「パテント」の意味とは?パテント商品やパテント素材も解説

「特許を取る」ではなく「パテントを取る」というように、「特許」のことを「パテント」と呼ぶことがあります。英語が語源のカタカナ語ですが、英語の意味との違いはないのでしょうか?

間違って使用することがないよう、正しい「パテント」の意味と、パテントが付くさまざまなカタカナ語について解説します。

パテントの意味・語源

カタカナ語「パテント」の意味は「特許」

「パテント」の意味は、「特許、特許権を持つ、~の特許を取る」です。「パテントを取る」「パテント料を支払う」というように使います。

「特許」の意味

特許とは、高度で新規性のある技術的発明をした者の出願に基づき、政府がその独占権を一定期間保護することを意味します。

「パテント」の語源は英語の「patent」

パテントは英語で「patent」と書きます。意味は次の通りです。

  • 名詞の意味:特許、特許権、特許証、特許品
  • 形容詞の意味:特許の、特許権を持つ
  • 動詞の意味:…の特許を取る

さまざまなパテントの複合語とその意味

「特許」の意味の「パテント」がついた複合語にはさまざまなものがあります。

「パテント商品」の意味

日本で「パテント商品」という場合は、「特許権」以外にも実用新案権、意匠権、著作権、商標権なども含めた知的財産権全般についての権利を持つ商品という意味であることが一般的です。本来の英語のパテントには知的財産権全般を指す意味はありません。

「パテントマップ」の意味

特許情報を整理・分析して視覚的に理解できるよう図表化したものをパテントマップといいます。パテントマップの目的は多岐に渡り、競合企業の出願動向を探ったり、技術開発のヒントを得るための検討材料として用いたりします。

パテントマップは専用ソフトやExcelを用いたり、専門業者に依頼したりして作成します。

「パテントプール」の意味

「パテントプール」は英語で「patent pool」と書き、複数の特許権所有者がパテントを持ち寄り、共同して設立した会社に管理を任せる仕組みのことです。特許権使用料の引き下げや、複雑な技術の商品化に役立つとされています。

「パテントスコープ」の意味

「パテントスコープ」は英語で「PATENTSCOPE」と書き、WIPO(世界知的所有権機関)が提供する特許情報の提供サービスのことをいいます。WIPOが所有する特許や、国際特許出願についての情報がインターネットで提供されています。

WIPOが情報提供する知的財産は特許だけでなく、商標・意匠・著作権など多岐にわたりますが、特許に関する情報を扱うのがPATENTSCOPEです。

「パテントトロール」の意味

「パテントトロール」は英語で「patent troll」と書き、第三者より買い集めた特許権によってビジネスを行う個人や組織のことをいいます。大企業に対して特許権侵害を訴え、巨額な損害賠償金を得ることが目的で、実際には事業活動を行っていないことがほとんどです。

パテント・トロールのトロールには怪物の意味もあるため、「特許の怪物」という意味になります。

「パテントレザー(パテント素材)」の意味

日本でエナメル革と呼ばれているものがパテントレザーです。革の表面に光沢のある加工を施す特許を持つ革であることから「Patent Leather(パテントレザー)」と呼ばれています。日本では加工塗料のエナメルの意味からエナメル革と呼ぶようになったようですが、欧米ではパテントレザーの呼称が一般的です。

また、日本ではエナメル革・パテントレザーの他にパテント素材と表記される場合もあります。また、エナメル革風の生地を「パテント生地」と呼ぶこともあります。

その他のパテント

「パテント料」の意味

「パテント料」とはライセンス料・ロイヤルティーなどとも呼ばれる特許の使用料のことです。特許権を持つ人が許可した場合、特許権所有者以外の者が製品の製造や販売を行うことができます。そのとき両者の取り決めに応じて特許の使用料が発生します。

医療分野のパテント

医療分野でもパテントが取得されています。医療用の材料や手術機器などです。また再生医療や遺伝子治療など医療技術に対する特許も「医療技術特許(medical technology patent)」として認められています。

雑誌名が「パテント」

日本弁理士会の会誌名は「パテント」です。知的財産の最新情報や研究成果などを発信しています。

まとめ

「パテント」は英語の「patent」と同じ「特許・特許権」という意味で、さまざまな複合語がありました。そのほとんどは「特許」の意味を含んでいますが、「パテント商品」と呼ぶ場合は、知的財産権全般について取得した商品という意味で使用されていることがわかりました。

カタカナ語の中には、語源の英語の意味とは異なる日本独自の意味が加わっていることもあります。英語圏の人とコミュニケーションを取る場合は注意するとよいでしょう。