「シャビー」は白を基調としたアンティーク調の家具やインテリアのスタイルを指すカタカナ語です。ハイセンスで素敵なスタイルとして女性に人気のシャビーですが、語源の英語は素敵とは正反対のネガティブな意味であるため、どちらの意味で使っているのかわからない場面に出会うこともあります。
そこでこの記事では、「シャビー」について、インテリアスタイルと英語の意味をそれぞれ紹介します。あわせて「シャビー加工」などの関連用語や、アンティークとの意味の違いなども解説しています。
「シャビー」とは?
「シャビー」の意味は”古めかしくておしゃれなインテリアスタイル”
「シャビー」の意味は、“古めかしくておしゃれなインテリアスタイル”です。白を基調としたアンティーク調のインテリアのスタイルを表現する言葉として一般に定着しています。「シャビーな〇〇」と言う時は、”古めかしくておしゃれな味わいのある・使い込まれて素敵な雰囲気の”といったニュアンスの意味として使われています。
「シャビー」は”シャビーシック”の略語
「シャビー」は本来は”シャビーシック”が語源の言葉で、略したカタカナ語で使用されています。シャビーシックとは、イギリス生まれのレイチェル・アシュウェルが1989年にカリフォルニアで創設したインテリアブランド「RACHEL ASHWELL SHABBY CHIC Couture(レイチェル・アシュウェル シャビーシック・クチュール)」が、コンセプトとしたインテリア・テイストです。
シャビーシックは、白を基調とした清潔感のあるクラシカルでシックなテイストで、古さとエレガントさをミックスさせた高級感のあるスタイルが特徴です。
英語「shabby」の意味は”みすぼらしい”
シャビーは英語の形容詞「shabby」が語源です。「shabby」は、”粗末な・みすぼらしい・汚らしい”などのネガティブな意味を持ちます。着古して汚ならしいコートや、みすぼらしい風貌の人などを形容する言葉として使われます。
インテリアスタイルを形容するカタカナ語としての「シャビー」は、英語の「shabby」の意味ではなく、先に説明した「shabby chic(シャビー・シック)」の意味で使われています。
なお、「chic」とは、英語の形容詞で”上品な、あか抜けた、粋な”という意味です。つまり「汚い」と「上品な」という反対の意味の言葉を合わせて作られた言葉が「シャビーシック」なのです。日本文化の感性で言えば「わびさび」に通ずるものがあるかもしれません。
「シャビー」の関連用語とは?
フランス風のシャビー・シックという意味の「フレンチ・シャビー」
「フレンチ・シャビー」とは、フランス風のシャビーシックという意味です。シャビーシック(略してシャビー)」はもともとフランス風のスタイルであるため、両者の違いはありません。特にフランス風のスタイルであることを訴求したいときに「フレンチ・シャビー」の表現を用います。
経年変化の風合いを出す「シャビー加工」
家具などをわざと汚して経年加工することを「シャビー加工」と呼びます。「ダメージ加工」が近い意味かもしれません。
DIYの用語として定着しており、「フレンチ・シャビー」の意味でのシャビーというより、「汚れた」という意味でシャビーの語が使われることが多いようです。
経年変化の風合いを出すために、家具などのペンキをわざと剥がしたり、錆の色を加えたりします。欧米のアンティークの世界観を再現することが目的です。
雑貨のリメイクの方法としても「シャビー加工」の言葉は一般的に使われており、その目的のために開発されたペンキなども売られています。
「シャビー」と「アンティーク」の違いとは?
「アンティーク」は歴史的価値のある骨董品のこと
「アンティーク」とは、コレクションの対象となる美的、歴史的な価値のある骨董品や古美術品のことをいいます。市場取引を行う際には100年以上経過していることがアンティークの条件となるため、美術的価値があるが100年未満である場合は「アンティーク風」「アンティーク調」などと表記します。
「シャビー」はアンティーク調のインテリアスタイルを指す
「シャビー(シャビーシック)」とは、フランスのアンティーク風のインテリアと白を基調とした独自の美的なスタイルを指します。実際に100年以上経過したアンティークを用いているわけではないため、「アンティーク調のスタイル」だといえます。
まとめ
インテリアのテイストとして使う「シャビー」は、「シャビーシック」を略したカタカナ語で、白を基調としたフランス・アンティーク風のおしゃれな家具や装飾品のスタイルを指します。シャビー(シャビーシック)な部屋づくりのポイント、などのようにインテリア関係の記事などで用いられます。
しかし英語の「shabby」は、「みすぼらしい」という意味を持つため、英語の意味を知っている人は「シャビーなインテリア」と聞いてもピンとこないかもしれません。インテリア関係でシャビーと言うときは、シャビーシックのことだと覚えておくと間違いがありません。
まれに、「昨日のレストランはシャビーでがっかりした」などの使い方で、「粗末な、みすぼらしい」という意味で「シャビー」の語を使う人もいるので、両方の意味を知っておくとよいでしょう。