「阿る(おもねる)」の意味とは?類語「諂う」や例文・英語も解説

「阿る(おもねる)」とは「気に入られようとすること」を意味する言葉です。「権力に阿る」「時流に阿るな」などの使い方をしますが、耳にしたことがないという方もいるでしょう。この記事では「阿る」の意味や使い方の例文を解説します。加えて、「阿る」の英語表現や類語「諂う(へつらう)」との違いや対義語も解説しましょう。

「阿る」の意味や読み方とは?

「阿る」の意味は”気に入られようとすること”

「阿る」の意味は、“気に入られようとすること”です。相手に気に入られたいがために機嫌をとったり、よく思われようと行動したりすることを表します。気に入られようと行動することを非難する意味合いが含まれるため、ネガティブな表現として使われます。

例文

社長に阿る

上記の例文だと、「社長に気に入られようとすること」という意味になります。

「阿る」の読み方は”おもねる”

「阿る」の読み方は“おもねる”です。「阿」という漢字は音読みで「あ」と読むことから、「阿(あ)る」と誤読されることがあります。また、「阿る」と書いて「阿(よ)る」と読むこともあるため、間違えないよう注意しましょう。

「阿る」の使い方や例文とは?

「阿る」は”人”以外にも使える

「阿る」は”気に入られようとすること”を意味する言葉で、マイナスな意味が含まれていることを説明しました。気に入られようとする対象は人以外にもあり、「時代に阿る」や「権力に阿る」などの使い方もあります。

例文

時代に阿ることなく、自分の信じる道を進むべきだ

上記の例文だと、「時代の流れや様子をうかがって気に入られようと合わせるのではなく、自分の信じる道を進むべき」という意味になります。

「○○に阿るな」「○○に阿らない」のように使う

「阿る」は「○○に阿る」の他に”○○に阿るな”や”○○に阿らない”などの使い方があります。

・「○○に阿る」…○○に気に入られようとする

・「○○に阿るな」…○○に気に入られようとするな

・「○○に阿らない」…○○に気に入られようとしない

自分が相手に対し「気に入られようと行動する」状況では「○○に阿る」を、反対に「気に入られようと行動しない」状況では「○○に阿らない」を使用できます。また、「○○を阿るな」は「上司に阿るな」のように、気に入られようと行動することを禁止する状況で使用しましょう。

「阿る」を使った例文

「阿る」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 資金源になるとでも思ったのか、彼はわたしに阿るようになった
  • 阿るつもりなどなく、単なる親切心で助けようとしたのだ
  • 誰に阿るでもなく、自分のやりたいようにやるべきである
  • 大衆に阿らない姿勢が評価されていたのに、彼は変わってしまった

「権力に阿る」や「時流に阿る」を使った短文

「阿る」を使った短文に”権力に阿る”や”時流に阿る”があります。「権力に阿る」は”権力に逆らわず、気に入ってもらえるよう合わせて行動すること”を意味し、「時流に阿る」は”時代の風潮や傾向に気に入られるよう、行動すること”を意味します。

例文

・権力に阿るなんてみっともないことだ

・彼はどんなときも権力に阿ることで生き延びてきた

・自分の芯を強くもっていなければ、時流に阿ることになる

・時流に阿るような安易な思考では長く続かないだろう

「阿る」の類語・対義語とは?

「阿る」の類語は”諂う(へつらう)”

「阿る」の類語に当てはまるのが「諂う」です。読み方は「諂(へつら)う」で、「気に入られるように振る舞うこと」を意味します。また、「気に入られるために相手の機嫌をとること」を意味する「媚びる」や、「力のある者に気に入られようと努力すること」を意味する「取り入る」も類語となります。

例文

・彼はいつも権力者に諂って、自身の立場を守ろうとする

・先輩が社長に媚びているところを見てしまった

・上官に取り入ってここまで地位を築いたのだ

「阿る」と「諂う」の違いは使い方にある

「阿る」と「諂う」の違いは使い方にあります。「阿る」は人以外にも使用できますが、「諂う」は「人」に対してのみ使用されます。「時代」や「権力」に対して、「時代に諂う」「権力に諂う」などの使い方はしないため、注意しましょう。

「阿る」の対義語は文脈に合わせたものを使う

「阿る」は、先に述べたように「阿らない」と使って否定表現ができるため、はっきりとした対義語はありません。「阿らない」のほかには「気に入られようとする」の反対の意味を表す表現として「媚びない」「迎合しない」「信念を曲げない」「嫌う」などを、文脈に合わせて用いることが一般的です。

「阿る」の英語表現とは?

「阿る」の英語表現は”Butter up”

「阿る」の英語表現に当てはまるのが“Butter up”です。「Butter up」とは”気に入られようと機嫌をとる・こびを売る”を意味する言葉で、パンをより美味しく食べるためにバターを塗ることが由来しています。

例文

Don’t butter me up.

上記の文章だと、「媚びを売らないでくれ」という意味になります。

まとめ

「阿る」とは「気に入られようとすること」を意味する言葉で、「時流に阿る」「権力に阿るな」などの使い方をします。類語には「諂う」や「媚びる」「取り入る」などがあり、どれも「相手に気に入ってもらえるよう行動すること」を表します。

「阿る」と「諂う」では使う対象に違いがあるため、なにから気に入られようとしているのかによって使い分けましょう。

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hana
大阪在住の新人ライターです。学生時代にビジネスマナーや医療事務・秘書などの検定を取得し、前職は医療秘書として医院勤めでした。料理とスポーツが得意なので、いつか記事にできたらなと思っています。よろしくお願いします。