「予めご了承ください」は二重敬語?意味と使い方・類語表現を解説

ビジネスなどで使われる「予めご了承ください」とは随分あらたまった表現で、二重敬語にも聞こえますが、果たして正しい表現なのでしょうか。今回は「予めご了承ください」の読み方にはじまり、漢字の意味や二重敬語かどうかを検証します。また「予めご了承ください」の正しい使い方に加えて、類似表現や英語表現も紹介します。

「予めご了承ください」の読み方と意味

「予めご了承ください」の読み方

「予めご了承ください」は「あらかじめごりょうしょうください」と読みます。

「予め」という字が読みづらいかもしれませんが、「予め」は漢文を読み下すときに使われる漢文訓読としてよく使われた副詞で、常用漢字に含まれていません。そのため、「予め」は「あらかじめ」のようにひらがなで表記されることが多いため、漢字で表記されると読みにくく感じられます。

「予めご了承ください」は前もって相手に承諾を得るための敬語表現

「予めご了承ください」とは何かが起こる以前に、前もってある事柄を受け入れてほしいという意味で、相手に承諾を得るための敬語的な表現です。

「予め」とは前もってという意味です。それに続く「ご了承ください」は、「了承」に尊敬を意味する接頭語「ご(御)」をつけた尊敬表現に、「ください」という相手にものを請求するときに使われる「くれ」の尊敬語を連結させています。つまり、「ご了承ください」で相手に理解を求めるための丁寧な表現となります。

「予」の意味は「前もって」

「予」という漢字は、送り仮名に「め」をつけて「あらかじめ」と読み、送り仮名に「て」をつければ「かねて」と読まれます。その意味は前もってあらかじめであり、「予感」や「予告」のように使われます。

「予」には他にも、心がゆったりするや、ぐずぐずするといった意味もあります。

「了承」の意味は「相手の事情を汲み納得すること」

「了承」は相手の事情を汲んで理解し、納得することという意味で、「了承を得る」や「申し出を了承する」のように使います。

「了承」は相手の事情を組むという点も大切なのですが、それ以上に納得する、または受け入れるという意味合いに重点が置かれています。

また、この受け入れると意味には「許可する」という意味合いがあり、了承してもらう相手を見下すニュアンスが含まれていることから、上司や目上の相手に対しては避けるべき言葉のひとつです。

「予めご了承ください」は二重敬語か?

「予めご了承ください」は二重敬語ではない

「予めご了承ください」の「ご了承ください」という表現は、「了承」が「ご~ください」という尊敬表現に挟まれた形です。この場合、「了承」には尊敬語にはあたらないため、「ご了承ください」は二重表現にはなりません。

二重敬語とは尊敬語または謙譲語が重なる表現

二重敬語とは、尊敬語と尊敬語、または謙譲語と謙譲語のように同じ敬語表現が連結した表現のことです。日本語として間違いではないものの好ましくない表現というグレーゾーンの用法です。

二重表現となるのは「ご~ください」という表現なら「ご」と「ください」の間に尊敬語が挟まれた場合です。例えば「お召し上がりください」は、「召し上がる」が尊敬語で「ご~ください」も尊敬表現なので二重表現になります。

「予めご了承ください」の使い方

事前に納得しておいてほしいときに使う

「予めご了承ください」は相手に事前に物事やその状況を知っておいてほしいと思うときに使われます。物事が起こる前に「予めご了承ください」と言っておくことで、相手に事情を理解しておいてもらい、後々になって「言っていたことと違うじゃないか」といって相手を怒らせるような食い違いによる誤解を避けるために用いられます。

例文
  • 「解約は14日以降はできないことを、予めご了承下さい」
  • 「店頭価格は予告なく変更があることを、予めご了承ください」
  • 「当クイズの当選結果は書面にて通知させていただきます。予めご了承ください」

上司や目上の人には避けるべき

「了承」が相手を見下すようなニュアンスが含まれることから、たとえ「予めご了承ください」という尊敬表現であったとしても上司や目上の人に使わないほうがいいでしょう。

もしも目上の人に「予めご了承ください」を使った表現を用いるのならば、「予めご了承くださいませ」と語尾を変えて軟らかな表現にしたり、「あらかじめご了承いただく」のように「下さる」を「いただく」と言い換えることで丁寧さを強調することで角が立ちにくい表現にすれば、親しい相手なら使えるでしょう。

「予めご了承ください」の類語表現と違い

「ご承知おきください」は「事前に知っておいてほしい」という意味

「ご承知おきください」は事前に知っておいてほしいという意味の尊敬表現です。相手に物事の事情や依頼、要求などを事前に知らせておくときに使います。

「予めご了承ください」には相手にある事柄を知らせるだけでなく納得させるという意味があるのに対して、「ご承知おきください」は知っておいてほしいという意味にとどまります。

また、「ご承知おきください」は尊敬表現ですが知っておいてほしいという相手に押し付けるニュアンスが含まれているため、「予めご了承ください」のように上司や目上の人には避けた方がいい表現です。

例文
  • 「天候次第で急な変更が伴うことをご承知おきください」

「予めご理解ください」は「前もってわかっておいてほしい」という意味

「予めご理解ください」は前もってわかっておいてほしいという意味の敬語表現で、事前に相手の理解を求めるときに使われます。「予めご承知おきください」とは違い、相手の理解を求めるだけでなく、許してほしいというニュアンスが強くなります。

例文
  • 「メンテナンスのため一部のサービスをご利用できなくなります。申し訳ありませんが、予めご理解くださいますようお願い申し上げます」

「予めご了承ください」の英語表現

「予めご了承ください」は英語で「please kindly note that ~」

「予めご了承ください」は英語で「please kindly note that ~」という命令形を用いた表現になります。ある事柄を理解し受け入れるという意味が、動詞の「note」にあります。副詞で親切にという意味の「kindly」を付けることで、相手にお願いをする優しい表現にします。

例文
  • “Please kindly note that refunds are not available for advance tickets.”
    「前売りチケットの払い戻しはできません。予めご了承ください」

まとめ

「予めご了承ください」はビジネスで顧客との接待や取引の際によく聞かれる表現ですが、目上の人には使うのはあまり好ましい表現ではありません。顧客に対しては「予めご了承くださいませ」など語尾を変化させれば親しい間柄なら使えます。押しつけがましくなるという印象があることを忘れずに、「予めご了承ください」を使うようにしましょう。