「機を見るに敏」の意味とは?使い方の例文や類語・対義語も解説

人の行動に対して好意的に使われる表現に「機を見るに敏」があります。字面から最初と最後の文字をつなげると「機敏」という文字が浮かんできますが、意味にも関連しているのでしょうか?

ここでは「機を見るに敏」の意味、使い方と例文、類語、英語表現について解説させていただきます。やや硬い表現ですが、ビジネスでは必須のスキルとも言われています。早速、意味から紹介しましょう。

「機を見るに敏」の意味とは?

「機を見るに敏」の意味は”チャンスを素早くつかみ行動すること”

「機を見るに敏」の意味は、“チャンスを素早くつかんで、的確に行動を起こすこと”です。好都合な状態をいち早く見極めて、スピーディに行動し、チャンスをものにする様子」を表しています。

「機を見るに敏」それぞれの言葉の意味

「機を見るに敏」の”機”は「ものごとが起こる予兆やきっかけ・ものごとの大切な部分」また「ものごとの潮時」という意味を持ちます。

また「機を見るに敏」の”見る”は「視覚を働かせて、ものごとの状態や内容を目で認める」また「感覚を働かせて、ものごとを判断する」というがあります。

そして「機を見るに敏」の”敏”には、「頭や身体が素早く働く様子・素早く動くこと・鋭く敏感であること」を指す言葉となります。

これら、3つの言葉が組み合わさり出来た言葉が「機を見るに敏」です。それぞれの言葉の意味からも、全体的なニュアンスが読み取れるのではないでしょうか?

「機を見るに敏」の使い方と例文とは?

「機を見るに敏」はビジネスシーンで頻繁に使われる

ビジネスシーンでは、利益や良き縁を生むような素晴らしいチャンスやきっかけが多くあります。しかし、これらをいち早く見極め、的確に必要な行動を起こさなければ好結果には結び付きません。そこでビジネスマンとして装備しておきたいスキルが「機を見るに敏」なのです。

ビジネスシーンでは「機を見るに敏」が示すように、的確でスピーディな行動力が必須となります。そのため、立派な社会人として新人や部下を育てる時、また社員の功績や業績を褒める時に、「機を見るに敏」という表現を使うことが多いのです。もっとも、仕事における座右の銘として、ビジネススタイルの基本としているビジネスマンもいるのではないでしょうか?

「機を見るに敏」を使ったビジネス例文

「機を見るに敏」を使ったビジネス例文をご紹介しましょう。

  • グループリーダーは「機を見るに敏」をモットーに、営業活動をするタイプだ。
  • 「機を見るに敏」を実践するには、周囲の状況や相手の言葉を考察することが大切である。
  • 同僚は業績トップの秘訣を「気に見るに敏を地で行くことだよ」と自慢げに語った。

「機を見るに敏」を類語と対義語とは?

「機を見るに敏」の類語は”目端が利く”や”時期を逃さない”など

「気を見るに敏」の類語表現には“目端が利く(めはしがきく)”“時期を逃さない”などがあります。

「目端が利く」とは、”眼力が極めてあり機転が利くこと・ものごとの全てに抜け目なく行動が素早い”という意味があります。また「時期を逃さない」はすなわち「好機やチャンスを取る」という意味です。

  • 彼は契約へのにおいを嗅ぎつける、まさに目端が利く人材だ。
  • 時期を逃さず行動すれば、結果は伴う物である。

「機を見るに敏」の言い換え表現”風向きを見るに敏”や”横を見るに敏”

「機を見るに敏」という表現をやや変化させた表現に“風向きを見るに敏”“横を見るに敏”があります。「風向き=ものごとの成り行きや行方、状態」、「横=周囲の状況や動き」というように、頭の部分を別の言葉に言い換えることで、意味は同じでも文脈全体の響きが異なってくるのが特徴です。

  • 社長はかなりお怒りの様子だが、風向きを見るに敏でしばらく様子を見ることにした。
  • 横を見るに敏で、まずはライバル会社の戦略から見極めていくべきだ。

「機を見るに敏」の対義語は”機を逸する”や”タイミングを逃す”

一方、「機を見るに敏」の意味の上から見た対義表現は“機を逸する”“タイミングを逃す”などになります。どちらも好機を見極めることができず、せっかくのチャンスをものにできない様子を表す表現です。

「機を逸する」も「タイミングを逃す」も、時期を見失ったために、好機に見過ごされてまったという悔しい思いを伴いますが、これらの表現もビジネスシーンでよく見聞きするので、適切な場面で使ってみて下さい。

「機を見る敏」の英語表現とは?

「機を見るに敏」は英語で”be quick to grasp a chance”

「機を見るに敏」を英語で表現するといくつかのフレーズが挙がりますが、最も意味を忠実に示す表現は“be quick to grasp a chance =素早くチャンスをつかめ”でしょう。意味的には機会があれば何でもつかみとれ、というニュアンスではなく、どちらかと言えば「好機を見極めて逃すな」という意味合いが強いフレーズとなります。

また、同様の意味でシンプルに「never miss a chance」「don’t let a chance go」などと言っても良いでしょう。比喩的に「don’t miss a boat(船に乗り遅れるな)を使っても面白いかもしれません。ぜひ、状況に合わせて上手に使い分けをしてみて下さい。

「機を見るに敏」は海外では典型的なビジネス・モットー

余談となりますが「機を見るに敏」は、日本と同じく海外でもビジネスシーンで重要な概念です。市場の動きが早くライバル意識の強い海外企業では、「好機を見極め、スピーディに行動することこそが勝利の鉄則」というような風潮があります。

海外企業や外資系企業に勤めている人は、上記で紹介したフレーズをよく耳にすると思います。自分へのモチベーションを高めるためにも、また同僚や仲間にアドバイスをする時などに積極的に使ってみましょう。

まとめ

「機を見るに敏」とは、「好機を素早く見極め行動するさま」を意味します。自分にとって好都合な状況や時期などをいち早く察知し、最も効果的に行動することを指す言葉となります。

ビジネスシーンでは部下や新人に対して素早い行動力を褒めたり、スピーディでそつのない仕事ぶり称賛する時に使える表現です。また、好機を逃がしたたくない場面では、行動のガイドラインとしても使えるでしょう。

「機を見るに敏」はできる社会人に必要な行動スキルの一つです。好都合な状況や「今がチャンス」という場面を逃がさず、素早く行動すれば、職場での評価も高まることが期待されます。ぜひ、この機会にスキルと併せて言葉の使い方も習得してみて下さい。