意味や読み方とは?
「懇願」の意味は”誠意をもって頼み願う・ひたすら願うこと”
「懇願」の意味は、“誠意をもって頼み願うこと・ひたすら願うこと”です。懇願の「懇」には”誠意がこもっていること”という意味が、「願」には”相手に自分の希望を申すこと”という意味があります。
単に「願う」ことを表すのではなく、”誠意をもって相手に願う”ことを表すのです。
「懇願」の読み方は”こんがん”
「懇願」の読み方は“こんがん”です。「懇」は音読みで”ねんご(ろ)”とも読み、日常生活で多く使用されることはありません。「懇願」は「悃願」とも表記されますが、「魂願」とは書かないため誤用に注意しましょう。
「懇願」の使い方と例文とは?
「誠意をもって願う」「ひたすら願う」状況で使う
「懇願」は”誠意をもって願う”また、”ひらすら願う”状況で使われます。どうしても叶えてほしいことがある、聞き入れてもらうために誠意をもって接するなどのシーンで「懇願」を使用してみましょう。
「懇願する」「懇願された」のような使い方をする
「懇願」は”懇願する”や”懇願された”などのような使い方をします。
「懇願する」は自分が相手に対し”誠意をもって願う・ひたすら願う”状況で、「懇願された」は相手に”誠意をもって願われた・ひたすら願われた”状況で使用しましょう。
会社を辞めないでくれと懇願されたので、もう少しとどまることにする
この例文では「辞めないでと誠意をもって願われた」または、「辞めないでとひたすら願われた」という意味で「懇願」が使われています。
その他にも「”上司に怒られない方法を教えてくれ”と懇願された」「態度が急変し、金を貸せと懇願してきた」等のように使うことができます。
「懇願」のビジネスでの使い方とは?
ビジネスシーンでは「懇願」の多用を控える
ビジネスシーンでは「懇願」の多用を控えましょう。「懇願」とは”誠意をもって願う・ひたすら願う”を意味し、目上の相手へも使用できます。しかし、ビジネスシーンで「懇願」を多用してしまうと、込められている誠意が軽く捉えられてしまう可能性があります。
また、くりかえし誠意をもって願われることを「重い」と感じる人もいるでしょう。多用せずに、「誠意をもって、ひたすらに願う」状況かを判断して使用してください。
ビジネスで使える「懇願」を使った例文
ビジネスで使える「懇願」を使った例文をご紹介しましょう。
- 格別のお取り計らいいただきますよう、懇願申し上げます
- ご配慮いただけますよう、懇願いたします
- お忙しいのは重々承知ですが、お引き受けいただきますよう懇願いたします
「懇願」の類語・言い換え表現とは?
「懇願」の類語は”嘆願”
「懇願」の類語に当てはまるのが“嘆願”です。「嘆願(たんがん)」とは”事情を伝えて熱心に頼むこと”を意味します。「嘆願」の他にも“熱願(ねつがん)”や“哀願(あいがん)”が類語に当てはまります。
- 嘆願(たんがん)…事情を伝えて、熱心に頼むこと
- 熱願(ねつがん)…熱中して激しく願うこと
- 哀願(あいがん)…同情を利用してひたすら願うこと
どれも「心から願うこと」を表しているため、「懇願」の類語に当てはまるのです。
「懇願」を類語で言い換えた場合の例文
「懇願」を類語で言い換えた場合の例文をいくつかご紹介しましょう。
- 子どもが産まれそうだと連絡を受け、一時帰宅を嘆願した
- 嘆願したにもかかわらず、受け入れてもらえなかった
- 必ず勝ってくれと熱願した
- ここで働かせてくれと熱願した甲斐あって、無事内定をもらえた
- 住民の哀願により、慰霊碑が設けられた
- 彼はいつも涙目で哀願するが、もうその手には乗らない
「懇願」の英語表現とは?
「懇願」は英語で”Entreat”
「懇願」の英語表現に当てはまるのが“Entreat”です。「Entreat」とは”懇願する・嘆願する”を意味し、「made an entreaty to(○○に懇願する)」のように使います。
She made an entreated me to help
「彼女は私を助けてくれと懇願した」
まとめ
「懇願」とは「誠意をもって頼み願うこと」「ひたすら願うこと」を意味します。単なる「願い」ではなく「誠意をもって願う」「ひらすら願う」状況で、「懇願する」や「懇願された」のように使いましょう。ただ、ビジネスシーンで多用すると、「懇願」に含まれる誠意が薄く感じられたり、「重い」と捉えられたりする場合があるため注意が必要です。
「懇願」以外の表現を使いたい場合は、類語の「嘆願」や「熱願」「哀願」に言い換えてみましょう。
夢のために大学を辞めたいと懇願したが、聞き入れてもらえなかった
意味:「大学を辞めたい」と誠意をもって願った/ひたすら願った」