「殊勝」の3つの意味とは?「殊勝な」の使い方や例文・類語も解説

「殊勝(しゅしょう)」は、褒めるに値するさまという意味です。「殊勝な態度」「殊勝な面持ち」「殊勝な心がけ」などと使われます。

この記事では「殊勝」について、現代語と古語の意味、そして使い方と例文を解説します。あわせて類語との違いも紹介します。

「殊勝」の意味とは?

「殊勝」の意味は”健気(けなげ)で褒めるに値するさま”

「殊勝」の意味は、“健気(けなげ)で褒めるに値するさま”です。読み方は「しゅしょう」です。一般的には、目上の人が目下の人に対して用います。

年齢や経歴のわりに、感心な心がけであったり立派なふるまいをしたり、褒めるに値するさまであることを「殊勝なところがある」や「殊勝な態度である」などと表現します。

「もっともらしい様子で神妙にしているさま」の意味も

「殊勝」とは、“もっともらしい様子で神妙にしているさま”という意味でも使われます。例えば普段は落ち着きのない子どもが、静かにかしこまっているときなどに「殊勝らしくしている」などと表現します。

古語の「殊勝」の意味は”非常に優れていること”

古語に登場する「殊勝」は、現代語とは少々異なった意味で使われています。「非常に優れていること・格別であること」という意味です。現代では、古語のように非常に優れているという意味で「殊勝」を使うことはなくなっています。

「殊勝」の使い方と例文とは?

「健気なふるまい」をする子どもに感心したとき使う

子どもがその年齢に似合わない立派なふるまいをすることに感心した気持ちを、殊勝であると表現します。

例文

  • 「親に心配をかけまいとする殊勝な子ども」
  • 「子どもながら殊勝らしいふるまいをして立派である」

目上が目下に対して褒めるときにも「殊勝な○○」を使う

目上の人が目下の人に対して、あるいは上司が部下に対して「殊勝な心がけで感心だ」などと褒める気持ちを表現することがあります。健気にまじめに取り組んでいる態度を「殊勝」と表現します。

この使い方は、普段とは違ってもっともらしい様子でいることの意外性を伝えていますが、目下の者を評価する表現です。部下が上司に、あるいは目下の人が目上の人に「殊勝な態度で素晴らしいですね」などと用いるのは失礼になります。

神妙なさまを表現するときにも用いる

子どもや目下の人でなくとも、普段の様子とは違っておとなしく神妙にしている人の様子を「殊勝」と表現する使い方もあります。

例文

  • 「いつも元気なAさんだが、今日はいつもと違って殊勝な顔をしていた」
  • 「君は今日はいやに殊勝なことを言っているね」
  • 「君も殊勝なところがあるんだね」

「殊勝」を使った言い回しとは?

いかにも健気な様子「殊勝らしい」

「殊勝」には、いくつかの決まった言い回しがあり、いかにも健気であるさま、もっともらしいさまを「殊勝らしい」と表現します。「殊勝らしい」は、おとなしく従順なさまである「しおらしい」に近い意味で使うことができます。

しおらしい態度の人に対して、「今日はいやに殊勝らしくしているね」などと声をかけたりします。

神妙な顔つきの「殊勝顔」

殊勝らしい顔つきや神妙な顔つきのことを「殊勝顔(しゅしょうがお)」と呼びます。自分は事情をよく分かっているのだという顔つきをしている人を「殊勝顔をしている」と表現します。

「そんな殊勝顔しても通じないよ」「殊勝顔してもだめだ」などと、分かったつもりでいるようだが事実は違うという意味で否定的に使われることもあります。少々乱暴な表現には「殊勝面(しゅしょうづら)」があります。

殊勝なふりをして相手をだます「殊勝ごかし」

他にも、殊勝なふり、健気なふりをして相手をだますことを「殊勝ごかし」と表現します。「ごかし」とは名詞につく接尾語で、自分の利益をはかるためにそのようなふりをするという意味です。

「殊勝」の類語とは?

「神妙」はおとなしくかしこまった様子

「神妙(しんみょう)」とは、いつもの態度からは予想できないほどおとなしいさまという意味です。「神妙な面持ちで判決を聞いた」「神妙な顔つきで反省の弁を述べた」などと、日常とは離れた場面における静かなさまを表現します。

日常の中でも、おとなしくかしこまった様子を「神妙にしている」とも言い、この場合は「殊勝」と同じ意味で使われます。

「健気」は困難なことに立ち向かうさま

「健気(けなげ)」とは、困難なことに勇敢に立ち向かうさまという意味です。一般的には年齢が若かったり経験が少なかったりする人が、「若い(経験が浅い)にもかかわらず」という前置きとともに用いられます。

「小さいのに健気に頑張る子どもを褒めてあげたい」「健気に耐えていて感心した」などと、力の弱いものに対して褒めてあげたいほどであることを表現します。「殊勝」とほぼ同じ意味を持ちますが、困難なことに立ち向かう意味合いが健気には強く含まれていることが殊勝との違いだと言えます。

また、殊勝には、先に説明したような「殊勝顔」などのように、神妙なふるまいを揶揄するような使い方がされる場合がありますが、健気はそのような使い方はされません。

「奇特」は行いが感心なこと

行いが感心なことという意味に「奇特(きとく)」があります。「奇特なことだ」などと感心して褒めるときに使われます。行いが感心であるという意味では「殊勝」も同じ意味合いを持ちますが、おとなしくかしこまった様子という意味は奇特にはありません。

「気丈(きじょう)」は気持ちをしっかり保つさま

「気丈(きじょう)」とは、気持ちをしっかりと保つさまを意味します。「悲しみのなかで気丈に振る舞う」などと、困難な状況の中でも心をしっかりとして、立派な振る舞いをする人などを表現します。そのような人を「気丈な人」と呼んだりします。

心をしっかりとして、状況に左右されない振る舞いをするという意味で使われるときの「殊勝」と近い意味で用いられます。

まとめ

「殊勝」とは、心がけや行動などが立派で、健気なさまという意味です。目上の人が目下の人を褒める場面で使われる事が多く、目下の人が目上の人に使うことはありません。

また、もっともらしい様子で神妙にしている態度を揶揄する意味で、「殊勝らしくしているがとんでもないやつだ」などと使われることもあります。

行いが感心なことという意味の類語は多く、「健気」「神妙」「奇特」「気丈」などがあります。