「校正」の意味とは?校閲・校了との違いや資格についても解説

雑誌や書籍などの印刷物に対し、誤字や脱字を正確な文字に直したりすることを「校正」と呼んでいます。似たような言葉に「校閲」や「校了」がありますが、違いについて把握していますか?

ここでは「校正」の意味と英語表記をはじめ、「校閲」と「校了」との違い、校正に役立つ資格について紹介させていただきます。

「校正」とは?

「校正」の意味は”二つのものを比べて文字の誤りを修正すること”

「校正」の意味は、“二つのものを比べて文字の誤りを修正すること”です。「校正」は出版業界や印刷業界では必須用語で、つまり「原稿と校正刷りを照らし合わせて、誤字脱字や文字の間違い、体裁における不備や不足個所を正す」ことを指します。

たとえば、他からコピーをしている箇所はないか、著しく読みにくい表現はないか、間違った漢字変換はないかなど、文書を改善し、総合的に正しい文章にすることを「校正」と呼んでいます。

例としては「頭を横に降った」を「頭を横に振った」、「後者に立てこもった」を「校舎に立てこもった」、「母言った」を「母は言った」というように、正しい文字に修正していく作業などを指します。

「校正」では特殊な記号を使う

校正の際には特殊な記号を使います。たとえば、「トル」「トルママ」「トルアキ」「イキ」「ゴチ」などがあります。それぞれに意味がありますが、修正箇所に線を入れたり、〇で囲んだりして、書き手に修正箇所を示していきます。

「校正」はかつて「較正」と表記していた

現代では「校正」と表記しますが、かつては「比べる」「つき合わせる」「明らかにする」「あらまし」などの意味を持つ「較」という文字を用いて「較正」と書いていました。しかし、「較」が一般的に知られる常用漢字ではないため、「双方を比べて正す」という意味を持つ「校」へと変わったとされています。

「校正」と「校閲」「校了」との違いとは?

「校閲」とは”内容が合っているか確認すること”

「校閲(こうえつ)」とは、原稿や文書を読み、書かれてある内容が本当であるか、合っているかを確認することを意味します。たとえば、参考見分や参照資料などを見ながら、言葉は正しく使われているか、事実が述べられているか(年代、人数、数字、ことがら、人名なども含む)を確認するのが「校閲」です。

たとえば「ブラジル産のコーヒー豆」とうたってある箇所に対し、実際は「ハワイ産のコーヒー豆」だったことが参考資料で確認できたとします。そうすると、原稿を「ハワイ産」へと校閲する必要があります。つまり、内容や事実にフォーカスしたのが「校閲」となります。

このように、信頼のできる情報やデータをもとに、間違いを正しくすることを「校閲」と呼び、小説や文庫本など、多くの場合で校閲を受け、また校閲を経てから出版されています。

「校了」とは”文書の修正が終わり印刷できる状態のこと”

「校了」とは、校正や校閲の工程を踏み、文書の書き直しや修正が終了した後、印刷作業へと映っても問題のない状態のことを意味します。つまり、印刷へのゴーサインが出て、実際に印刷が可能な状態であることを「校了」と呼んでいます。

これ以上直す箇所がなく、いつでも印刷できる状態が「校了」であるため、多くは「校了」の声を聞くとホッとするようです。

「校正」の仕事の将来性とは?向いている人とは?

「校正」は機械にマネができない仕事

出版業界は大きな変革期に差し掛かっています。というのも、急速なデジタル化・DTP化によって、出版業界での業務体系が人から機械へと変わり、印刷技術で求められる品質やレベルが高まりつつあるのです。

しかしながら、「校正」においては、まだまだ機械には真似できない部分も多く存在します。文字の正誤、文字の組方などを見るのは、やはり人間の目には勝てません。読者はいつの時代も正確な文章や文字、読みやすさを求めています。その期待にシビアに応えられるのが「校正」の仕事なのです。

校正のスキルは、機械やプログラムが読み取れない繊細な部分をカバーすることができるため、これからも重要なスキルとしてあり続けることが期待されます。

「校正」の仕事に向いているのは”注意深い人・集中力のある人”

「校正」の仕事に向き不向きはあるのでしょうか?「校正」を行う上で最も大切なのは、何と言っても「注意深さ」と「集中力」です。まず、「注意深く文章を見る」ことで誤字や脱字、間違った文字、体裁の上で不備な箇所を見落とさずに拾っていくことが重要です。

そのため、妥協することに慣れてしまっていたり、注意が散漫だったりすると、「校正」の仕事で苦労するかもしれません。

普段から小説や新聞を読んでいたり、誤字脱字や言葉の使い方の正誤が理解できる人は、すでに「校正」の仕事に向いているといえるでしょう。相手に正しい文章を読んでもらいたい、内容を的確に理解してもらいたいという情熱を持って仕事ができる人も「校正」の仕事に向いています。

「校正」に役立つ資格と学習方法とは?

「校正」に役立つ資格は”校正技能検定”

「校正技能検定」とは、原稿と校正刷りとを突き合わせながら、誤字や脱字の他、誤植や体裁の上で修正が必要な個所を指摘し、不備のない物に仕上げるスキルを認めるものです。民間の検定試験で、上級・中級・初級レベルがあります。実技として実際に校正作業を行うため、テクニカルな面も試験で試されます。

「校正」のプロに与えられる称号が”校正士”

「校正士」とは、雑誌や書籍をはじめ、あらゆる冊子の読み物に対して、誤字脱字、間違った表現や言葉の使い方、また内容などを正しく直す職業のことを指します。

「校正士」は、校正の技術や知識を習得した物だけに与えられる称号であり、「校正」のプロとして修飾を目指しいるなら、ぜひとも取得したい資格でしょう。

「校正士」になるには、実務教育研究所が行う「校正実務講座」を受講した後、修了試験を自宅で受け、一定のポイントを獲得すると取得できるシステムとなっています。

「校正」の英語表現とは?

「校正」は英語で”proofreading”や”emendatory”

「校正」は英語で「proofreading」「emendatory」となります。外資系の出版会社や英語圏で仕事をする人は、ぜひ覚えておきましょう。

  • 校正の誤り:proofreading error
  • 文書の構成:emendatory of the writing

まとめ

「校正」とは「二つのものを比較して、文字を正しく直すこと」「原稿と校正刷りを見比べて、誤字脱字やおかしな表現などを修正する作業」を指します。似た言葉に「校閲」や「校了」がありますが、「校正」とは異なる作業となりますので、使い方には気を付けるようにしましょう。

校正にはプロとして活躍できるよう「資格」や「認定試験」があります。興味のある人は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?