「八面六臂(はちめんろっぴ)」とは「多方面で活躍すること」を意味する四字熟語です。本来は仏像をさす言葉で、8つの顔に6つの腕を持つ仏像のこと。この意味が転じて「多方面で活躍する」となったのですが、似た四字熟語の「三面六臂」とも深い関係があります。
この記事では「八面六臂」の意味や語源、使い方の例文も解説します。くわえて、類語「三面六臂」との違いや英語表現も解説しましょう。
「八面六臂」の意味と語源とは?
「八面六臂」の意味は”多方面で活躍すること”
「八面六臂」の意味は、“多方面で活躍すること・1人で複数人分の働きをすること”です。「八面六臂」の「面」が”顔”を、「臂」が”肘・腕”を意味することから、本来は「8つの顔と6本の腕をもつ仏像」を意味していました。
現代では意味が転じ、主に「多方面で活躍すること・1人で複数人分の働きをすること」を指す四字熟語として使われます。
「八面六臂」の語源は仏像、もともとは「三面六臂」が先にあった
「八面六臂」の語源は仏像にあります。元々は、3つの顔と6本の腕をもつ仏像を表す「三面六臂(さんめんろっぴ)」という四字熟語が「多方面で活躍すること」を表していました。しかし、「三面」よりも「八面」の方が「あらゆる方向」を意味することから、「八面六臂」ができたのです。
他にも「一面六臂(いちめんろっぴ)」や「三面八臂(さんめんはっぴ)」など、複数の「面」と「臂(ひじ)」をもつ仏像が実在しますが、8つの顔と6本の腕をもつ仏像は実際には存在しません。
「八面六臂」の類語とは?
「八面六臂」の類語は”三面六臂”
「八面六臂」の類語には“三面六臂(さんめんろっぴ)”が当てはまります。「三面六臂」とは”3つの顔と6つの腕をもつ仏像”を意味する四字熟語で、転じて「1人で数人分の働きをすること」という意味でも使われます。
三面六臂(さんめんろっぴ)
- 3つの顔と6つの腕をもつ仏像。
- 1人で数人分の働きをすること。
「八面六臂」と「三面六臂」の違いは”活躍の多方面さ”
「八面六臂」と同じ意味をもつ「三面六臂」という四字熟語。2つの違いは、相手にあたえる印象にあります。
「三面」よりも「八面」の方が多方面を表すことから、「八面六臂」の方が「多方面で活躍する印象」を与えることができるのです。もともとの四字熟語でもあった「三面六臂」よりもさらに広い活躍を表すには、8つの顔の意味を持つ「八面六臂」が適切です。
「八面六臂」の使い方と例文とは?
「八面六臂」は”多方面で力を発揮する状況”で使う
「八面六臂」は”多方面で力を発揮する状況”また、”1人で複数人分の働きをする状況”で使用しましょう。
彼は私生活においても、八面六臂だった
意味:彼は私生活においても、多方面で活躍していた(複数人分の働きをしていた)
「八面六臂の活躍」は”多方面での活躍”を表す
「八面六臂」の使い方の1つが”八面六臂の活躍”です。「八面六臂の活躍」とは”多方面での活躍”または、”1人で複数人いるかのように活躍すること”を意味します。「八面六臂の活躍をした」や「八面六臂の大活躍」のように使いましょう。
・彼は八面六臂の活躍をすると社内で有名だ
・八面六臂の超人的な活躍をみせた
「八面六臂の働き」は”多方面での優れた働き”を意味する
「八面六臂の働き」も「八面六臂」の使い方の1つです。「八面六臂の働き」とは”多方面での優れた働き”または、”1人で複数人分の働きをすること”を意味します。「八面六臂の働きを続ける」や「八面六臂の働きぶり」のように使いましょう。
・八面六臂の働きをみせたことで、評価が高まった
・八面六臂の働きをすることで、彼女に支持が集まった
丁寧な表現の「八面六臂のご活躍」
「八面六臂の活躍」を丁寧に表す場合、”八面六臂のご活躍”が適しています。「活躍」に接頭語の「御(ご)」をつけた丁寧な表現であるため、目上の相手へも使えます。
・八面六臂のご活躍をお祈りします
・A様の八面六臂のご活躍には、敬服いたします
「八面六臂」を使った例文
「八面六臂」を使った例文をご紹介しましょう。
- 八面六臂の活躍をするともっぱらの噂だ
- 八面六臂の働きとは、まさにこのことだ
- 彼女の八面六臂の活躍により、大勝利をおさめた
「八面六臂」の英語表現とは?
「八面六臂」は英語で”All around”
「八面六臂」の英語表現には“All around”が適しています。「All around」とは”多才な・全般にわたる”を意味する単語で、「八面六臂」の”多方面で活躍するさま”を表せます。
She is able all around.
意味:彼女はあらゆる方面のことができる
まとめ
「八面六臂」とは「多方面で活躍すること」また、「1人で複数人分の働きをすること」を意味します。本来は「8つの顔と6本の腕をもつ仏像」を表していましたが、転じて「多方面での活躍」を意味するようになりました。主に「八面六臂の活躍」や「八面六臂の働き」のように使います。
類語には「八面六臂」と同じ意味をもつ「三面六臂(さんめんろっぴ)」が当てはまるため、言い換えてみましょう。
八面六臂(はちめんろっぴ)