「万能感」の意味とは?使い方・類語・英語表現もわかりやすく解説

心理学でも「人の感覚」に関連した項目はたくさん存在しますが「万能感」もその中の一つです。何でもできることを表す「万能」という言葉が使われていますが、どのような意味なのでしょうか?

ここでは「万能感」の意味と言葉の使い方、類語、英語表現について解説させていただきます。大人には厄介なこともある「万能感」ですが、正しい意味や特徴と併せて早速みていきましょう。

「万能感」の意味とは?

「万能感」の意味は「全知全能に近い感覚」のこと

「万能感(ばんのうかん)」とは、一般的に「全知全能に近い感覚」を意味します。幼児的な感覚を表し、幼い時に持つ「自分は全ての事を知っている」「自分に不可能なことはない(何でもできる)」という気持ち的な感覚を指す言葉です。

「万能感」の「万能」とは、「全てに効き目があるること」「何に対しても役立つこと」「全てに優れているさま」「何でもできるさま」です。これに「感覚」を意味する「感」を組み合わせた言葉が「万能感」となります。

「万能感」を「幼児的万能感」とも呼ぶこともある

「万能感」は幼児的な感覚が特徴であるるため、場合によっては「幼児的万能感」と呼ぶこともあります。「幼児的」という言葉のフィーリングから「幼稚でわがまま」というような解釈をしてしまうことがありますが、それは厳密にいうと正しくありません。

どちらかと言えば、自分の限界を理解していない、現実から目を背け認めようとしないことを表す言葉です。

「万能感」の使い方と例文

「万能感」を褒め言葉で使うことはほとんどない

前述では大人の「万能感」は、純粋な「幼児性のあらわれ」だとお話しました。つまり、子供から大人へと成長する過程で消滅すべき感覚が、周囲の影響や何らかの事情で残ってしまっている状況を指しています。そのため、少なくとも「あなたは万能感がある素晴らしい人だ」などと褒め言葉として使うのは適切であるとはいえません。

たとえば、何も自信が持てず、心底落ち込んでいる人がいるとします。その場合、相手に自信を持とうと励ます意味で「むしろ、万能感を持って頑張って」というように使う場合は、使い方の意向としては間違っていません。

「万能感」を使った例文

  • 子供は万能感が強いせいか、否定されるとむくれる傾向にある。
  • 万能感を捨てきれない大人は、現実と自己の認識のはざまで悩まされる。
  • 自分が特別な存在であるという万能感は、社会においてやっかいな感覚でもあろう。

「万能感」の類語と対義語は?

「万能感」の類語は「全能感」

「万能感」の類語は「全能感」です。おおむね同意語として扱われることが多く、自分には世の中に存在する全ての能力が備わっている、自分は無限の力や才能があると認識してしまう感覚を表す言葉として使われています。

例文
  • 全能感にあふれる彼は、勉強もしないのに試験で満点がとれると思い込んでいた。
  • 自己の力には際限がないと認識し、挙句の果てには全能感丸出しで政治の世界で飛び込む始末だ。

「万能感」の対義語は「無力感」

「万能感」の正式な対義語はありませんが、「万能感」とほとんど同じ意味を持つ「全能感」の対義語となるのは「無力感」です。「無力感」とは自分が無力であると感じた時に感じる虚脱感のことを意味します。ものごとやこれからしようとすることに対し、やる気を持つことができず、前向きな力や活力を感じることができない感覚を指します。

例文
  • 無力感に苛まれ、何も手につかない。
  • 自分には能力も希望もないなどと、無力感のかたまりのような態度をとるな。

「万能感」の特徴と心理学での定義

「万能感」は子供がもつ普通の感覚

ぜひ、幼いころの自分を思い出してみて下さい。もしかしたら「自分は特別な存在である」「スーパーマンのような力を持っている」「他人とはかけ離れた才能と知能が備わっている」というように、実際とはかけ離れた感覚をもったことはないでしょうか?小さい時は誰でも「自分は万能者である」という優越的な感覚を持った経験があるはずです。

心理学の分野でも「万能感」を、子供がもつ普通の感覚であるとしていますが、子供が大人へと成長していく過程で徐々に薄れていくものであると定義づけをしています。

困難を乗り越えることで「万能感」が薄れていく

子供が成長する中でさまざまな経験をし、自分が得意ではないものごとや分野に気付いたり、苦手なこと、難しいと感じることに多くぶつかっていきます。

通常は「やっぱり、自分は万能な人間ではないかもしれない」という感覚が育ち、真っ当な自我の形成が行われていきます。そして徐々に「万能感」が失われ、最終的には自分の自信につながっていき、自分を肯定する感覚が生まれてくるのです。

大人の万能感は心理学で「幼児性のあらわれ」と言われている

「万能感」は子供が持つごく普通の感覚ですが、大人になっても「自分は万能者である」という感覚が強い場合があります。この場合、心理学的には大人が持つ「自己の幼児性のあらわれ」だとされています。

たとえば、自分の思い通りにならなかった時に癇癪をおこしたり、他人に当たったりすることは、幼児性の一つのあらわれです。もちろん、現実的に考えても、何もかも全てが自分の思い通りになることはありません。

それでは、現実を受け止めることができないのはなぜでしょうか?成長過程で深くかかわる大人たちが「万能感」を消しさる手助けをしなかった、その機会すら与えなかった、もしくは、自分で捨てることを拒否してしまったためです。加えて、過保護という環境も「万能感」を助長させてしまう原因となります。

「万能感」の英語表現は?

「万能感」は「almighty feeling」

英語で「万能感」を表すなら、「almighty feeling」が最も適切です。「almighty」は「万能」や「全能」を表す単語ですが、人が努力して得た万能の力というよりは、神から与えられた計り知れない力という意味合いが強い言葉となります。そのため「現実的にはありえないような能力」というニュアンスで使われることが多くなります。「feeling」は周知のとおり、「感覚」という解釈で大丈夫です。

「万能感」を使った英語例文

  • Most kids tend to have an almighty feeling.
    ほとんどの子供が万能感を持っている。
  • Almighty feeling sometimes cause people a social issue.
    万能感が人々の社会生活に支障を与えることがある。

まとめ

「万能感」とは、幼少期に誰でも持つ感覚「何でもできる」「全知全能である」という感覚を意味します。

幼い時は両親や先生など、周囲の大人による保護のもとで生活を送ることになります。しかし、困難への壁を乗り越える時に、異常に手を差し伸べすぎたり、無意味に褒めすぎたりすると、通常経験する「自己の限界」に気付きにくい体質が出来上がってしまいます。

もちろん「万能感」を捨て、限界を知ることは勇気がいることかもしれません。しかし、自分を肯定することで、できること、できないことが明確になれば、自分に適した仕事を発見できたり、無理のない人づきあいができるかもしれません。

ちなみに「万能」は単体の場合、文脈によって「除草に使う農具の類の一つ」を指すことがあります。この際は「まんのう」と読みますので併せて覚えておきましょう。