「エスカレーション」って何をする?意味と使い方を徹底解説

コールセンターやオペレータなどの業務ではよく「エスカレーション」(エスカレ)という言葉が使われます。「エスカレーションしておいて」「エスカレはした?」といったように用いられますが、普段ほとんど使うことのない言葉だけに意味が分からずとまどってしまった経験のある方もいるのではないでしょうか?ここでは「エスカレーション」の意味や使い方、さらには間違った使い方についてご説明します。

英語の「エスカレーション」の意味

意味は「階段を踏んでより的確な相手へ判断や指示を仰ぐこと」

「エスカレーション」の意味は、「階段を踏んでより的確な相手へ判断や指示を仰ぐこと」です。
ビジネスで使われる「エスカレーション」は、英語の「escalation」が元になった片仮名語です。英語のescalationには次のような意味があります。

  1. 段階的な拡大や増大、上昇、激化
  2. 深刻化
  3. 上申

戦争の激化や被害の増大などを表す際に用いられます。「エスカレーション」という言葉を聞いたことはなくても、「エスカレート」なら知っているという方は多いでしょう。「いじめがエスカレートする」「要求がエスカレートする」などのように使われます。

「escaration(エスカレーション)」はこの「escalate(エスカレート)」の名詞形です。そう考えると意味も理解しやすいのではないでしょうか。またエスカレーターもエスカレートが変化した言葉です。

日本語の「エスカレーション」(エスカレ)の意味

「エスカレーション」は「上位への伝達」の意味

ビジネスシーンでの「エスカレーション」は、段階的に上位の人物にアプローチすることを指します。また「エスカレーション」が「エスカレ」と省略される場合もあります。

ビジネスシーンでは自分だけの判断ではなく、より詳しい人物や責任のある人物からの指示を仰いで対処する必要のあるシーンが数多く登場します。例えば商品の値引きを頼まれたとき、アルバイトでは値引きしていいか悪いかの判断はできませんよね。その場合は社員に値引きしても問題ないか確認します。

確認された社員も判断ができなければ、リーダーや上司に相談します。このように、段階を踏んでより的確な相手へ判断や指示を仰ぐことを「エスカレーション」と言います。

「エスカレーションフロー」とは「上位への伝達経路」

コールセンターで難しい質問を受け付けた場合に誰に質問すればいいのか分からなければ、問合せ先を探している間お客様を待たせてしまうことになります。またオペレータ業務の中でシステムのトラブルを検知したとき、誰に報告すればいいのか分からなければトラブルを放置しておくことになり重大な障害に発展しかねません。

このような事態にならないよう、あらかじめどのような時に、誰に、何をエスカレーションするのかを定めたものを「エスカレーションフロー」と言います。

例えば家電製品のコールセンターなら、電源が入らないという質問はA部署へ、リモコンが効かないという質問はB部署へ質問するというエスカレーションフローを作成します。

オペレータ業務であればシステムが停止したというトラブルならすぐにクライアントに報告、システムから警告メッセージを受信したというトラブルならすぐにエンジニアに連絡し、10分以内にクライアントにクライアントに報告する、といったエスカレーションフローを作成します。

「エスカレーション」の対義語・反対の意味とは?

「escalation」(エスカレーション)の対義語は「デスカレーション」

「エスカレーション」が段階的に拡大することを意味するのに対し、反対に段階的に縮小することを「デスカレーション」と言うことがあります。

「エスカレーションフロー」の反対は「指揮系統」

「エスカレーションフロー」はビジネスで一般的に用いられる言葉ですが、その反対のフローを表す明確な言葉はあまり使われていません。

ただし、多くの場合、エスカレーションフローの逆は、責任者(上司)とメンバー(部下)の関係性になるため、「エスカレーションフロー」の逆は「指揮(命令)系統」となることが一般的です。

「エスカレーション」の使い方


ここでは「エスカレーション」の使い方をご紹介します。

より詳しい人に質問する場合

コールセンターでは、簡単な問い合わせであれば電話に出たオペレータがその場ですぐに回答することができます。しかし技術的な内容であったり、イレギュラーなケースであったりとオペレータが答えられない場合は、より詳しい人物に質問をすることになります。そういった場合に「エンジニアにエスカレーションします」といったように使います。

トラブルを顧客に報告する場合

システムの運用管理をするオペレータ業務の中でよく使われるのがこのケースです。システムが予期せず停止してしまったり、エラーになってしまった場合、まず最初にオペレータがそれを検知します。その場で簡易な調査を行った後、状況やエラーの内容を顧客に報告します。この顧客への報告を「エスカレーション」と言います。

クレーム処理を上司に任せる場合

レストランや販売店などでお客さんから「責任者を出せ!」というクレームを受けるシーンがドラマや漫画でよく登場します。実際にそういった状況に遭遇したという方もいるかもしれません。このように、いちアルバイトや店員のレベルでは対処できないようなクレームを受けた場合に、上司や責任者にそのクレームを報告し後の対処を任せることも「エスカレーション」になります。

上司に指示を仰ぐ場合

会社の組織は、メンバーの上にリーダーがいて、リーダーの上に複数のチームをまとめるチームリーダーがいて、さらにその上にマネージャーや上司がいるというような構成になっています。例えばメンバーが急きょチームを抜けたい、となった場合、まずはリーダーに相談します。リーダーはさらに上のチームリーダーに相談し、チームリーダーはマネージャーや課長・部長などの上司に相談し指示を仰ぎます。このように自分のすぐ上の立場の相手に段階的に指示を仰ぐことを「エスカレーション」といいます。

間違った「エスカレーション」の使い方

上司に報告することを「エスカレーション」というのは間違い

上司に報告することを「エスカレーション」という場合もありますが、これは間違いです。指示や回答をもらうことを目的とした報告は「エスカレーション」ですが、日報や進捗報告のようにただ現在の状況を伝えるだけの場合は「エスカレーション」とは言わないので注意しましょう。

まとめ

コールセンターやオペレータ業務に関わらず、組織に属していればきっとエスカレーションが必要な場面に出くわすことがあるでしょう。誰かからエスカレーションを指示されたときに間違った行動をしてしなわないように、エスカレーションの意味や必要性、使い方についてしっかりと理解しておきましょう。