「一家言(いっかげん)」という言葉は、主張や考えを表す言葉として使われます。「いっかごん」と読むのは間違いで、意味もただの主張や考えのことではありません。
ここでは「一家言」の読み方や語源を含め、意味と使い方を解説。類語や英語表現もわかりやすく紹介しましょう。
「一家言」とは?
「一家言」の意味は”その人が持つ独特な主張や論説”
「一家言」の意味は、“その人が持つ独特な主張や論説”のことです。人にはそれぞれ他人とは異なる考えや意見がありますが、場合によっては非常に見識が高く、思わず聞き入ってしまうような論説を演ずる人もいます。
「一家」という言葉から「子分や群れを成す一団」というイメージが沸きそうですが、「一家言」では、主に学問や芸術などの分野で、独特のカルチャーや流派を持つ場合が多くあります。「一家言」の「家」は「大家(たいか)」や「道家(どうか)」などと同じ使い方で、その道を詳しく知る「専門家」「知識人」といったニュアンスを持ち合わせる言葉となります。
「一家言」は、ごく一般的な概念ではなく、ひとかどの見識や独自の発想を表す言葉であると解釈しておきましょう。
「一家言」の読み方は”いっかげん”
「一家言」の読み方は、“いっかげん”です。言葉を初めて見る人は困惑しそうですが、「いっかごん」「いちかげん」などと誤読しないように、気をつけましょう。「一家団欒(いっかだんらん)」の「いっか」に、「言論(げんろん)」の「げん」となります。
「一家言」の語源は司馬遷の”史記”
「一家言」の語源は中国の英雄・司馬遷がまとめた「史記」だと言われています。中国の戦国時代前後には「「兵家(へいか)」「法家(ほうか)」なども思想家が数多く存在していましたが、史記の中でも「一家の言と成す」と書かれた箇所があります。これが由来となって「一家言」という言葉が出来たのです。
「一家言」の使い方と例文とは?
「一家言」は”一家の格言”という意味で使わない
「一家言」は言葉のニュアンスから「一家の格言」という意味で使ってしまうことがあります。同じように、職場なら社内のルールとして「一家言」を使うのは間違いですので気をつけましょう。
「一家言」を使った例文
「一家言」を使った例文をご紹介しましょう。
- 私は教育現場に20年以上携わっているため、生徒指導には一家言を持っている。
- 武道家として招かれた講演会で一家言を展開し、周囲を驚愕させた。
- 一家言とまではいかないが、時事問題に関しては独自の見解と意見を持つ。
- 多様化する働き方の実情について、専門家が一家言を放っていた。
「一家言」の類語・言い換えとは?
「持論」は自分の中にある確固たる持説や意見
「持論」とは読んで字のごとく、自分が持つ論説のことです。予てから主張する考えや主張を意味しています。
- 母の子育てに対する持論は、数十年変わっていない。
「主義」は自分が持ち続けている方針や態度
「〇〇主義」と使われるように、「主義」とは心から信じ、長い間持ち続けている方針や態度のことです。
- 私は放任主義であるが、彼女はもっとかまってほしいようだ。
「哲学」は自分の経験から得た考えや人生観
「哲学」は基本的に知恵や原理を専門に研究する学問という意味がありますが、ここで類語として捉えたい意味は、自分の経験から得た考えや人生観のことです。ひとかどの見識を修得し、人生観や独自の主張を表す言葉としては、言い換えの言葉としても使えるでしょう。
- 野菜中心の生活で健康な体を取り戻した彼は、確固たるな哲学を得た。
「定見」は他の意見に揺らがない確固たる考え
「一家言」とややニュアンスは異なりますが、「定見」とは他人の意見に揺らがない確固たる考えを指します。「定見」は「一家言」のように教育や芸術などの流派や思考スタイルに限らず、あらゆる分野において使うことができます。
- 営業スタイルに関しては、自分なりの定見を持っている。
「一家言」の英語表現とは?
「一家言」は英語で”strong opinion “や”personal view”
「一家言」を英語で表すには色々な言い方がありますが、難しいフレーズを使わず、シンプルに“strong opinion”や“persnal view”で良いと思います。考えや主張が前置きにあり、それが前提となって「一家言」とするわけですから、無理に訳してしまうと聞き手が困惑してしまうこともあるからです。
「一家言」を使った英語例文
「一家言」を使った英語例文をご紹介しましょう。
- 瞑想の達人である友達は、しっかりした一家言を持っている。
He has strong opinion about meditation as he is an expert.
He has personal view of meditation from what he has learnt. - 一家言を展開するには、深い見識が必要だ。
When it comes to explain my personal view, we must have deep knowledge of it.
まとめ
「一家言」は「いっかげん」と読み、語源は中国の司馬遷がまとめた「史記」となります。意味は「ひとかどの見識を持った主張や考え」「その人が持つ独自の意見や論説」で、主に教育や芸術などの流派やスタイルをもつ分野で使われます。
ビジネスシーンでは長くキャリアを積んだことで学ぶこともありますが、独自の見解や見識を打ち出して、「一家言」として展開する人もいるでしょう。つまり、権威を持って語るべき独特の主張が「一家言」なのです。