「不倶戴天」の意味とは?正しい使い方の例文や類語・対義語も解説

「不倶戴天(ふぐたいてん)」とは、相手への復讐心や恨みつらみを表現する場面で使われる言葉です。これは軽い気持ちではなく、相当の深い感情をともなったシーンで用いることをご存知でしょうか?

今回は「不倶戴天」について、読み方と意味、使い方と例文、類語と対義語を解説させていただきます。ぜひ、気になる語源についても注目してみて下さい。

「不倶戴天」とは?

「不倶戴天」の意味は”決して許すことができない深い恨み”

「不倶戴天」の意味は、“決して許すことができない深い恨み”です。相手に対し、同じ世界にいることさえ不可能なほど深い恨みを持ち、生かしておくことなど到底できない程、強い憎しみを抱くことを指しています。「倶には天を戴かず=この世の中に一緒に生きてはない」という意味です。

「不倶戴天」の読み方は”ふぐたいてん”

「不倶戴天」の読み方は“ふぐたいてん”です。「戴天」を”頂戴(ちょうだい)”と同じく「だいてん」と解釈しまい、「ふぐだいてん」と読んでしまうのは誤りとなりますので、読み方についてはこの点だけ注意しましょう。

「不倶戴天」の語源は中国の”礼記”

「不倶戴天」の語源は、中国の初期「礼記」といわれています。「礼記」は儒教の経書で礼の倫理的意義を中心に解説した経典ですが、この中に「自分の父親や主君にとって敵となるものは殺すべきである」という”憎しみ”に対する倫理観を説明する箇所があります。これが語源です。

「不倶戴天」は憎悪を抱くべき相当の原因が潜んでいる

「同じ世界、同じ場所にいることさえできない」「同じ空気を吸いたくない」とは、どのような感情が心の裏に潜んでいるのでしょうか?

「不倶戴天」を抱く心理の裏側には、現在もしくは過去に、相当の憎悪を抱くべき原因が潜んでいることが容易に想像できます。つまり、いくら腹の立つ出来事があっても「昨日財布を盗まれた」「電車で足を踏まれた」などのレベルでは「不倶戴天」の境地には達しないということです。

「不倶戴天」の使い方と例文とは?

「不倶戴天」を日常会話で濫用しない

「不倶戴天」を使う時は”命を懸けて報復する程の恨み”を持っていることが前提です。そのため、通常人々が日常生活の中で感じるような「恨み」程度では、不適切な使い方となります。

たとえ、相手に恨みつらみがあっても、「命を掛ける」ほどの恨みの深さを抱いていない場合は、適切な使い方とはいえません。もちろん、恨みや憎しみを感じる度合いは人によって異なりますが、「不倶戴天」を濫用してしまうと、場合によっては「大げさだ」と解釈されることがあります。

「不倶戴天」を使った例文

「不倶戴天」を使った例文をご紹介しましょう。

  • 離婚訴訟で親権を奪われてしまい、何とも不倶戴天の極みである。
  • 不倶戴天の念が消えないのは、学生時代にイジメが脳裏から離れないためだ。
  • 交通事故で家族を失ったが、加害者からの謝罪もなく、不倶戴天の憎悪に苦しんだ。

「不倶戴天」の類語とは?

「不倶戴天」の類語は”怨恨・宿意・共存不可能”

「不倶戴天」の類語表現は“怨恨(えんこん)・宿意(しゅくい)・共存不可能”などがあります。「怨恨」は”深く激しい恨みの心”、「宿意」は過去や年来の恨み、また「共存不可能」は同じ場所にいることが非常に苦しく難しいことを表します。

  • 彼に繰り返し裏切られ、最近は「怨恨」に近い感情が生まれてきた。
  • 「宿意」の念を抱いたのは、忘れもしない、あの医療事故からだ。
  • 地元チームの熱心なサポーターであるため、相手チームとは共存不可能である。

「恨み骨髄に徹する」も強い恨みを意味する

「恨み骨髄に徹する」という熟語表現がありますが、言葉通り身体の芯となる骨髄にまで浸透するほどの強い恨みを意味します。この表現も余程の原因が根底にあるのが前提です。

「不倶戴天」の対義語とは?

「不倶戴天」の対義語は意味の上では”恩義”

「不倶戴天」の正式な対義語はありませんが、類語である「怨恨」の対義語は“恩義”となります。「恩義」とは”感謝すべき行為に報いなければならないと思う気持ち”を表します。「恩義」は”不倶戴天”で表す深い恨みとは逆に、感謝しようとする感情を示すときに使いましょう。

  • 海外でパスポートを落としたが、心ある人が拾ってくれ、恩義に勝る気持ちだ。

まとめ

「不倶戴天」とは「ふぐたいてん」と読み「誰かを深く恨む」ことを意味します。「相手と一緒の世界にいたくない」「同じ世の中で生きることができない」「この世に生かしておくことが苦しいほど深く激しい恨みを抱く」という意味で使われています。

日常生活や職場で「ふぐたいてん」を使うシーンはあまりないかもしれませんが、たとえば仕事を通して深く裏切られたり、耐え難い対応を繰り返されたりという状況なら、「不倶戴天」という表現を使えるでしょう。

日本には数多くの四字熟語がありますが、適切な場面で使うことで、言葉が持つ威力を最大限に発揮することができます。「不倶戴天」についても意味や使い方を把握しておきましょう。