「公僕」の意味とは?警察や政治家も公僕?例文や注意点も解説

「公僕」という言葉を差別用語だと思っている人もいるかもしれません。言葉の意味自体には差別的な意味は含まれていませんが、注意して使う必要がある言葉です。今回は「公僕」の熟語の構成や読み方といった基本的な内容から、由来になった英語や、公僕に含まれる職業をご説明します。

「公僕」の意味や読み方とは?

「公僕」の意味は”公衆に奉仕する者”

「公僕」の意味は、“広く公衆、公共に奉仕する者”のことです。国や自治体で働く公務員を示す言葉です。

下僕などに使われる「僕(しもべ)」の文字が含まれるため、見下した言葉のイメージを持つ人もいるかもしれません。実際には「公僕」に見下す意味はないのですが、誤解している人がいる可能性を理解しておきましょう。

「公僕」の読み方は”こうぼく”

「公僕」の読み方は“こうぼく”です。

「公僕」の使い方と例文とは?

「公僕」を使うのは自分を示すとき

公僕は、公務員が自分を示すときに使うことが多い言葉です。また、公共に奉仕する志という意味で「公僕精神」「公僕意識」と使うこともあります。

例文
  • 「公僕として、市民からの苦情にしっかり耳を傾けよう」
  • 「公僕意識がないと言われないよう、毎日意識して勤務する」
  • 「役所の都合ばかり押し付けるのは、公僕精神に反する」

他人に「公僕」を使う危険性

他人を示す言葉として公僕を使う場合、相手を傷つけたり、周囲の人に誤解されたりしないかを慎重に判断する必要があります。公僕は差別用語ではありませんが、「僕」という単語のイメージから「見下した表現だ」と感じる人がいる可能性もあります。

公僕を使わなければならない特別な理由がある場合を除き、「公務員」と言い変えましょう。

「公僕」の類語とは?

公僕の類語は「公務員」や「役人」

意味に含まれているように、公僕の類語は「公務員」です。その他に「役人」も、国や自治体に努めている人ですので類語と言えます。

全く同じ意味とは言えませんが、国家公務員の意味がある「官吏」も類語の1つです。国家公務員とは、公務員の中でも国に勤務する者のことです。公僕の場合、地方自治体に勤務する地方公務員も含まれるので、「官吏」は少し狭い意味の類語になります。

「社畜」は公僕の類語ではない

公僕にある召使のようなイメージから「社畜」が公僕の類語と捉える人もいるかもしれません。しかし、公僕に召使の意味はないので、「社畜」は類語とは言えません。

「社畜」とは、どんなに辛くても会社に逆らわない人を、会社の家畜だと比喩する言葉です。皮肉を込めて見下す言葉ですので、公僕以上に使い方には注意が必要となります。

「公僕」の由来と熟語の構成とは?

公僕の由来は英語「public servant」

公僕は英語で公務員を意味する「public servant」が由来の和製漢語の可能性が高いと言われています。Publicを「公共」、servantを「下僕」と和訳し、二文字の熟語になったと考えられます。

和製漢語とは、日本人が作った漢語です。漢語は「中国の漢民族の言葉」でもありますが、ここでは「昔の中国語の発音から読み方が決まった日本語」という意味で使われます。音の響きから中国語が由来と勘違いしやすいので、和製漢語には注意しましょう。

「公僕」の字の構成は”上の字が下の字を修飾”

公僕は上の字が下の字を修飾している熟語構成です。下の字(僕)の所属を上の字(公)が説明しています。「公の僕」と、上から順番に読むと考えると分かりやすいかもしれません。

熟語の構成は漢字検定などの試験問題によく採用されています。構成を理解すれば、言葉の意味を覚えやすくなるでしょう。

警察や政治家は「公僕」なのか?

警察は「公僕(公務員)」と定められる

警察は公務員と法律で定まっているため、公僕であると言えます。階級や採用された場所(警視庁か各都道府県庁か)で、国家公務員か地方公務員になるか決まります。

法律上のことだけでなく、警察の職務内容から考えても公僕だと言えるでしょう。例えば、事件の捜査や犯人逮捕を、お金を受け取って営利目的で行われては大変です。人々が安心して生活するためにも、警察が「公僕」であることは重要です。

意味上では政治家も「公僕」に含まれる

政治家(国会議員)は公務員だと否定も肯定もされていないため、法律上では公僕かどうかははっきりしません。過去の国家公務員法では公務員に含まれないと記載されていましたが、昭和23年の改正で削除されました。しかし、含まれると記載された訳ではないため、文脈上どう判断するか意見が分かれているようです。

しかし、意味合いで考えると政治家は公僕に含まれると言えるでしょう。政治家は国民の代表として選挙で選ばれます。投票する人は、政治家個人の利益ではなく、公共の利益のために活動することを期待する人が多いと考えられるからです。

まとめ

「公僕」は「広く公衆、公共に奉仕する者」として公務員を示す言葉です。しかし、言葉のイメージから気軽に使える言葉ではないと言えるでしょう。会話を聞いたり、文章を読んだりする人の気持ちや立場を考えて、慎重に言葉を選んでください。