「自己開示」の意味と効果とは?自己開示できない原因や例も紹介

「自己開示」は親しい人間関係を結ぶために重要な役割を持ちますが、近頃は自己開示できない人が増えているとも言われています。そもそも自己開示とはどのようなものなのでしょうか?

この記事では、自己開示の意味と英語の語源や効果を解説し、あわせて自己開示できない原因や、自己開示のリスクについても紹介します。

「自己開示」の意味とは?

「自己開示」の意味は「個人的な情報を他者に知らせること」

「自己開示(じこかいじ)」とは、自分の考えや気持ち、あるいは生い立ちや人生歴など、個人的な情報を他者に知らせるという意味を持つ、心理学用語です。人と人が相互理解を深めるために、ありのままの自分を伝える自己開示は重要なコミュニケーションの一つです。

その一方で、親しい間柄だった人と距離をとりたい、あるいは関係を終わらせたい時には、自己開示を控え、心理的にも距離を取ることで終焉させることができます。たとえば恋愛の終わりに「気持ちが冷めたので別れたい」と本心を告げるのも自己開示です。

「自己開示」は英語「self-disclosure」が語源

「自己開示」は、英語「self-disclosure」が語源で、「self(自己)」と「disclosure(開示)」を直訳した言葉です。

1970年代に、心理学者で精神医学者のシドニー・M.ジュラードが、初めてその概念を定義しました。日本でも著書が翻訳され、自己開示という言葉と概念が広がりました。

「自己開示」の効果とは?

「自己開示」の効果は「親しい人間関係の形成」

自己開示は、親しい人間関係を形成する上で重要な役割を果たします。例えば初対面の人との距離を縮める第一歩として、自分のプライベートなことを話すのは効果的です。

なぜなら、個人的なことを伝える行為は、相手を信頼していることが前提にあります。そのため、自己開示された人は、自分が尊重されていると感じ、相手に親しみを覚えます。その結果、自分も自己開示することになり、その積み重ねによって少しづつ距離が縮まってゆくのです。

「自己開示の返報性」が相乗効果を生む

個人的な情報を相手に伝えた時、相手もそれに反応して自分のことを話す行為を「自己開示の返報性(じこかいじのへんぽうせい)」と呼びます。個人的な打ち明け話をお互いに繰り返すことによって、関係性を深めてゆくことができるため、自己開示の返報性は人間関係を深める相乗効果を生みます。

「自己開示の返報性」は、好意を示されるとその相手に自分も好意を持つという「好意の返報性」とも共通した心理状態です。これらは、恋愛やビジネスでも利用することができます。

逆に、関係を解消したい場合は、意図的に返報を遅らせる、あるいはしないことによって、目的を達成することもできます。

相手の都合を考えない「一方的な自己開示」は逆効果

自己開示は、人間関係を深めるために大切なコミュニケーションの一つですが、その一方で、相手の気持ちや都合を考えず、自分の目的を達成するために一方的に行う自己開示は逆効果です。

たとえば、出会って間もない人から、極めて個人的なことを突然切り出され、対応に困った経験がある人もいるのではないでしょうか。

自己開示は、相手との関係性の中で適切なタイミングで行い、お互いに影響しあいながら発展させてゆくものです。親しくなりたい人に適切な自己開示を行うことは効果的ですが、一方的で不適切な自己開示は逆効果になるため注意が必要です。

「自己開示できない原因」や「自己開示のリスク」とは?

「インターネット上でつながった人間関係」は自己開示しにくい

最近は、友人に自己開示できないと考える人が多くなっているようです。その原因の一つとして、友人の定義が変化していることが挙げられます。

過去の常識では、面と向かって話をしたり、行動をともにしたりする中で、徐々に自己開示を行い、友人関係を育みました。しかしインターネットの発達に伴い、SNSなどを介したコミュニケーションのみでつながった、実際に会ったことがない相手でも友人と考える人が多くなっています。

インターネット上での人間関係の特徴は、自己開示ではなく自己提示が基盤となりやすいということです。自己提示とは、ありのままの自分を見せるのではなく、自分をどのように見てほしいかというプレゼンテーションです。

不必要な情報は隠して理想の自分を作り上げてしまう自己提示により、ありのままの自分を自己開示することは難しくなると言えます。

信頼できない相手には「自己開示のリスク」がある

「自己開示」は、自分のプロフィールや家族の情報など、プライベートな事柄を伝えるものであるため、その情報が悪い目的に利用されるリスクが伴います。信頼できない相手への自己開示には注意が必要です。

また、お互いが信頼関係で結ばれている時は、自己開示はその関係をさらに深めるために有効ですが、信頼関係が崩れた時に、親密な自己開示の内容を相手を傷つける手段として使われてしまうこともあります。

自己開示のリスクを回避するために、相手やその関係性を見極めながら、開示する内容やタイミングを判断することが大切です。

「自己開示」ができない時は無理をしてする必要はない

先に説明したとおり、信頼関係がない相手に自己開示することにはリスクが伴います。そのため、その後の人間関係が発展しないことが想定されるような、好感や信頼感が持てない人から自己開示された場合には、無理して自分の自己開示する必要はないと言えます。

とはいえ、必要以上に警戒することは健全な人付き合いを妨げることにもなるため、リスクを考慮しながら、情報を選択して自己開示することでバランスを取ることが大切です。

まとめ

「自己開示」は、人間関係の構築や醸成に重要な役割を持ちます。その一方で、あえて自己開示をしないことで、人間関係の解消を行う手段とすることもできます。

また、自己開示の効果については、ポジティブな面だけでなく、個人情報を悪用されるなどのネガティブな面も存在することを理解しておく必要があります。自己開示する時は、その目的をよく考え、適切な内容やタイミングを考慮するとよいでしょう。

人間関係を豊かにしたり、破壊したりする自己開示をうまくコントロールして、健全で親密な人間関係を築けるようにしたいものです。