「どんくさい」の意味とは?方言説と使い方・類語と英語表現も解説

「本当にどんくさいんだから」「どんくさくてゴメン」など、ごく日常的に「どんくさい」という言葉を使ったりします。地方の方言のような響きもありますが、どこかの方言なのでしょうか?

今回は「どんくさい」の意味と漢字表記、使い方の注意点と例文、類語と対義語、英語表現を紹介させていただきます。社会人としても、使い方や使う相手に気を付けて、誤解のない会話を心がけていきましょう。

「どんくさい」の意味と漢字表記とは?

「どんくさい」の意味は”間が抜けている・いかにものろい”

「どんくさい」の意味は、“間が抜けている・いかにものろい”ことです。じれったいほど動作や行動が遅く、ノロノロと鈍いことを表す言葉です。つまり「どんくさい」は動きがモタモタとしていて格好の悪い状態であり、見るからに不器用でへたっぴな様子を指す表現となります。

「どんくさい」の漢字表記は”鈍臭い”

「どんくさい」を漢字で表すと“鈍臭い”となります。「鈍臭い」の”鈍”は「にぶい・のろい・頭の働きが遅い・刃物の切れ味が悪い」などの意味を持ち、「臭い」には”嫌な臭いがする・怪しい・疑いがあるような感じ”という意味があります。

「どんくさい」とは方言?

「どんくさい」は京都の方言

「どんくさい」はもともと京都の方言です。一般的には関西弁という認識が高いようですが、今では関西地方のみならず、メディアの影響や親しみやすい響きから、関東やその他の地域でも広く使われる表現となっています。

「どんくさい」は愛情のあるけなし方?

「どんくさい」はもともと京都の方言ですが、京都の文化として「遠回しにものを言う」というものがあります。京都ではネガティブなことや、言いにくいことを、相手に失礼にならないようにと、言葉をにごすように、あえてやんわりと伝える風潮があるのです。

「どんくさい」もその一つで、行動や考え方が鈍かったりもたもたして遅くても、「鈍い」「遅い」とストレートに言わず、「どんくさい」という言い回しを使って、やんわりと愛情のあるけなし方をするのです。実際「どんくさい」と言われて、心底傷つくような場合も少ないでしょう。

また「どんくさい」の「くさい」は、「〇〇っぽい」「〇〇みたい」という意味で使われる接尾語で、前に付く言葉の意味を和らげる効果があります。たとえば、「嘘くさい=嘘っぽい」「高級くさい=高級っぽい」などのように使ったりします。

例文
  • ほんまに、あんた、どんくさいなあ。
  • 彼はどんくさいけど、優しいところが取柄やねえ。

「どんくさい」の使い方での注意点と例文とは?

「どんくさい」は相手を本気で叱責するような意図はない

「どんくさい」はやや苦笑いをしながら、行動の遅さをやんわりとけなすような意図で使う言葉です。そのため、相手を本気で叱責するような厳しい言葉として使うのは適切ではありません。

「どんくさい」は多少なりとも愛情のある叱り方であり、おそらく相手もそのような受け取り方をするでしょう。もちろん、怒鳴るようなトーンで「どんくさい!」を放つ時は例外ですが、一般的には「遅い・にぶい・のろい」という直接的な意味を和らげる意図で使うのが通常の使い方となります。

「どんくさい」を使う時は相手を選ぶべき

「どんくさい」はもともと「のろい・にぶい」といった、いわゆる相手や状態を貶す(けなす)意味があります。もともと京都の方言であるため、やんわりとした響きがあり、相手に気を使った表現方法となりますが、使う相手には気を付けるようにするべきです。

たとえば、職場や仕事先で冗談交じりに「どんくさい」という表現を使うにしても、相手との人間関係や距離には注意して使うようにすることが大切です。もちろん、上司や取引先の相手に「どんくさい」を使うのは避け、同僚や部下に対しても「どんくさい」を使い過ぎないように留意しておきましょう。

「どんくさい」は機械やプログラムなどにも使える

「どんくさい」は人の行動だけではなく、機械やプログラムなど動きのあるものにも使うことができます。たとえば、旧タイプのマシンで動きが悪い時、古いプログラムで使用に時間がかかり過ぎる時などに「どんくさい」を使って、動きの鈍さを表現することがあります。

「どんくさい」を使った例文

「どんくさい」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • うちの妻は、また財布を忘れて買い物に行ったようだ。どんくさいところは変わってない。
  • 今年は入社した新人は、どんくさいながらも愛嬌があるから、まあまあ許せる。
  • 5年も使っているパソコンなので動きがどんくさい。そろそろアップグレードが必要だ。
  • このプログラム、ちょっとどんくさくない?なんか間が抜けている感じがする。

「どんくさい」の類語とは?

「どんくさい」の類語は”のろま・とろい・愚図・要領が悪い”

「どんくさい」の類語には、行動が遅くモタモタしている様子を意味する”のろま・とろい・愚図(ぐず)・要領が悪い”などがあります。「愚図」は”ぐずぐずする・ぐずぐずしてないで”などのように使われ、見ている側がイライラするほど行動が遅い時に使われます。

  • のろまだって、最後まで頑張るぞ。
  • この電車は非常にとろい。
  • 好きな相手になかなか告白できない私は愚図である。
  • 仕事の要領が悪いと言われ、ちょっと腹が立った。

「どんくさい」の対義語は”シャープ・切れがある・機敏”

「どんくさい」の対義語となるのは、”シャープ・切れがある・機敏”などです。行動や動きが素早く、鈍さやノロノロした様子がないことを表す時に使います。

  • 彼の営業スタイルはとてもシャープで切れがある。
  • 機敏に動けば、ものごとは早く終わる。

「どんくさい」の英語表現とは?

「どんくさい」は英語で”clumsy”や”goofy”

「どんくさい」は英語で“clumsy(クラムジー)”“goofy(グーフィ)”を使います。「slow」を使うこともありますが、相手によっては「頭の回転が遅い」と解釈されることがあるため、使い方には注意をしましょう。

「どんくさい」を使った英語例文

「どんくさい」を使った英語例文をご紹介しましょう。

英語例文
  • 私は結構どんくさい(I am so clumsy)
  • どんくさくて、ごめんね。(I’m sorry that I’m such a goofy)

このように、英語圏では「遅い」「ノロノロしている」「要領が悪い」ことを冗談っぽく「clumsy」や「goofy」などの単語を使って表現します。この時、相手を責めたり、嫌味を言うような意図はなく、微笑み交じりに使うのが通常です。

まとめ

「どんくさい」は漢字で「鈍臭い」と表記し、意味は「行動がいかにものろい」「何だか間が抜けている」「モタモタしている」となります。もともと京都地方の方言ですが、現在では関西地方のみならず、関東やその他の地域でも浸透している表現です。

一般的には「どんくさいなあ」と言われて、心から傷つくことは少ないと思います。しかし、優しく注意してもらっていること、愛情を持ってやんわりと言ってもらっているということを忘れず、改善すべき点は見直すようにしていきましょう。