「さもしい」の意味と語源は?使い方の注意点と類語・英語も解説

「さもしい」という言葉を聞いたことがありますか?「さもしい」とは、心のうちを含め、身なりや態度などがあまり好意的ではない時に使われる言葉であるため、使い方には注意したい言葉の一つです。

ここでは「さもしい」の意味と語源、使い方の注意点と例文、類語、そして英語フレーズについて紹介させていただきます。

「さもしい」の意味と語源とは?

「さもしい」の意味は”心が卑しい・見苦しい”

「さもしい」の意味は、“心が卑しい・見苦しい”ことです。心持が卑しく、あさましいこと、見たからにみすぼらしく見苦しい様子、品性が下劣であさましいことを表します。

また、世間的な地位や身分が低く、貧しいことも意味します。つまり、心の状態や見た目の両方で貧相であることを表す言葉となります。

「さもしい」は、男女や年齢をを問わず人の様子や見た目、心のあり方が意地が汚く、心根が汚れているようなことを意味するため、決して良い言葉ではありません。

「さもしい」の語源は”様悪し”や”様憂し”など

「さもしい」の語源は3つあります。

一つ目は「様悪し(さまあし)」です。人の様子や状態、見た目を表す「様」と、悪いという意味の「悪し」を組み合わせた「様悪し」から、少しずつ言葉尻が変化し、最終的に「さもしい」に落ち着いたという説です。

二つ目は「様憂し(さまうし)」です。心配する、つらい、物思いにふけるという意味の「憂し」を組み合わせ「様憂し」から転じて「さもしい」になったとも言われています。

三つめはサンスクリット語説です。僧侶や托鉢僧を意味する「sramana」を音写したのが「沙門」となりますが、その姿がみすぼらしく卑しく見えることから「沙門」を形容詞化し、最終的に「さもしい」に転じたという説も挙げられています。どの語源が正しいかは不明ですが、一つ目の「様悪し」が最も有力だと考えらえれているようです。

「さもしい」の使い方と注意点・例文とは?

「さもしい」の変形”さもしげ・さもしさ”も使われる

卑しくみすぼらしい様子を意味する「さもしい」は、形容動詞「さもしげ」名詞「さもしさ」というようにも使われます。

  • ことごとく就職活動で失敗している彼女は、何だかさもしげにも見えた。
  • さもしさがにじみ出ているのは、若年でスキルも経験もない下っ端だからだろう。

「さもしい心・さもしい人・さもしい人間」というように使う

形容詞である「さもしい」は、”さもしい心・さもしい人・さもしい人間”というように、人の心や人の態度に対して使われることが多いです。つまり、さもしいことをする人は、心が卑しくあさましい、そして品性が下劣でみすぼらしい、また地位が身分が低いという意味になります。

「さもしい」を面と向かって使わない

「さもしい」は「卑しい」や「あさましい」という言葉よりも、一般的には聞きなれず、正確な意味を理解していない人もいるかもしれません。「さもしい」が「さみしい(寂しい、淋しい)」の響きに似ているため、意味への錯覚を起こし、意識せず同様の意味で使ってしまうこともあるようです。

しかし、これらは「さもしい」とは、相手を蔑むような意味で使われるため、全くの誤用ととなります。そもそも褒め言葉でもなく、相手を傷つけてしまう可能性がある言葉ですので、相手に面と向かって「さもしい」を使うのは避けるようにしましょう。

「さもしい」を使った例文

「さもしい」を使った例文をいくつかご紹介しましょう。

  • 仕事もせずフラフラしていると、心がだんだんさもしくなってくるぞ。
  • さもしい人間は、常ながらカネが第一だと考えているようだ。
  • 本当は心も姿も綺麗な人なのに、ボロボロの服を着ているとさもしく見えてしまう。
  • 新人でも、相手にさもしく見られないように、胸を張って営業してこい!
  • さもしい心は、恨みつらみなどのネガティブな感情から生まれるものだ。

「さもしい」の類語と対義語とは?

「さもしい」の類語は”下衆・醜い・ちんけ”

「さもしい」の類語は、”さもしい”の意味を表す「卑しい・下劣・あさましい・汚い・みすぼらしい」の他に、「下衆(げす)・低劣(ていれつ)・ちんけ・見苦しい」などがあります。

「下衆」は「下司」や「下種」とも表記することができ、意味は身分がとても低い人、心が卑しい人を指します。また「低劣」は程度や品性が著しく低く劣っていること、「ちんけ」は「取るに足らない様子」を意味します。これらの表現は、人前で好ましく使われるような言葉ではないため、使う時は状況や相手に注意して下さい。

「さもしい」の対義語は”尊い・高貴”

「さもしい」の正式な対義語は見当たりませんが、意味の上から考察すると、「尊い(たっとい」や「高貴」などが挙げられます。「尊い」は心や考え方が洗練され、人から尊敬されるような様子、「高貴」は上品で身分が高いことを表す言葉です。

「さもしい」の英語表現とは?

「さもしい」は英語で”poor”

「さもしい」を一般的に英語で表すなら“poor”が最も適切です。「poor」は金銭的に恵まれない状態を指す他、見た目や心の状態、考え方が貧しく、卑しい状態を指す時にも使われます。

His attitude is very poor
彼の態度は本当にさもしい

She must be very poor person as she is always thinking of money and promoton.
カネと出世のことばかり考えているんだ。きっと彼女はさましい人間なんだろう。

「さもしい」を”low-minded”や”miserable”で表現することも

また、心のあり方が低劣である時は「low-minded」や「base-minded」、また見た目や心の状態が見すぼらしく、誰が見ても可哀そうな状態である時は「miserable」を使います。「miserable」の場合は、同情したくなるような時に使ったり、皮肉を込めて相手に卑しさを伝える時に使ったりします。

I might be low-minde person because I never put money in donation
募金をしたことがない私は、きっとさもしい人間なのかもしれない。

Wearing dirty clothes make you look miserable.
汚い恰好をしていると、さもしく見える。

まとめ

「さもしい」は「心が卑しくあさましい」「見た目が見すぼらしく下劣であること」「身分や地位が低く、まずしいこと」を表す言葉です。ネガティブな表現になるため、相手を非難し蔑むようなシーンで使われることがほとんどでしょう。

日常生活で「さもしい」と思う瞬間は、マナーや態度が悪い人を見かけた時、電車の列や行列に割り込みする人を見た時、理由もなく誰かを怒鳴りつけている人を見た時など、実際には多くあるかもしれません。しかし、周囲に不快な思いを与えないためにも、相手に向かって直接言うことは避けるようにしましょう。