「顎を出す」は「疲れ果てる」という意味の慣用句です。現在では文字通りの意味で使われる方が多く、特に美容・美容整形の話題ではよく見られる表現です。慣用句「顎を出す」の使い方や類語・四字熟語への言い換えを解説しましょう。対義語や英語表現もあわせて紹介します。
「顎を出す」の意味とは
「顎を出す」とは「疲れ果てる」という意味
慣用句「顎を出す」の意味は「疲れ果てる」です。疲れ果て、もう動けない状態を例えた表現です。そこから転じて「手に負えない」という意味があるとする辞書もあります。
「顎を出す」の語源は「疲れて歩けない様子」
「顎を出す」の語源は「疲れて歩けない様子」です。もう足が動かず、顎だけが前に出るぐらい疲れている状況から生まれました。
「顎を出す」の使い方と例文
「顎を出す」は疲れ果てたときに使う
「顎を出す」は、疲れ果てたときに使う慣用句です。「顎を出している」「顎を出した」のように、「出す」を文脈に合わせて変化させて使います。
余力がある状態に「顎を出す」を使うと、大げさだと違和感を持たれる可能性があります。「疲れた」などの表現の方が向いているでしょう。
「手に負えない」という用法もある
「顎を出す」には「手に負えない」「手に負えなくて困る」という用法もあります。どちらの意味で使っているのかは、文脈で判断する必要があります。
「今日は急ぎの仕事が多くて、顎が出てしまった」のように、どちらとも受け取れる使い方をしないよう注意が必要です。
慣用句ではなく文字通りの意味で使うことが多い
現在では「顎を出す」を慣用句として使う場面は減っています。文字通り「顎部分を前に出す」という意味が一般的です。例えば「顎を前に出す癖があって困っている」のようになります。
よく使われるジャンルが美容関係です。「美容整形なしで、顎を出す方法が知りたい」のように使われます。顎が後ろに引っ込み過ぎていると「横顔のラインが綺麗ではない」「横顔に自信が持てない」と感じる人もいるようです。
「顎を出す」の例文
- 久しぶりのキャンプにはしゃぎすぎて、夕食を作る頃には顎を出してしまった。
- 顎を出すような状態になる前に、しっかり休憩をとってください。
- 友人が顎を出しているので、カフェで一休みすることにした。
「顎を出す」の類語や対義語とは
「顎を出す」の類語は「くたびれる」
「顎を出す」の類語は「くたびれる」です。類語としての意味は「身体や頭を動かし続けたため、疲れて元気がなくなる」になります。漢字表記は「草臥れる」ですが、ひらがな表記が一般的です。
「顎を出す」にある「手に負えない」という用法は、「くたびれる」にはありません。文脈では「疲れ果てる」「手に負えない」のどちらか分かりづらいときには「くたびれる」に言い換えると良いでしょう。また、「顎が出る」よりも一般的に使われている表現のため、どんな場面でも使いやすい類語です。
四字熟語への言い換えは「疲労困憊」
四字熟語へ言い換える場合は「疲労困憊(ひろうこんぱい)」が向いています。疲れ果てて苦しむことを意味します。「顎を出す」とは違い、ストレスなどによる精神的な疲れにも使用可能な言葉です。
「疲労」も「困憊」も、疲れることを意味します。似た言葉を重ねて、意味を強調している四字熟語です。
日常会話では「ばてる」と言い換えも
「ばてる」も「顎を出す」の類語です。疲れて動けなくなることを意味します。
元々はスポーツや競馬で使っていた俗語で、昭和30年代から一般的に使われるようになりました。語源は「疲れ果てる」の「果てる」だと考えられています。
「顎を出す」の対義語は「元気」
「顎を出す」の対義語は「元気」です。類語としては「身体の調子が良く、健康」という意味になります。子どもから大人まで、幅広い年代に通じる使いやすい言葉です。
元気があることを強調したい場合、四字熟語「元気溌剌(げんきはつらつ)」を使うとよいでしょう。生き生きと元気な状態を意味します。
「顎を出す」の英語表現とは
「顎を出す」の英語表現は「worn out」
「顎を出す」の英語で表現する場合、「疲れ切って」「疲れ果てた」を意味する「worn out」が向いています。「疲れさせる」と表現する場合は「wear out」です。
ちなみに「worn out」には「使い古した」「擦り切れた」などの意味もあります。
「tired」は疲労の度合いが低い
「疲れた」という意味の英語で有名なのは「tired」です。学校の授業でも教わる単語のため、「顎を出す」の英語表現に使えると思う人もいるでしょう。
しかし「tired」は「顎を出す」の英語表現に相応しくありません。疲労の度合いが低い言葉のためです。先述した「worn out」の方が、ニュアンスが正しく伝わるでしょう。
まとめ
「顎を出す」は「疲れ果てる」だけではなく、「手に負えない」という用法もあります。慣用句として「顎を出す」と用いる場合、どちらの意味なのか伝わるように注意しましょう。
慣用句として使う場面が減っているため、知らない人も少なくない言葉です。「くたびれる」などの類語への言い換えも検討してください。
今日は急ぎの仕事が多くて、くたびれてしまった。