「上申書」とは上部機関や自分よりも役職的に上の人に意見などを伝えるために使われる書類で、裁判所や警察、会社宛てなどあらゆる機会で用いられています。今回は「上申書」の意味とその効力について解説し、裁判所・警察・登記・会社の目的別に上申書の特徴と書くときの注意点、さらに「上申書」の英語表現も紹介します。
「上申書」の意味と効力とは?
「上申書」の意味は”上層機関や上役に対する報告書”
「上申書(じょうしんしょ)」の意味は、“上部機関や部署、上役に対して、意見や報告を申し述べるための書類”です。
「上申書」は主に官公庁や警察などの公的な機関に対して、単なる申し立てをするときに用いられますが、ビジネスシーンでも上司や会社の経営層にあたる部署や人に対して意見や提案を伝える場合に用いられます。
「上申」の意味は”上の者に意見を述べること”
「上申」の意味は、“上の者に意見を申し述べること”です。同僚や友人などに意見を言う時には使われず、自分よりも役職や立場上で上の者に対して意見を言うときに使われる言葉です。
また「上申」は「具申(ぐしん)」と言い換えられます。
- 「社長に上申する」
- 「部署の改革案を上申する」
「上申書」の効力は限られる
「上申書」は法的な手続きを取った書類ではなく、上申書の効力にも保証はありません。つまり、上申書によって上伸した意見や報告が必ず提出先に伝わるとは限りません。そのため、上申内容が相手に伝わらないことを見越したうえで提出しましょう。
目的別「上申書」の書き方とは?
ここでは、裁判所、警察、登記、ビジネス向けの上申書の書き方を紹介します。
裁判所に提出する上申書は内容を明確に書くことを心がける
裁判所に提出する上申書とは、裁判所に要望がある場合に提出されます。採決や裁定に不服があり意見がある場合や、裁判で早期解決を促すための和解勧告を目的に提出します。
提出先は基本的には裁判所だけですが、民事訴訟で内容によっては相手方に送ることもあります。
裁判所に提出する上申書に形式はありません。したがって、上申する内容を明確にわかりやすく書くことが大切です。
警察に提出する上申書は警察署長宛てに書く
警察署に提出される上申書とは、事故や事件に巻き込まれた際に、どうしても伝えておきたいと思われる事柄を陳述するときに使われます。例えば、交通事故を起こして免許取り消しの処分が決まりそうなとき、これだけは警察に伝えておきたいという内容を上申書にまとめて提出します。
警察署に提出する上申書は、提出先の警察署長宛てに書きます。どの事故・事件に関するもので、それに対してどのようなことを主張したいのかを明確に、かつ簡潔にまとめます。
相続登記で上申書が必要になることがある
上申書は相続登記の際に提出されるケースとは、被相続人が不動産の登記上の名義人と同一性を証明できない場合です。
登記上の住所と被相続人の現住所が一致していないとき、住民票等で確認をすることになりますが、それらの書類がすでに廃棄されていると証明できなくなります。この場合、上申書を提出します。
会社で提出する上申書は提出先を間違えないことが大切
ビジネスシーンで上申書は広く使われています。部下が上司に意見を伝える進言書として、上司が部下を上役や別部署に推薦する推薦書として、または業務改善を望むときの意見書など、あらゆるシチュエーションで使われています。
会社に提出する上申書にも形式は特に問われないことが多いため、内容を簡潔にわかりやすくまとめて作成します。
気をつけるべきことは、提出先です。案件に沿った正しい部署、またはその案件に権限のある適切な人に提出します。提出するべき相手ではなく、より力を持っている人がいいと勝手な判断をして、部長ではなく、いきなり社長などに提出すると混乱を招くからです。上申書の提出先は、誰が相応しいのかを見極めましょう。
「上申書」のテンプレートとは?
警察署に提出する上申書の文例とテンプレート
ここでは、警察署に提出される上申書のテンプレートとして、路上駐車違反のケースを紹介します。記載内容は案件によって変わりますので、参考程度でご覧ください。
令和〇〇年〇月〇日
上申書
〇〇警察署長殿
令和〇〇年〇月〇日に、環状八号線の練馬区○○交差点の裏付近で犯した路上駐車違反について申し上げます。
私は路上駐車禁止区域で路上駐車したことを猛省し、今後は駐車可能な場所に駐車することを誓います。
できることでしたら、下記事由について寛大な処分をお願い申し上げます。
- ゴールド免許所有。過去、違反歴なし。
- 近隣を回ったがコインパーキング等の駐車可能な場所が見つからなかった。
- 路上駐車時間は、約一時間。
- 小さな子供がいるため、遠くに駐車することはできなかった。
「上申書」の英語表現とは?
「上申書」は英語で”written report”
「上申書」は英語で“written report”や“written statement”と訳されます。これらの英訳に含まれる「written」は書面のという意味で、「report」は報告書や申告、「statement」は意見書や陳述書という意味です。ただし「written report」と「written statement」が使い分けられることがあまりないので、これらの言葉を見たら上申書だと解釈すればいいでしょう。
「上申書」を使った英語例文
「上申書」を使った英語例文をご紹介しましょう。
- “a written report that is submitted to the company manager”
「経営者に上申される上申書」 - “He gave a written statement to his boss.”
「彼は上司に上申書を提出した」 - “I submitted a written report about a traffic accident that I witnessed.”
「目撃した交通事故に関する上申書を警察に提出した」
まとめ
「上申書」とは、意見や陳述などを法的な体裁を取らずに提出するための書類です。裁判所や警察、登記などの公の機関に提出されることもありますが、ビジネスシーンでも使われています。