「知っている」の敬語表現で注意することは?メール例文も紹介

「知っている」の敬語表現と聞いてどんな言葉を思い出すでしょうか。日本語の「知っている」にはいくつかの意味合いがあり、それぞれ示す事柄によって使うべき敬語も変化することがあります。ここでは「相手のことを知っている」「相手が自分のことを知っていてくれた」など、シチュエーションごとに「知っている」と伝えたいときのポイントを紹介します。

敬語で「知っている」と言いたいときは

「知っている」の意味は3つ

「知っている」とは、人がその物事に関する情報を知識として持っている状態のことですが、さらに細かく見ていくと次の5つの意味があります。

  • ものごとを認識する
  • 気づく・意識する
  • ものごとの内容を理解する
  • 覚えている・記憶する
  • 経験する

たとえば、「あなたのことを知っている」というセンテンスひとつをとってみても、「あなたの個人情報を知っている」「過去に会ったことがあり、記憶に残っている」「性格や好みをよく理解している」「あなたがそこにいることに気づいている」のように4通りの意味合いで使い分けることができます。

「知っている」の敬語は「ご存じ・存じる」

謙譲語は「存じております」

敬語で「知っている」をあらわす表現にはいくつかありますが、自分(話し手や書き手)の立場によって2種類に分ける必要があります。まず、「知っている」のが自分自身で、そのことを相手に伝えたい場合には、自分の言動をへりくだった表現(謙譲語)に変換します。さらに謙譲語には、敬意をあらわす相手によって「謙譲語Ⅰ」と「丁寧語(謙譲語Ⅱ)」の2つがあります。

「知っている」を謙譲語に変換する際は、「お知りになる」とは言わず、定型語の「存じております」を使うのが一般的です。さらに丁寧な言い方である「存じ上げております」は、「存じる(謙譲語)」+「あげる(尊敬語)」で、人名に対して「知っている」場合に用いられます。

尊敬語は「ご存じ」

一方、相手が「知っている」場合や「知っている」かどうかを確認したいとき、または知っていることを前提に話をする場合には、相手を立てて敬意をあらわす「尊敬語」を使います。「知っている」の尊敬語は「ご存じ」で、より丁寧な言い方では「ご存じでいらしゃいます」となります。

否定形は「存じ(上げ)ません」

「存じる・存じ上げる」の否定形は「存じません・存じ上げません」です。「存じております」とは言っても、「存じておりません」という表現はあまり一般的ではありません。

「ご存知」は当て字

「知っている」の尊敬語である「ご存じ」が、「ご存知」「御存知」と表記されていることがあります。あまり馴染みのない単語ですが、「存知(ぞんち・ぞんぢ)」は「知っている・心得ている」のほかに、「覚悟する」などの意味をもつ言葉です。

語尾の「ち」が「じ」に変化したとの説もありますが、現在では「存知」という言葉があまり一般的でないことや、二語の成り立ちが明らかに違うことなどから、「ご承知」は「ご存じ」の当て字という位置づけのようです。ただし、辞書によっては間違いとされていることもあるため、使い方にはやや注意が必要です。新聞社や通信社では「ご存じ」の表記で統一されています。

「知っている」の類語と熟語

「聞き及ぶ」「ご承知」など

敬語の「ご存じ」「存じ上げる」と同じ意味で使える熟語には、謙譲語・尊敬語ともに使える「承知(旨を承り知ること)」「聞き及ぶ(噂や人づてに評判を知っている)」などがあります。謙譲語であれば「心得る」なども奥ゆかしい表現です。次の例文でもう少し詳しく紹介します。

「知っている」の敬語を使ったメール例文

謙譲語の例文

  • 〇〇商事の田中様のことはよく存じ上げております。
  • あの店の評判は私も以前から存じております。
  • その件でしたら心得ております。どうぞご安心ください。
  • お忙しいことは重々承知しておりますが、なにとぞよろしくお願いします。
  • 山田部長のご高名は、かねがね聞き及んでおります。

尊敬語の例文

  • すでにご承知のように、平成31年10月1日から消費税の軽減税率制度が始まります。
  • もうご存じかも知れませんが、アジアチーム初の快挙だそうですよ。
  • それは私の母校です。よくご存じでいらっしゃいますね。
  • お子さまが受賞されたのをご存じですか?

相手が自分のことを知っていた

  • よく憶えておいでですね。うれしいです。
  • よくご存じで。お恥ずかしいです/どうもありがとうございます/恐れ入ります。
  • 私どものことをご記憶に留めていただき、たいへん光栄に存じます/感謝申し上げます。

「知っている」の英語表現

  • As you know,(ご存じのように…)
  • As we know,Everywhere it’s busy during Golden Week.(周知のように、GW中はどこも混みます)

ビジネスシーンで多く使われる一般的な表現です。相手がひとりの場合は「As you know,」、複数の“皆さん”を指す場合は「As you all know.」と使い分けます。自分も含む場合は「As we know,」です。

  • I think you might already know,but He is wearing a wig.(既にご存じかもしれませんが、彼の頭はカツラです)

「As you know」よりも控えめな表現で、相手が必ずしも知っているとは限らない場合に使えます。

まとめ

「知っている」の敬語は意味によっていくつかありますが、日常会話で特に間違いが多いのは「存じる」と「存じ上げる」の使い分けです。敬語は丁寧すぎても敬意が足りなくてもマイナスイメージにつながりますので、この機会にぜひ確認してみてください。