「夜伽」は葬儀まで故人に付き添ったり、通夜などを表す言葉です。しかし「夜伽」には、その他に2つの意味があるため、正しい意味を把握しておく必要があります。
ここでは「夜伽」の読み方と3つの意味、使い方の注意点と例文、類語ついて紹介させていただきます。相手に誤解を与えないためにも、正しい使い方を心がけましょう。
「夜伽」の3つの意味と読み方とは?
「夜伽」の意味①病人に付き添って夜通し看病をすること
「夜伽」の意味は、“病人に付き添って夜通しで看病をすること”です。具合の悪い相手に対し、夜を徹して世話をすることを意味します。「夜伽」は”夜に病人に寄り添い相手の面倒を見たり、介抱する”と意味で使われます。
「夜伽」の意味②男女の関係で女性が男性に奉仕すること
「夜伽」は男女の関係についても使われる言葉です。「男女が一つの寝具に一緒にねそべり、女性が男性に対して奉仕をする」という意味があります。これは、かつて殿様時代に臣下の女性を夜な夜な招き入れていたという背景が舞台となっています。もちろん、夜に暇つぶしで女性を部屋に呼ぶという慣わしは今は減ってきています。
加えて、主に若い世代の人は「夜伽」をこのような意味で使うことが多いようです。逆に、直接的な言葉を用いるのではなく、あえて「夜伽」を使うことで、文学的なニュアンスを醸し出すことができるのが特徴とも言いえるでしょう。古い表現となりますが、男女の仲において女性が男性の相手をすること、また癒しのために添い臥しををすることを「夜伽」と呼んでいます。
「夜伽」の意味③葬儀まで故人を見守る・通夜で故人に寄り添うこと
「夜伽」には“葬儀まで故人を見守ること・通夜で故人に寄り添うこと”という意味もあります。場合によっては「通夜」そのものを指すこともあります。亡くなった人のそばにいて夜寝ないで付き添うこと、また、夜通し灯が絶えないように見守ることを表しています。
「夜伽」の読み方は”よとぎ”
「夜伽」の読み方は“よとぎ”です。「夜伽」の”伽(とぎ)”は「カ・ガ・ギャ」、また「とぎ」と読みます。
「夜伽」のように”とぎ”と読む熟語には「お伽噺(おとぎばなし)・お伽衆(おとぎしゅう)」などがあり、「寝床にねそべること・退屈さを慰めたりする人・話の相手になって機嫌をとること」という意味で使われています。
「夜伽」の使い方の注意点と例文とは?
「夜伽」を使う時は相手や状況を確認すべき
「夜伽」は病人の看病を夜通しする、また通夜に寝ないで故人を見守るという意味がありますが、もう一つ忘れてはいけないのが「男女の仲」における「夜伽」です。この場合、一つの寝具を共にし、女性が男性の相手をすることを意味するため、「夜伽したの?」などと、相手にジョークやからかいのつもりでいうのは、おすすめできません。「夜伽」を”男女の関係”に「おいて使う時は、相手との距離を今一度確認してからにしましょう。
「夜伽」を使った例文
「夜伽」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。
「夜伽」の類語・類義語とは?
「夜伽」の類語は”夜通しの番・寝ずの看病・通夜”など
「夜伽」と言い換えのできる類語・類義語には“夜通しの番・寝ずの看病・通夜”などがあります。
「夜通しの番」や「寝ずの看病」は病人の世話を夜を徹してする、相手を見守るという意味での言い換え表現として使えます。また「夜伽」には、もともと「通夜」という意味があるので、一般的な表現を使う時は、無理に「夜伽」を使わず「通夜」と言った方がわかりやすい場合もあるでしょう。
「夜伽」の類義語”同衾”は古い表現で「男女が一緒に寝ること」
「夜伽」の男女の関係を表す意味では、“同衾(どうきん)”という言葉が挙げられます。「同衾」とは古い表現で”男女が同じ寝具で一緒に夜を共にすること”を表し、かつて男女の関係が公にできない時代に、遠回しに表現する言葉として使われていました。現在はあまり妻われていませんが、「夜伽」の類義語として覚えておきましょう。
まとめ
「夜伽」は「よとぎ」と読み、「病人に付き添うこと」「夜間に性的な奉仕をする」「故人を布団に寝かせ、ろうそくの灯が絶えないように夜通し見守ること」という3つの意味を持ちます。
若い世代の方は、おおむね二番目の意味で解釈する傾向にあるようですが、古くは故人を心から偲び、寂しい思いをさせないよう夜通しで偲ぶという神聖な意味も持ち合わせます。
「夜伽」は相手や状況によっては、良からぬ誤解を与えてしまうこともあります。それぞれの意味を把握して使い分けるようにしてください。