自分の仕事や、テーマを持って続けている事柄を「ライフワーク」と称することがあります。普通の仕事や趣味や習い事と、ライフワークとは何が違うのでしょうか?
この記事では、「ライフワーク」の意味や使い方を解説します。あわせて趣味との違いや、ライフワークとともに語られることの多い「ライスワーク」について、さらに言葉の似ている「ライフワークバランス」の意味も解説しています。
「ライフワーク」とは?
「ライフワーク」の意味は”一生をかけて究める仕事や作品”
「ライフワーク」の意味は、“一生をかけて究める仕事や作品のこと”です。金銭や名声などの見返りがなくとも、一生を通じて究めたいと思えるテーマを持った仕事や、目標とする水準にまで到達したいと願う作品作りなどを表現するときに用います。
しかし「ライフワーク」の”一生をかけて究める仕事や作品”という意味は、幅広い解釈が可能であるため、自分の性質に合った職業という意味の「天職」と同じ意味で使われたり、「好きなことを仕事にすること」という意味を含んで概念的に使われたりすることもあります。
いずれにしても、生活するために必要な金銭を得ることを目的とした仕事とは全く違う意味を持つ仕事がライフワークです。
「ライフワーク」の語源は英語の”lifework”
「ライフワーク」の語源は英語の“lifework”です。「Life(生活・人生)」と「Work(仕事・作品)」を合わせた言葉です。つまりただのワークではなく、ライフに密接に関わる仕事だということです。
ライフワークの一番のポイントは、「給与などの見返りがなかったとしても、心の底からやりたいと思える仕事や作品作り」であり、加えて「一生をかけて行う取り組み」だということが言えます。
本業とは別に、報酬を目的としないライフワークを持つ人もいれば、生活の糧としている本業の仕事がライフワークである人もいます。あるいは、写真を撮ったりアート作品を制作するような創作活動をライフワークと呼ぶこともあります。
「趣味」とライフワークは別物
「趣味」とは、専門として究めるのではなく、余暇の楽しみとして愛好する事柄を指します。ライフワークは一つのテーマを持って密接に人生と関わりながら、時間や労力を費やしながら究めてゆくものであるため、余暇の楽しみとは違います。
例えば、趣味の写真にはテーマがなくとも成り立ちますが、ライフワークの写真には、写真という手段を使って深めたいテーマが存在し、それに向かって一生をかけて究めてゆこうとする強いモチベーションが存在しています。
「ライフワーク」の使い方と例文とは?
「ライフワーク」の持ち方は人それぞれ
女優を本業とする人が「女優業は私のライフワークです」などと言う場合や、サラリーマンが「鉄道写真をライフワークとしています」などと言う場合があり、ライフワークの持ち方は人それぞれに多様です。
「ライフワーク」を使った例文
「ライフワーク」を使った例文をご紹介しましょう。
- 女性の労働問題の啓蒙をライフワークとして取材を続けている
- 天体観測日記をつけることをライフワークとしています
- 父は、80歳で家業でもあった酒造りのライフワークを完成させた
- ソーシャルワーカーの仕事をライフワークとしても続けてゆきたい
「ライフワーク」と「ライフワークバランス」の違いとは?
「ライフワークバランス」は”ライフワーク”とは違う概念
「ライフワーク」と言葉が似ている「ライフワークバランス」という言葉があります。本来は英語の「work–life balance」を語源とするカタカナ語であるため、「ワーク・ライフ・バランス」が正しい言い方ですが、「ライフワークバランス」と表記されることもあります。
「ライフワークバランス(ワーク・ライフ・バランス)」は、「ライフワーク」とは関係のない意味や概念の言葉です。仕事(ワーク)と生活(ライフ)のバランスをとるという意味があり、日本語では「仕事と生活の調和」と訳されます。
ライフワークバランスは、個人の生活を健康に保ちながら、仕事において能力を最大限に発揮できることを目指す概念です。一人一人の人生や生活の質という意味の「クオリティ・オブ・ライフ(英: quality of life、略してQOL)」を向上させるための重要な要素でもあります。ライフワークバランスのとれている生活はQOLの高い生活です。
「ライフワーク」の類語と対義語とは?
「ライフワーク」の類語は”一生の仕事”
ライフワークの類語を日本語で表すとすれば、「一生の仕事」となります。「一生の仕事」とは、人生をかけてやるべきテーマを持つ意味のある仕事という意味を持ちます。
英語「This is my lifework.」の日本語訳は「これが私の一生の仕事です」とすることができます。
「ライフワーク」の反対の言葉は”ライスワーク”
「ライフワーク」の反対の言葉に「ライスワーク」があります。「RICE(ご飯)」のためのワークということで、「食べるための仕事」という意味で比喩的に使われます。「一生をかけて究める仕事」の対極にあるのが、食べるだけのためにする仕事です。
「人生100年時代」との言葉が注目されていますが、寿命が伸び続ける昨今、長い人生と仕事の関係を見直す議論が盛んに行われるようになりました。ライフワークとライスワークのどちらかを選択するという考え方ではなく、例えば食べてゆくためのライスワークを確保しながら、一生を通じて生きがいとなるライフワークをこつこつと続けてゆく、といった柔軟な考え方も提唱されています。
自分らしい働き方とは何か、長い人生をどのように働いていくのか、などの働き方について考える枠組みとして「ライフワーク」と「ライスワーク」が提示されています。「単なるライスワーク(食うための仕事)だけではなく、生きがいや、やりがいのあるライフワークも持ちたい」などと、対比させて用いられることが多い言葉です。
まとめ
「ライフワーク」とは、一つのテーマを持ち、一生をかけて究める仕事や作品のことです。ライフワークの持ち方は人それぞれで、本業がそのままライフワークになっている人もいれば、生活のための仕事を確保しながら、ライフワークを追い続ける人もいます。
どうすればライフワークを見つけることができるのか、という問いがしばしば話題になります。純粋に好きなことを追いかけていたら、それが結果的にライフワークになったというケースも多いようです。まずは時間を忘れて打ち込めるほどの好きなこと、あるいは、強い興味が自然に湧き上がってくることは何かを考え、情熱に従って行動してみるということがその答えかもしれません。