成功裏の正しい意味とは?成功裡との違いや使い方・文例も解説

「成功裏」とは、物事が「成功と言える状態のうちに」と言う意味を持つ言葉。「成功裏」の言葉単体ではなく、「成功裏に終わる」「成功裏に導く」などと使うことが一般的です。

今回は「成功裏」の意味について解説。「成功裡」との違いや類語、「成功裏」を使った一般的な表現を紹介するとともに、英語表現もお伝えします。

「成功裏」の意味と読み方とは?

「成功裏」の意味は”成功と言える状態のうちに”

「成功裏」の意味は、“成功と言える状態のうちに”です。

「裏」には”〜の状態のうちに”の意味があり、「成功した状態であること」を意味しています。しかし問題が起こらないままスムーズに成功した場合ではなく、最終的に「成功と言える」場合に使われる、微妙なニュアンスを含んだ言葉です。

なお、「成功裏」の正しい読み方は“せいこうり”です。「せいこううら」と読むのは誤りです。

「成功裏」と「成功裡」は同じ意味

「成功裡」とは、”成功裏”と同じ意味を持つ言葉で、「成功と言える状態のうちに」を意味しています。「裡」と言う漢字は「裏」と同じ意味があり、「うら」と「り」の読み方を持ちます。

元は「成功裡」が使われていました。しかし、「裡」は常用漢字に含まれない「常用外漢字(表外漢字)」となったため、現在は「成功裏」が使われています。

「成功裏」の使い方と文例とは?

「成功裏」と言う言葉は、言葉単体ではなく「成功裏に○○」「成功裏に○○した」などと使われることが一般的です。使用されることも多い表現をいくつか紹介します。

使い方①「成功裏に終わる」

「成功裏に終わる」と言う表現は、物事が”成功のうちに終了したこと”を意味しています。「会議は成功裏に終わった」や「プロジェクトは成功裏に終わった」など、ビジネスにおいても使う機会の多い表現です。

なお、「成功裏のうちに終わる」と言う表現は正しい使い方ではありません。「成功裏」と言う言葉には、「〜のうちに」が含まれているため、「うちに」と言う同じ言葉を繰り返すことになります。

使い方②「成功裏に完了」「成功裏に完遂」

「成功裏に完了」「成功裏に完遂」も、”成功のうちに終了したこと”の意味を持つ表現です。

「完了」は”すべてが終わること・終えること”を意味する言葉で、「成功裏に終わった」と「プロジェクトは成功裏に完了した」は同じ意味となります。「完遂」は、”最後までやり通すこと・最後まで成し遂げること”を意味する言葉で、単に「終わった・完了した」と言う状況だけでなく、「最後までなんとかやり通すことができた」と言う意味合いも持ちます。

使い方③「成功裏に収める」「成功裏に納める」

「成功裏に収める」も物事が”成功のうちに終了したこと”を意味する表現です。

「収める」は、”よい結果を手に入れる”と言う意味を持つ言葉。したがって、「成功裏に収める」は、成功に終わった結果を伝えるだけでなく、「手に入れた」の意味合いも含む表現となります。

なお、「仕事を納める」などと使う「納める」の漢字には、「(物事を)その状態で終わらせる」の意味があります。しかし、「おさめる」の言葉を使う場合には、「納める」ではなく「収める」を使った「成功裏に収める」と言う表現が一般的です。

使い方④「成功裏に導く」「成功裏に進める」

「成功裏に導く(せいこうりにみちびく)」と「成功裏に進める」は、物事を進める途中において使う表現です。「成功するよう進める」ことを意味して使います。

「導く」とは、物事が”ある方向に向くように働きかけることや仕向けること”の意味を持つ言葉です。したがって「成功裏に導く」は、第三者が成功するよう働きかける場合に、「成功裏に進める」は当事者が成功するよう進める場合に、それぞれ使います。

「成功裏」を使った文例

「成功裏」を使った文例をいくつかご紹介しましょう。

  • 今回のプロジェクトが成功裏に終わりましたことは、関係者の皆様のご協力があってこそと感謝しております。
  • 手術は成功裏に終わったが、どの程度回復することができるかは患者の体力と努力次第だ。
  • 一か八かで提案したが成功裏に収めることができ、ほっとした。
  • 前途多難と思われたプロジェクトだったが、数々の課題も成功裏に解決し、なんとか終わりに近づいている。

「成功裏」の類語とは?

「滞りなく」は”成功裏”とニュアンスが異なる

「滞りなく(とどこおりなく)」とは、”物事が予定通り順調に進むこと”を意味する言葉です。「成功裏」と近い意味合いを持ちますが、ニュアンスは異なります。

「成功裏」は最終的に”成功と言える状態”であり、必ずしも「順調」であることの意味を持ちません。「会議は滞りなく終了した」と「会議は成功裏に終了した」のどちらも結果は同じ「成功」を意味しますが、その過程は異なると言えます。

「盛会裏」は”成功裏”とは異なる意味の言葉

「盛会裏(せいかいり)」とは、”成功裏”とは異なる意味を持つ言葉です。「盛会裏」は、”催した会合が盛況である様子”を意味する言葉です。「盛会裏に終わる」など、”成功裏”と似た使い方をすることもありますが、意味が異なるため、言い換えとして使うことはできず注意が必要です。なお、「成功裏」同様に、「盛会裏」と言う言葉も「盛会裡」とも書きます。

賑やかな様子を表す場合は「大盛況」

「大盛況(だいせいきょう)」とは、”賑やかで盛んな様子”を意味する言葉。「成功裏」と同様に「成功」のニュアンスを含んでいます。

しかし、「成功裏」は”賑やかである”や”盛んである”など具体的な状況を示す表現ではないため、言い換えとして使うと、意味が正確に伝わらない場合もあります。

たとえば「展示会は大盛況のうちに終了した」は”展示会は成功裏に終わった”と言い換えることは可能ですが、どのように成功であったかを伝えることはできません。

「成功裏」の英語表現とは?

「成功裏」は英語で”successfully”を使う

「成功裏」を英語で表現する場合には、“successfully”“successful”などを使います。「successfully」は”成功”を意味する「success」の副詞、「successful」は形容詞となります。

たとえば「成功裏に終わる」は、いくつかの表現を使うことができます。「successfully end」と言う表現は、”成功裏に終わる・成功裏に終わらせる”の、自動詞・他動詞どちらとしても使うことができます。他にも「end successfully」「end in success」「successful end」や「bring ○○ to successful conclusion」(○○を成功裏に終わらせる)などがあります。

まとめ

「成功裏」とは、「成功した状態のうちに」を意味する言葉です。「成功裡」は「成功裏」と同じ意味の言葉ですが、「裡」は常用外漢字であるため、一般的には「成功裏」が使われています。「成功裏」の類語には「滞りなく」「盛会裏に」「大盛況」などの言葉があります。