「自己顕示欲」の意味とは?「承認欲求」との関係や類語も紹介

「自己顕示欲の強い人」「自己顕示欲の強い女」などと評される人が周囲にいませんか?またあなた自身がそのように言われたことがあるかもしれません。あまり良い意味では捉えられていない「自己顕示欲」とは、どのようなものなのでしょうか?

この記事では、「自己顕示欲」とはどのような意味なのかを掘り下げて解説します。意味の似ている「承認欲求」との関係や、自己顕示欲の強い人の特徴も解説します。あわせて、類語・対義語、英語表現も紹介しています。

「自己顕示欲」の読み方と意味とは?

「自己顕示欲」の意味は「周囲の人から注目されたいという欲求」

「自己顕示欲(じこけんじよく)」とは、周囲の人、あるいは不特定多数の人から注目されたいという欲求のことを言います。

「顕示」とは、人の目につきやすいように、はっきりと示すという意味です。つまり、「自己顕示欲」とは、「自己」を「顕示したい(はっきりと示したい)」という「欲求」です。

一般的に、自己顕示欲から生まれる行動は、自分を実際以上の人物に見られるように振る舞ったり、不自然なほどの過度の自己主張であったりすることから、好ましくない行動として捉えられています。

「自己顕示欲の強い女」「自己顕示欲の強い男」などと、問題行動をする人物としてネガティブな意味合いを含んで分類され、語られることが多いです。

「自己顕示欲」とは「承認欲求」の一種

「自己顕示欲」は、「承認欲求」の一種です。承認欲求とは、他者から自分を価値ある存在として認められたいとする欲求です。注目されることを求める自己顕示欲よりも、他者に認められたいと欲する承認欲求の方が複雑で深刻です。

アメリカの心理学者マズローは、人間は自己実現に向かって成長すると仮定し、成長に伴って変化する人間の基本的欲求を5段階で示しました。最高位の欲求が自己実現の欲求で、その一つ下の4段階目が承認欲求です。

承認欲求は、他者から尊敬されたり、名声や注目を得ることで満たされますが、その発露が自己顕示欲となって表れます。マズローは、他者へ依存して満足するのではなく、自分で自分を価値ある存在だとして認めることが大切だと述べています。

「自己顕示欲」の強い人とない人の特徴とは?

「インスタ映え」に執着する人は自己顕示欲の強い人

誰もが気軽に発信でき、瞬時にその反応を得ることができるインターネットの世界は、事実を誇張してでも注目されたい、自分の存在を認めてほしいという欲求が現れやすい場所です。

Instagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)の「いいね!」に代表される、わかりやすい成果に心が捕らわれ、もっと「注目されたい」「認められたい」という気持ちが高じて、過度にSNSにのめりこむ人も増えているようです。

いわゆる「インスタ映え」に過剰に執着する人が、「自己顕示欲の強い人」のわかりやすい例だと言えます。強い欲望にとらわれた結果、客観的な判断ができなくなり、世間一般の常識から外れたことをしてしまうのです。

Instagramでは、注目されている証である「いいね!」を獲得するため、マナー違反を犯して撮影した画像を投稿する人が増えて問題となり、「いいね!」の数を非表示とする実験も行われています。

「自己顕示欲がない人」はいない

過剰な自己顕示欲に支配されてしまい、周囲の人や社会に悪影響を与えてしまうのは問題ですが、自己顕示欲は悪いものだというわけではありません。

先に説明したとおり、自己顕示欲は承認欲求の一種であり、人間であれば誰もが持つ自然な欲求です。人間が成長してゆく過程において、自己顕示欲は他者への依存的な欲求から健全な自己主張の欲求へと変化してゆきます。

ビジネスの場面などにおいては、健全な自己顕示欲は逆に必要なものだと言えます。自分の意見を主張し、注目を集めて賛同を得る事により、変化を生み出すことができるからです。

「自己顕示欲」の類語と対義語とは?

他人が自分をどう見ているかを意識しすぎる「自意識過剰」

「自意識過剰(じいしきかじょう)」とは、他人が自分をどう見ているかを、気にしすぎたり、意識しすぎたりする状態のことです。自らをアピールしたり、注目されたいと思う自己顕示欲が強い状態と共通する心理的状況であると言えます。

どちらも、自分に自信が持てないという心理が根底にあります。自分で自分を認めることができない不安から、他人の目を過剰に気にしたり、必要以上に注目されたいという欲求が生まれます。

自分を実際以上によく見せようとする「虚栄心」

「虚栄心(きょえいしん)」とは、自分を実際以上によく見せようとする心、つまり、見栄を張る心のことです。虚栄心の強い人(見栄を張る人)は、自己顕示欲の強い人(周囲から過剰に注目されたいと願う人)であるとも言えます。

どちらも実際以上に自分をよく見せたいと思う心理状態が共通しています。虚栄心を満足させたいという欲望が、自己顕示欲であると言えます。

「自己顕示」の対義語は「自己韜晦」

「自己顕示欲」の対義語に適当なものはありませんが、「自己顕示」の対義語としては「自己韜晦(じことうかい)」があります。自身の才能や地位などを表に出さずに隠すという意味です。「韜晦」には才能や本心などを隠すという意味があります。

才能をひけらかさないという意味の「自己韜晦」は、才能があると認められたいために周囲の人に存在をアピールする「自己顕示」の意味とは対極にあると言えます。

「自己顕示欲」の英語表現とは?

「自己顕示欲」は英語で「exhibitionism」

「自己顕示欲」や「自己顕示」に相当する英語は「exhibitionism」です。「自己顕示欲が強い人」は「a person who is very exhibitionistic」、あるいは「exhibitionist」となります。大げさな行動をして周囲の注意をひきつける人を表しますが、これらは「露出狂」という意味もあるため注意が必要です。

「周囲に注目されたいと強く願う人」という意味では、「a person who is very attention-seeking」、「a person who loves to be noticed」とも表現できます。

まとめ

「自己顕示欲」とは、「承認欲求」のうちの一つで、周囲の人から注目されたいという欲求です。自己顕示欲の強い人は、自分で自分を認めることができない不安から、他者に注目されて認めてもらい、安心したいという欲求が根底にあります。

しかし自己顕示欲や承認欲求は、人間の自然な欲求の一つで、病気ではありません。周囲の人と関わり合うことで人間は成長し、自分の本来の能力を発揮できるようになります。自己顕示欲の意味を知り、うまく付き合ってゆくのがよいでしょう。