サービス業の中でも就職先として人気があるのがホテル業界です。「コンシェルジュ」はホテルの中でも、宿泊客に最も密接したサービスが求められる職域の一つですが、言葉の意味や「コンシェルジュ」に頼めることとは何なのでしょうか?
今回は「コンシェルジュ」の意味と語源をはじめ、仕事内容について中心に紹介させていただきます。ホテル以外にも「コンシェルジュ」についても解説します。
「コンシェルジュ」の意味と語源とは?
「コンシェルジュ」の意味は”ホテルの案内人・管理人”
「コンシェルジュ」の意味は、“ホテルの案内人・管理人”のことです。上記でも説明させていただきましたが、日本語の「コンシェルジュ」も、基本的にはほぼフランス語の「concierges」と同じです。しいて言えば、日本での「コンシェルジュ」は、おおむねホテルの中で働く職域での「コンシェルジュ」というイメージが強いようですが、ホテルのコンシェルジュは、いわば「ホテルの案内人」で、宿泊者のサポートをする職務となります。
「コンシェルジュ」の語源のスペルは”concierges”
「コンシェルジュ」は英語として認識が浸透していますが、語源はフランス語の“concierges”となります。
フランスでは一人暮らしを中心にアパートが人気ですが、「concierges」は”アパートの門番、守衛”という意味で使われる言葉です。つまり、フランスではアパートに住んでいる人の相談を受けたり、町の案内をしたりする、いわば「管理人」のことを指します。
ホテル「コンシェルジュ」の仕事と必要なスキルとは?
ホテル「コンシェルジュ」はプライベートの相談役
「コンシェルジュ」の仕事は多岐にわたります。ホテル内の施設案内にはじまり、周辺のレストランや公共施設の案内、バスや飛行機のブッキング、周辺観光地案内、病院紹介、ツアー申し込み、タクシーの手配など宿泊者が求めるさまざまな要望に対して的確に対応するのが仕事となります。
たとえば、家族旅行で訪れた宿泊客が、子供連れでも気軽に入店できる高級フランス料理店を探している場合もあるでしょう。また、宿泊中に虫歯が痛み出し、周辺の歯科医を紹介してもらい時もあります。このように、よりプライベート的な要望を聞き入れ、的確なアドバイスや対応をするのも「コンシェルジュ」の仕事です。
ホテルのコンシェルジュは「国際文化やマナー」も理解するべき
海外から日本に訪れる観光客やビジネスマンはあとをた後を絶ちません。そのため、ホテルのコンシェルジュは、英語力はもちろん、国際的な文化やマナーなども理解しておくことが必要です。
たとえば、挨拶を例にとれば、初めて会う人に対して握手をする国もあれば、軽いハグ、また日本のように軽い会釈だけをする国もあります。また、日本では子供の頭をなでて褒めたりしますが、インドネシアのバリ島では子供の頭は神聖な箇所なのでタブーとなり、その他、日本でごく普通にするピースサインも、手の甲側で見せる裏ピースとなるとイギリスでは「侮辱」を表します。
これらはほんの一例ですが、「コンシェルジュ」たるもの、やはり国際的な文化やマナーは理解しておくべきでしょう。ホスピタリティのプロとしては、相手に失礼なマナーはぜひとも避けたいものです。
基本的に「コンシェルジュ」にチップは必要ない
海外のホテルに泊まると、ドアマンやベッドメイキングに対しチップを払うことがあります。チップは基本的に「サービス」に対して感謝の気持ちとして渡すもので、相場は1ドルから2ドル程度がほとんどとなります。
コンシェルジュにタクシーを呼んでもらったり、周囲の案内をしてもらったりすることがありますが、この時に「チップ」は必要ありません。逆に、コンシェルジュに対してチップを渡すことが失礼にあたることもあるため、気をつけたいところです。
コンシェルジュの仕事柄、宿泊客から「ありがとう」「助かりました」という言葉をもらうのが何よりであり、役割を果たしたと実感できる至福の時となります。しかし、例外で、込み入ったプライベートに関する要望や特別なお願いをした時は、お礼の気持ちとして「チップ」を渡すのは構いません。
ホテル以外の「コンシェルジュ」とは?
医療機関のコンシェルジュは「医療現場のコーディネーター役」
医療機関のコンシェルジュは病院や福祉施設などに滞在し、患者に対し「最適な医療機関の紹介やセカンドオピニオンとしての補助的なアドバイスをする」という役割を担っています。また、病院や施設内の案内を的確に行うことで、患者の待ち時間を短縮し、効果的な受診を促進していくのもコンシェルジュとしての役目となります。
また、病院側の医師や看護師などの医療スタッフへの配慮も仕事の一つです。医療のコンシェルジュは患者と医療スタッフの橋渡しとなって、医療受診をスムーズに行うよう現場を支えています。
マンションのコンシェルジュは「生活全般のサポート・世話役」
高級マンションや集合住宅でのコンシェルジュは、住人の生活全般をサポートし、快適なライフスタイルを実現するためにお世話をする人を指します。具体的な仕事内容は、来訪者への対応や公共スペースの予約、マンション内の点検や補修処理の手続きなど、多岐にわたります。
また、セキュリティーシステムの導入やアップグレードなど、安全な生活が送れるようにサポートしていくのが、マンションのコンシェルジュの役目となります。
まとめ
「コンシェルジュ」はフランス語の「concierges」が語源で、もともとは「アパートの管理人・世話係」といった庶民的なものでした。現代に知られるホテルコンシェルジュのように、パリッとしたスーツを来たオシャレなイメージとはややかけ離れ、どちらかといえばフランクで庶民的なポジションでもあったようです。
また「コンシェルジュ」は医療現場や総合住宅でも活躍する職域です。本格的なサービス業であるため、接客技術やコミュニケーション能力、提案能力や決断力、さらには豊富な知識や見分、人生経験なども必要となる職業です。マルチタレントとはいかないまでも、総合的な人間力が必要になってくるのも、「コンシェルジュ」の特徴といえるのかもしれません。