「ていで」の意味と漢字表記とは?方言説と使い方・英語も解説

「そんなていで」や「泣いたようなていで」など、前の言葉を修飾する役割で使われるのが「ていで」です。方言のような響きがありますが、漢字表記や正しい意味、使い方などを把握している人は少ないのではないでしょうか?

ここでは「ていで」の漢字表記と意味、方言説、使い方、英語表現についてわかりやすく例文を用いて解説させていただきます。

「ていで」とは?

「ていで」の意味は”見た目・状況・様子”

「ていで」の意味は、“見た目・状況・様子”です。「ていで」は前にある言葉や内容にかけて「そのような感じで・そのような状況(状態で)・そのような流れで・そのような形で・そのような形状で」などのニュアンスを持って使われます。

「ていで」の漢字表記は”体で・態で”

「ていで」の漢字表記は“体で”“態で”の2つがあります。

「体で」の「体」はは状態や形状など、目で実際に見た様子や体裁を表す言葉で、ものごとの状況を見た目で判断する時に使われます。

一方、「態で」の「態」はは物事の状況や動きを表現する時に使われる漢字です。止まっているものや動作の無いものに対して使われるよりは、むしろ動きのあるものの状態を説明する時に用いられることが多いです。

「ていで」は方言ではなく標準語

「ていで」は言葉の響きから、地方の方言だという印象を受けることがあります。しかし、「ていで」は、上記でもご説明したように「体で」や「態で」と表記するため、純粋なる標準語となります。

「ていで」を3つの使い方と例文とは?

「そのようなていで」は”そのような体裁で”

「そのようなていで」はビジネスシーンでも多く使われる表現です。たとえば、会議や商談の際に、具体的には内容や詳細が決定していなくても、何となくまとまっているかのように曖昧に話を進めていく際に、「それでは、そのようなていで行きましょう」と言ったりします。

つまり「そのようなていで」とは、”そのような体裁で・そのような形で・そのような感じで”となり、やや内容を濁すような働きで使われます。

  • そのようなていで、契約内容に同意をしてもらえないでしょうか?
  • クライアントには、まあそのようなていで話をしていこう。

「知らないていで」は”知らないということで”

「知らないていで」は、話の内容を実際は知っていても、あえて知らないことにして何かをする時に使われます。ビジネスシーンでは、相手に知識があり過ぎた場合、またすでに内容を深く理解している場合、時間をかけてあれこれ説明する必要はないと考えがちです。

そのため、本当は知っていながら、知らないことにしておけば、有益な情報を相手から引き出すことができるのです。「知らないていで」は、”知らないという状態にしておいて・知らないということで”という意味で使われるので、駆け引きの必要な繊細なビジネスシーンでは頻繁に使われます。

  • 初対面のクライアントなので、商品内容は知らないていでいこう。
  • 全部を知らないていで事を進めれば、詳細の説明をしてくれるはずだ。`

「決められたていで」は”決められた形で”

また、ビジネスシーンにおける会議やミーティングなどで、「決められたていですすめる」や「決められたていで行く」などの表現もよく使われます。「決められたという体裁を持って・決められた形状で」という意図で使われるため、全体の意味は「決められたようにすすめる・決められたということで行く」というような意味となります。

今回は、こちらの建前、決められたていで話を持っていこう。

決められたていもあるので、内容は変えずに現行のまま進めていくことにした。

歯科用語「挺出」とは?

挺出(ていしゅつ)」とは”歯の噛み合わせからくる不具合”

歯科用語の「挺出(ていしゅつ)」とは”噛み合わせの歯が欠けてしまったり、抜けてしまったりすることで、歯が本来あるべき位置から突出してしまったり、横にずれてしまったりすこと”を指します。

読み方は「ていしゅつ」が正しく、”ていで”は誤りとなりますので気をつけましょう。

「ていで」の英語フレーズとは?

「ていで」は英語で”as it goes”や”just like”など

「ていで」を英語に訳す時は、文脈における内容や使い方によって適切なフレーズや単語が異なります。「ていで」は英訳でも容易ではない日本語独特の表現の一つです。

あえて挙げるなら「as it goes(ということで、成り行きで)」「just like(そのように)」、また「as if(まるで〇〇のように)」などが良いでしょう。

「ていで」を使ったビジネス英語例文

「ていで」を使ったビジネス英語例文をご紹介しましょう。

  • 知らないというていで、クライアントに話をする。
    We are going to talk to the clients just like ( or as if ) we don’t know anything.
  • 議題にあるていで、会議を始めよう。
    Let’s start the meeting as the agenda goes.

まとめ

「ていで」は会話に登場しながらも、意味を深く考えなくても文脈の流れから相手の言いたいことが理解できてしまうのが「ていで」です。しかし、漢字表現や言葉の意味を理解することで、より正確な内容を把握したり、また相手に伝えることができるため、やはり無視できない言葉の一つだと言えるでしょう。

また、独特でコミカルな響きがあるため、方言であると解釈してしまいがちですが、実際は様子を態度を示す標準語となります。ビジネスでも「仕事が忙しいていで」「議決されたていで」「部長はお怒りのていで」などのように、「ていで」はいつ何時でも使える便利な言葉です。使い過ぎには気を付けたいところですが、使いどころを見極めて使っていきましょう。