「奇譚(きたん)」とは「珍しい話」「不思議な話」を意味します。アニメや小説のタイトルとして使われることもある言葉で、漢字それぞれの意味を理解すると覚えやすいでしょう。
この記事では「奇譚」の意味や読み方、使い方の例文を解説します。類語の「異聞奇譚(いぶんきたん)」と英語表現、同音の熟語にも触れますので語彙をチェックしてみましょう。
「奇譚」の意味や読み方とは?
「奇譚」の意味は”珍しい話・不思議な話”
「奇譚」の意味は、“珍しい話・不思議な話”です。「奇」は”珍しい・不思議”を、「譚」は”物語”をそれぞれ意味します。日常会話で使うよりも、作品のタイトルや作中の文章で使われる言葉です。
「奇譚」の読み方は”きたん”
「奇譚」の読み方は“きたん”です。「譚」は音読みで”ダン”、訓読みでは「はなし」と読みます。小説や漫画によっては「きだん」と読まれることもありますが、辞書には「きだん」との表記がないため、一般的な読みではありません。
「奇譚」の使い方と例文とは?
「奇譚」は”珍しい話”をさす状況で使う
「奇譚」は”珍しい話”や”不思議な話”をさす状況で使います。怪談など日常では考えられない不思議な話だけでなく、住んでいる地域や習慣が違うからこその珍しい伝承も「奇譚」と呼びます。
「奇譚を語る」「奇譚を聞く」などの使い方をする
「奇譚」の使い方には”奇譚を語る”や”奇譚を聞く”などがあります。「奇譚を語る」は”珍しい話・不思議な話を語る”を意味し、「奇譚を聞く」は”珍しい話・不思議な話を聞く”を意味します。
・彼は酒の席になると、決まって奇譚を語りだす
・奇譚を語る彼の表情はいつになく生き生きとしていた
・地方で奇譚を聞いて回っては、話のネタにしている
「奇譚ない」という使い方は誤用
「奇譚」を使った「奇譚ない」という言い回しは、誤用であるため注意しましょう。「奇譚」の同音異義語である「忌憚」と使い方が混同しており、正しくは「忌憚(きたん)ない」です。「忌憚」の意味や使い方については「同じ読みをする熟語」の欄で解説します。
「奇譚」を使った例文
「奇譚」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
- 古い書物を読んでいると、聞いたこともない奇譚が記されていた
- 各国の奇譚集を集めることが趣味だ
- 有名な奇譚のもとを辿ると、地方に伝わる伝承へと行きつく
- 彼が好きそうな奇譚を友人から聞いてきた
- 雪国の奇譚は幻想的で夢のようなものが多い
「奇譚」の類語・言い換えとは?
「奇譚」の類語は”異聞奇譚(いぶんきたん)”
「奇譚」と似た意味をもつ言葉(類語)には“異聞奇譚(いぶんきたん)”が当てはまります。「異聞奇譚」とは、”非常に珍しい話”を意味する四字熟語です。
「異聞」と「奇譚」にはどちらも”珍しい話”という意味が含まれており、重ねて用いることで「珍しい話」という意味を強く表しています。
・異聞奇譚を話したときの、彼の表情が忘れられない
・A国には多くの異聞奇譚があり、今も語り継がれている
「珍聞奇聞」「奇談」への言い換えも可
「奇譚」の類語としては、「珍しい話・不思議な話」を意味する”珍聞奇聞(ちんぶんきぶん)”や、「世にも珍しい話」を意味する”奇談(きだん)”もあります。いずれも珍しい話を意味する言葉ですので、言い換えとして使えます。
「奇譚」と同じ読みをする熟語とは?
「忌憚」の意味は”きらい嫌がること”
「奇譚」と同じ読み方をする「忌憚」という言葉。「忌憚」とは”きらい嫌がること”を意味します。また、否定をともなった「忌憚ない」という使い方の場合、”気兼ねない・遠慮ない”という意味をもちます。
・周囲から忌憚されていると友人が嘆いていた
・忌憚のないご意見をお聞かせください
・忌憚なく思ったことをおっしゃってください
「奇譚」と「忌憚」は同じ読み方をすることから、「奇譚ない」と誤った使い方をされることもありますが、正しくは「忌憚ない」であるため注意しましょう。
「綺譚」は”美しい話”を意味する造語
「美しい話」を意味する「綺譚」も”きたん”と読みます。「綺譚」は小説家の永井荷風(ながいかふう)がつくった造語で、小説のタイトルとして使用されていました。造語であるため辞書には記載されていません。
「奇譚」の英語表現とは?
「奇譚」は英語で”Mysterious story”
「奇譚」の英語表現には“Mysterious story”が適しています。「Mysterious story」とは”不思議な話・不可解な話”を意味し、「奇譚」の”不思議な話”という意味を表せます。ただ、「Mysterious story」には”珍しい話”という意味はないため、「珍しい話」を表したい場合は「Unusual story(珍しい話)」へ言い換えてみましょう。
まとめ
「奇譚」とは「珍しい話」や「不思議な話」を意味します。「奇譚を語る」や「奇譚を聞く」のように使いますが、「奇譚ない」は誤用であるため注意しましょう。「奇譚」を他の言葉で言い換えたい場合は、四字熟語の「異聞奇譚」や「珍聞奇聞」が適しています。
「忌憚」「綺譚」は「奇譚」と同じ読みをしますが、意味が異なるため「奇譚」に変わって使用することはできません。
まるで小説かのような奇譚を聞かされた
意味:まるで小説かのような珍しい話・不思議な話を聞かされた