「叱咤」の意味とは?「叱咤激励」との違いや使い方の例文・類語も

「叱咤」とは、「大きな声で叱りつけること」の意味を持つ言葉。四字熟語の「叱咤激励」をはじめ、「叱咤される」「叱咤する」などと使います。

今回は「叱咤」の意味と読み方を解説。「叱咤」の使い方や例文について紹介します。「叱責」など類語との違いに加え、英語における表現もお伝えします。

「叱咤」の意味や読み方とは?

「叱咤」の意味は”大きな声で叱りつけること”

「叱咤」の意味は、“大きな声で叱りつけること”です。単に「叱る」と言うだけではなく、”大きな声を出して相手に強く叱りつけること”を表しています。

「叱」とは、”叱る”や”責める・とがめる”などの意味を持つ言葉です。また「咤」には、”大きな声で叱る”や”舌打ちをする”などの意味があります。

「叱咤激励」の意味は”大きな声で、強く励ますこと”

「叱咤激励」とは”大きな声で、強く励ますこと”の意味となります。「叱咤」は”しかること”、「激励」は”励ますこと・元気付けること”の意味を持つ言葉です。

「叱咤」はどちらかといえばネガティブな意味合いで使いますが、「叱咤激励」は相手を”励ます・奮い立たせる”というポジティブな意味合いとして使います。

例文
  • 今年入社した若手社員に、先輩社員が「頑張ってほしい」と叱咤激励した。
  • 仲間たちから叱咤激励の声が届いている。

また「叱咤」を使った四字熟語には、他にも「大声で叱る」の意味を持つ「咄嗟叱咤(とっさしった)」などの言葉があります。

「叱咤」の読み方は”しった”

「叱咤」の読み方は、“しった”です。「叱」と言う漢字は、音読みでは「しつ・しち」と読み、訓読みでは「しかる」と読みます。一方「咤」と言う漢字は、音読みでは「た」と読み、訓読みでは「しかる」や「したうち」と読みます。「叱咤」と言う言葉は、「しつた」ではなく、「しった」が正しい読み方です。

「叱咤」の使い方と例文とは?

「叱咤する」「叱咤される」と使う

「叱咤」とは、四字熟語で使うだけではなく、「○○を叱咤する」「○○に叱咤される」「○○について叱咤される」などの使い方もする言葉です。たとえば「あまりにもひどい態度が見過ごせず彼を叱咤する」や、「上司に叱咤されても反論できない」などと使います。

また、自分が自身の過ちや行いを反省した場合などに「自分を叱咤する」と使うこともあります。

「叱咤」を使った例文

「叱咤」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 彼には、叱咤するまでの手間をかける価値もない。
  • ただ甘やかすだけでなく、時と場合によっては叱咤することも必要であることを理解しておく必要がある。
  • 厳しい叱咤を受けてからの彼女は、見違えるようにやる気を見せて、仕事に取り組むようになった。
  • 彼は大勢の前で叱咤されたことにショックを受けて、すっかり落ち込み萎縮してしまった。

「叱咤」の類語・言い換えとは?

「叱責」とは相手を非難すること

「叱責(しっせき)」とは、”叱り非難すること”を意味する言葉です。相手の過ちや、本来やるべきことを怠っていることに対して、叱り非難する場合に使います。

「叱咤」と「叱責」は似た表現で、いずれも”叱ること”の意味を持つ言葉です。しかし「叱責」は、「叱咤」の持つ「大きな声で強く」と言う意味合いは持ちあわせていないため、言い換えとして使うのは適切ではないと言えるでしょう。

より強く叱る場合は「叱り飛ばす」

「叱り飛ばす」とは、”荒々しく叱る・乱暴に叱る”の意味を持つ表現です。大きな声で叱りつける「叱咤」と比べても、さらに強く厳しい調子で叱る場合に使うことに適した表現となります。

「飛ばす」と言う言葉は、様々な意味を持っていますが、「叱り飛ばす」における「飛ばす」は「乱暴に行う・勢いよく行う」の意味となります。「叱り飛ばす」以外にも「笑い飛ばす・売り飛ばす」などと使われる言葉です。

「罵声」は”叱咤”とは異なる意味

「罵声(ばせい)」は、”叱咤”とは異なる意味を持つ言葉です。「叱咤」は”大きな声で叱りつけること”を意味する言葉ですが、「罵声」は”口汚く悪口を言う声・口汚く騒ぐ声”の意味を持ちます。

「罵声」は声の調子や言い方を意味する言葉であるため、「叱る」の意味までは持ちあわせていません。したがって、「罵声」と「叱咤」は、それぞれ異なる意味の言葉として使い分けることが必要です。

「ご指導ご鞭撻」は”叱咤激励”の言い換え

「ご指導ご鞭撻(ごしどうごべんたつ)」と言う言葉は、目上の人に対する「叱咤激励」の言い換え表現として使います。「叱咤」や「激励」は目下の人に対して使う言葉であり、

「教え導くこと」の意味を持つ「ご指導」、「強い励まし」を意味する「ご鞭撻」の言葉に置き換えることが適切です。「ご指導ご鞭撻に対してお礼申し上げます」は、「ご指導ご鞭撻」を受けたことに対する感謝の言葉として、挨拶などに使われます。

「叱咤」の英語表現とは?

「叱咤」は英語で”scold”

「叱咤」を英語で表現する場合は、“scold”を使います。「scold」は”叱りつける・うるさく叱る・がみがみ言う”を意味する動詞です。

「大きな声」を意味する「loud voice」を使った「scold in a loud voice」も、「大きな声で叱る」を意味する表現となります。また、「○○したことを叱咤する」と表現する場合には、「scold for」の後に、現在分詞をつけて使います。たとえば「scold her for lying」は、「彼女がうそをついたことを叱咤する」を意味する表現です。

まとめ

「叱咤」とは「大きな声で叱ること」を意味する言葉で、読み方は「しった」です。「叱咤」の言葉は、「叱咤激励」などの四字熟語や、「叱咤する」「叱咤される」などと使います。また、類語には「叱責」や「叱り飛ばす」などの言葉があり、英語で表現する場合には「scold」を使います。