「ご多幸」の意味は?「ご健勝」との使い分けや類語・英語表現も

スピーチや挨拶文に使われる「ご多幸(ごたこう)」は、相手の幸せを願う気持ちが込められた言葉です。類語の「ご健勝」も同じような言葉ですが、その意味は少し異なります。

今回は「ご多幸(御多幸)」の意味や「ご健勝」との使い分けを解説。目上に対する使い方と例文のほか、「ご清祥」「ご清栄」などの似た言葉、英語表現も紹介します。

「ご多幸」とは?

「ご多幸」の意味は”幸せが多くあること”

「ご多幸」の意味は、“幸せが多くあること”です。相手の幸せを願う気持ちが込められた言葉です。「多」は”数が多いこと”、「幸」は”幸せであること”を意味します。

「多幸(たこう)」とは”多くの幸せがあること”となり、尊敬を表す接頭語である「ご」が頭につくことで、相手のしあわせを願う気持ちが込められた丁寧な表現になります。

漢字で「御多幸」と書いてもよい

「ご多幸」の接頭語「ご」を漢字にして、「御多幸」とする場合もあります。使い方は同じで、相手を幸せを願うときに「御多幸を願います」といった言い回しとなります。

「ご多幸」の読み方は”ごたこう”

「ご多幸」の読み方は“ごたこう”です。使うシーンが限られているので読み方に悩む方もいらっしゃるかもしれません。「多幸(たこう)」だけでも”非常に幸せなこと”の意味がありますので、ぜひ覚えておきましょう。

「ご多幸」と「ご健勝」の使い分けとは?

「ご多幸」と「ご健勝」の違いは”何を願うか”

「ご多幸」の類語でもある「ご健勝(ごけんしょう)」は、「ご多幸」と同様に相手を思う気持ちを表現する言葉ですが、少し意味合いが異なります。「健勝」は”元気で健康である様子”のことで、「ご健勝」には”相手の健康を気遣い元気であるよう願う気持ち”が込められています。

「ご多幸」は”相手の幸せを願う気持ち”を表す言葉。この場合の「幸せ」とは、生活や健康・長寿など、広い意味での幸せ全般を指します。特に健康について言及したい場合には「ご健勝」を、幸せ全般についてなら「ご多幸」を用いるなど、シーンや相手に合わせて使い分けましょう。

「ご健勝」や「ご健康」と併せて使うことも

「ご多幸」は、「ご健勝」や「ご健康」と併記しても使えます。「皆様のご健勝とお多幸をお祈り申し上げます」や「皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします」のように、「ご健勝」や「ご健康」と併記して用いると、より丁寧な印象になります。

「ご健勝」と「ご健康」はどちらも相手の健康を気づかう言葉のため、どちらの例文も「皆様が元気ですこやかに過ごし、多くの幸せがあることを祈ります」という意味になり、挨拶文やスピーチなどでも使えるフレーズのひとつです。

「ご多幸」の使い方と例文とは?

「ご多幸」は目上の人に使ってもよい

ビジネスシーンにおいて、「ご多幸」を使ってもよいかどうか悩む場面もあるでしょう。「ご多幸」は丁寧な表現のため、目上の人に対して使っても問題のない言い回しです。

たとえば、退職時の挨拶や異動にともなうお礼など、目上の人に対してメッセージを伝えたい機会もあります。メールや手紙の締めくくりに「○○さんのご多幸をお祈り申し上げます」と言いましょう。

「ご多幸」は結婚式や年賀状でも使える

「ご多幸」は日常会話ではあまり使いませんが、結婚式のようなお祝いの席でのスピーチなど、相手の門出や幸せを祈る場面で用いられることが多い言葉です。

また、年賀状など新年の挨拶としても使えます。「皆様のご多幸をお祈り申し上げます」と締めの言葉として用いることで、丁寧な挨拶文になります。

「ご多幸を願っています」「ご多幸を祈ります」などの言い回しで使う

「ご多幸」は、「ご多幸ですね」や「あの人はご多幸だ」などとそれだけで使う言葉ではありません。「ご多幸を願っています」「ご多幸をお祈り申し上げます」など、「願います」や「祈ります」という言葉といっしょに使うことで、相手に多くの幸せがあることを「願い祈る」気持ちを表現します。

また、「ご多幸を祈念いたします」とも使います。「祈念(きねん)」は「祈り念じる」こと。相手に多くの幸せがあることを心より願うという意味であり、「願います」や「お祈り申し上げます」と同じ意味ですが、さらに丁寧な表現になります。

「ご多幸」の類語とは?

類語①「ご清祥」とは”相手の健康と幸せを祈る”

「ご清祥(ごせいしょう)」とは、”相手の健康と幸せを祈る”という意味の言葉です。「祥」という漢字には「めでたく喜ばしいこと」という意味があり、相手が健康であり幸せであることを喜ぶ気持ちを表します。幸せ全般を願う「ご多幸」よりも、主に健康を祈る「ご健勝」の方に意味が近い言葉です。

類語②「ご清栄」とは”相手の健康と繁栄を喜ぶ”

「ご清栄(ごせいえい)」とは、”相手の健康と繁栄を喜ぶ”という意味の言葉です。「栄」は”物事のさかえる様子”の意味があり、「ご清栄」は相手の健康と繁栄を喜ぶ気持ちを表します。個人宛よりも会社など組織宛に「ご清栄」を用います。

「ご多幸」は主に文章の締めの言葉として使用することが多いですが、「ご清祥」と「ご清栄」はどちらも時候の挨拶などといっしょに文章の冒頭に用いられることが多い言葉です。

「ご多幸」の英語表現とは?

よく使う表現は「I wish you all the best」

良く使う表現である「ご多幸をお祈り申し上げます」を英語で表現する場合には、“I wish you all the best”が当てはまります。グリーティングカードなどでも良く使われるフレーズのひとつで、そのまま訳すと「あなたの全てがベストであることを私は願います」という意味です。

まとめ

「ご多幸」は、相手に多くの幸せがあることを願う丁寧な言葉です。日常会話ではあまり使いませんが、お祝いの席でのスピーチや年賀状の挨拶などで用いられ、ビジネスや目上の人にも使えます。

その意味を理解し気持ちを込めてメールなどの挨拶に用いることで、良好な関係を築くためにも、挨拶文としていくつかの言い回しを覚えておくと良いでしょう。